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英語教育関連本・教材レビュー

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英語教育熱—過熱心理を常識で冷ます

2009年3月25日


『英語教育熱 —過熱心理を常識で冷ます』
金谷 憲 著
四六判 184pp.
本体1,400円
研究社

常識で考えてみよう!英語教育



大変興味深い内容で、得るところ多く、とても有意義であった。本書は、過熱する英語教育に対する不毛の議論や非常識を少しでも減らしたいと考える筆者の願いを分かりやすい言葉で説いたエッセイである。「日本人には痛々しいばかりの英語能力願望がある」ために、「目が曇ってしまっている」と筆者は警鐘を鳴らす。

このような筆者の姿勢は、手前味噌で恐縮であるが、白畑・若林・須田の『英語習得の「常識」「非常識」』(大修館書店)の考えと相通ずるものがある。ただし、白畑他は、あくまでも客観的データにこだわり、英語教育に関わる俗説を検証しようと試みたものであるが、本書は、「そんなに仰々しく構えなくても、少々頭を冷やして常識的に考えたらそれがまともな主張かどうかすぐに分かるでしょ」という姿勢を貫いている。

この立場はもっともである。英語教育で問題視されている内容は、常識的に、つまり物事を、筋道を立てて論理的に思考していけば、大抵の場合ウソか本当か判断がつくからである。

本書は3部構成を取る。パートIでは、英語教育に対して常識的な判断ができなくなっている例をいくつか挙げている。例えば、英語学習期間と量の問題である。「日本では中学校、高校と6年間英語を勉強するが、一向に話せるようにならない」と非難される。しかし、その「英語学習歴6年」の中身をもう一度考えてみてはと筆者は述べる。実際、中学生達は毎日何時間英語を勉強しているのであろうか。公立では英語の授業は週にたった3時間しかない。年間で最大105時間だ。この量的不足を補うために、授業以外でどのくらい英語を勉強するのか。高校野球の例を出し、彼らが毎日弛まず何時間も練習しても思うような成果が出せないこともあるのに、週3時間の練習(学習)で外国語をマスターさせようとするのはいかがなものか。

パートIIでは、英語教育の話になるとなぜ常識が通じなくなってしまうのか、その理由について、「日本独特の教育熱」「英語や英語圏そして英語母語話者へのコンプレックス」「教育産業界・マスコミ・行政からのあおり」「外国語習得のメカニズムに対する無知」などを挙げて議論している。

パートIIIでは、それでは現況を打破し、より良い英語教育環境を築くためには何をすべきか、筆者が考える方策を大きく2点提案している。1つは練習量(学習量)を増やすための工夫を考えること。2点目は、学習者や世間のニーズと学校現場が採用する教育方法のミスマッチを解消すること。詳細は本書を読んでいただきたいが、1点目に関して、評者は「生徒が毎日自宅学習できる宿題の工夫」も重要ではと考えている。

ぜひ御一読を。

(静岡大学教授 白畑知彦)

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出典:「英語教育」2009年3月号(大修館)
From "The English Teacher's Magazine" March 2009 Vol. 57 No. 13 (Taishukan)




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