英語教育関連本・教材レビュー
注目の英語教育関連本・教材のレビューを毎月掲載。
大井恭子 編著 田畑光義/松井孝志 著
四六判 287pp.
本体2,000円
大修館書店
指導の意義と実践方法がわかる
本書は、パラグラフ・ライティング指導について、その英語教育における現代的意味を説き、その指導方法を解説し、さらにはその具体的な教室での実践方法と注意点とを丁寧に述べている。パラグラフ・ライティング指導の導入を考えている教師にはまさに最適の入門書である。
本書の最も大きな特徴は、パラグラフ・ライティングの指導を考えている教師がその導入に際し躊躇する理由をいくつか想定し、その問題に全編を通じて丁寧に答えを与えている点である。それらは、(1)英語力が低い学習者にもパラグラフ・ライティングをさせるのは大丈夫か、(2)パラグラフ・ライティング指導の結果、どのような能力が上がるのか、(3)必要性がわかったとしてどのようなプロセスで指導をしたらよいのか、(4)エラー訂正はどのようにするのか、(5)どのような教材や導入方法を用いて活動をさせたらよいのか、(6)この指導は入試とどのように関わるのか、等である。
例えばこれらの疑問の中では、(1)については、第3章で文レベルの活動からパラグラフの活動への橋渡しをする授業実践例を挙げている。また(4)については、5章で1文レベルの誤答から文章レベルの典型的な誤答例を提示し、それぞれの指導例を挙げている。(3)の指導のプロセスについては第4章でかなりの紙数を割いて解説されている。
各章の内容について簡単に述べると、第1章では、ライティングあるいは「書く活動」の重要性と意義に触れている。その中で、活動を通じてのクリティカル・シンキングと問題解決能力の滋養を挙げている。第2章では、日本人にあまりなじみのないパラグラフの概念について説明し、日本語の段落との対比の中で英語のパラグラフの特徴を述べている。第3章は、前述のとおりである。第4章ではステップを踏んだ具体的なパラグラフ・ライティング指導実践が中学校と高等学校に分けて提示されている。ここで挙げられている実践例を見れば、どういう課題をどのようなプロセスで指導し、さらに指導上どこにポイントを置くべきかが一目でわかる。第5章では、ライティングにおける誤答分析と指導の提案がなされ、第6章では、これからのライティング指導について述べられ、パラグラフ・ライティングによって培われた論理力、認知力、思考力が最後には日本語の文章作成能力に転移するとしている。
また最後に資料としてライティングに関する高校・大学入試の傾向と指導方法が挙げられていて、とても便利である。
最後に1つ注文をつけるなら、巻末に索引がほしかったことくらいである。4技能の統合という意味でも、本書を読んで「書く活動」を積極的に推進してもらいたい。
(山梨大学教授 古家貴雄)
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出典:「英語教育」2008年11月号(大修館)
From "The English Teacher's Magazine"
November 2008 Vol. 57 No. 9 (Taishukan)
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