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英語教育関連本・教材レビュー

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データで読む英語教育の常識

2009年11月30日


データで読む英語教育の常識
高梨芳郎 著

A5判 284pp.
本体 3,300円
研究社

「数」を通してみた英語教育

日本の毎年の海外渡航者数が決して少なくないことは、だれしも容易に想像がつく。しかし、教室で学生にその具体的な数を問うてみると、500万人程度から、多くてもせいぜい1,000万人あたりまでと答える。かつてのゲルマン民族の大移動をもはるかに超える1,700万人もの日本人が、毎年、大挙して海外へ繰り出しているなどとは思ってもいないらしい。

そんな学生たちの目には、広い世界の中では、いわば日本のサイズは、とかく過小に映りがちである。たとえば、欧州連合(EU)加盟の全27か国の中で、実は日本の人口1億2,000万人に迫る国はただの1国もないという事実には気づかない。海外では通用しないと言われる日本語も、話者の人口からみると、世界の数千の言語の中でも、優に上位10位に入る「大言語」であるという事実もあまり知られていない。

このように、具体的な数値を突きつけられてみると、われわれの「常識」は意外に頼りにならないことがよくわかる。海外渡航者数や諸外国の人口ならともかく、教育そのものまで、こんな頼りにならない「常識」で行われてはたまったものではない。本書は、日本の英語教育の実態を、いわば「カン」や「常識」よりも、むしろ徹底して客観的な数値を通してありのままに描こうとしたものである。

その実態も、歴史的な変遷や国際的な動向を踏まえていて、決してスタティックではない。中学校教科書の題材の推移など、1949年には米国の題材78%、日本の題材3%であったものが、年を追ってその差が縮まり、やがて逆転して、1993年には米国24%、日本40%と、教科書の戦後史がよくわかる。クラスサイズも10人台のスイスやデンマーク、20人台のアメリカやドイツに対して、日本や韓国は30人台と、教育環境の差の大きさが国際的に明瞭に示される。

扱われるテーマは、日本人と英語、語彙・文法、4技能、学習者問題、異文化理解、学習環境、教材・指導法、評価などと、広く英語教育全般に及ぶ。「クラスサイズは授業にどのような影響を与えるか」「おぼえた単語はどのくらい忘れていくか」「文法は英語ぎらいの元凶か」「女子は男子よりも英語学習に適しているか」「小学校英語活動の時間数と成果」「リスニングテストで有利な座席の位置はあるか」などの項目を含む45の節は、どこからでも読み始められ、それぞれの節には「まとめ」までついている。忙しい現場の先生方にも親切な読み物になっている。

徹底して「数」に語らせる本書であるが、「語彙数」という言い方が繰り返し出てくるのが気になった。many vocabulariesとは言わないように、「語彙」と「数」とはなじまないはず。

(名古屋外国語大学教授 大谷泰照)


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出典:「英語教育」2009年12月号(大修館)
From "The English Teacher's Magazine" December 2009 Vol. 58 No. 10 (Taishukan)



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