英語教育関連本・教材レビュー
注目の英語教育関連本・教材のレビューを毎月掲載。
菅 正隆 編著
A5判 192pp.
本体 1,800円
開隆堂
本当に外国語活動がわかる一冊
本書は、指導者養成研修の授業実践講師をはじめ、外国語活動導入の経緯を最も良く知る5人による座談会形式のやりとりである。
まずはそのド派手な表紙にやや尻込みする。美容院で注文通り安田成美風にセットが決まった直山木綿子先生は良いとして、聞くところによると、菅先生の部分だけ何度も描き直したとか(ほんの少しだけ、福山雅治風になるまで)。それで、裏表紙のイラストには、本人と分かるように胸に「K」と入れたのかと合点する。
恐る恐る頁をめくってみると、おもしろく読めるけれど、内容はなかなかマジメな本である。今、教室で問題となっている次のようなテーマを全て取り扱っている。カリキュラムの作成、保護者への説明と保護者の理解、『英語ノート』の使い方、ICTの活用、外国語活動を担任が担うわけ、外国語活動で注意すべき点、評価の在り方、研修の在り方、低・中学年の取り扱い、文字の取り扱い、小中連携、外国語活動で気になる点、外国語活動に対する想い。
また、教室の現場に最も近い著者たちならではの発言が随所に見られる。例えば、時には「遊びの授業」との批判を受けた研究開発校での実践を振り返り、「子どもがいきいきと活動するような遊びを考えるだけでも大変」という梅本龍多先生の発言は、他教科同様、授業の仕掛けや工夫、学年に応じた変化のある繰り返しの重要性を語っている。
直山先生が紹介している「学校中のお気に入りのスポットを紹介」する活動では、“Where is my nice spot?”とやりとりしてから「じゃあ、言うとおりについてきてね」と道案内の活動に入るが、「友だちがあんなところが好きだったのは意外だった」との声が出るなど、表現の練習を超えたコミュニケーション活動となっている。
「中学校は正解を求めている。しかし、小学校の解答はオープンだから子どもたちも考える」という定義に従えば、教師も型にはまらず柔軟に対応すべきである。
学習指導要領の目標に3本柱が示されたことにより「具体的に子どものどこを褒めればよいのか明確になった」という梅本先生の発言も、評価に向けた指針となる。
そして、「中学校1年生の授業で何かの表現を使おうとしたときに、「それは小学校5年生でこんなことをやったよね」ということを中学校の先生が言えるかどうか」で中学校の先生方が小学校の外国語活動を理解したことになるという菅先生の指摘は、小中連携におけるゴールの1つとなろう。
外国語活動の目的がスキルではないことを学級担任自身が理解し、保護者や中学校の先生の過剰な期待や誤解を解くことが大事である。本書を小学校の先生だけでなく、中学校の先生や保護者にも是非読んでいただき、共通理解を深めたい。
(筑波大学教授 卯城祐司)
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出典:「英語教育」2009年11月号(大修館)
From "The English Teacher's Magazine" November 2009 Vol. 58 No. 9 (Taishukan)
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