英語教育関連本・教材レビュー
注目の英語教育関連本・教材のレビューを毎月掲載。
白畑知彦/冨田祐一/村野井 仁/若林茂則 著
四六判 386pp.
本体 2,500円
大修館書店
用語に対する意識を高める一冊
本書は、1999年に出版された『英語教育用語辞典』の改訂版である。大きな改訂のポイントは、(1) 立項項目の再検討(約800語の項目から、入れ替えや追加があり930項目となった)、(2) 参考文献の再整理(入手のしやすさと新しさの点から参考文献が選択された)の2点であるという。
追加された用語を一部挙げてみる。ICT、相づち、足場掛け、アスペクト仮説、アセスメント、アプローチ、暗示的学習、1分あたりの単語数、異文化間コミュニケーション能力、意味地図、eラーニング、インフォームド・コンセント、生まれか育ちかの論争、英語教育特区、英語使用サークル、英語ノート、演繹的学習である。近年注目を浴びている用語が多く追加されていることがわかる(例:ICT、英語ノート)。加えて、それほど新しい概念ではないが、英語教育学の点から重要である用語(例:アプローチ)も追加されている。これらの用語は、修士論文や卒業論文などの研究指導や教育現場における研修などの経験から考えると、確かに、よく耳にしたり、口にしたりする用語である。
一方で、時代の変化を反映して削除された用語として、オーバーヘッド・プロジェクター(OHP)がある。また、アポストロフィー、アルファベット、大文字・小文字などの用語も削除された。本書は、英語などの外国語教育学を専門とする学生や現役教師、研究者を主たる読者層として設定している。読者の背景知識や必要性を考えると、これらの削除は適切であろう。
各項目はアルファベット順に並べられている。ほとんどの用語は、その英語表現を基に配列されている。わずかであるが、日本語のままで各アルファベットの最初に掲載されている用語も存在している。日本語の用語を手がかりに検索したい場合には、巻末の日本語索引を利用するとよいだろう。例えば、『英語ノート』の英語表現がEnglish notebook であると考えて、English imperialism(英語帝国主義)と epenthesis(語中音追加)の間を探しても見当たらない。『英語ノート』は、Eの項目の最初のほうに掲載されている。
参考文献が掲載されている点はありがたい。基礎的な入門書や概説書やよく引用される専門的な研究論文が紹介されている。つまり、専門的な研究論文の中でも学問上避けて通れない研究論文を挙げている。執筆者たちの幅広い見識をあらわすものであろう。研究を進めていく上では、意味の理解だけでなく、さらに情報を求めて文献を探すことが通常であるし、学生にもそのような姿を求めたいと思う。改訂版も、学生に勧められる一冊であると確信する。
コンパクトなサイズなので、携行用辞典として活用できよう。本書は、用語に対する意識を高める一冊である。
(信州大学准教授 酒井英樹)
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出典:「英語教育」2009年8月号(大修館)
From "The English Teacher's Magazine" August 2009 Vol. 58 No. 5 (Taishukan)
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