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英語教育関連本・教材レビュー

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フランス語のはなし—もうひとつの国際共通語

2008年8月25日


フランス語のはなし—もうひとつの国際共通語
ジャン=ブノワ・ナドー/ジュリー・バーロウ 著
立花英裕 監修 中尾ゆかり 訳
四六判 402pp.
本体2,400円
大修館書店

英語は唯一の国際語か?



日本で国際語といえば、誰もがただちに英語を思い浮かべ、それ以外の言語が国際社会の多くの国々で使用されていることに思いめぐらさない。しかし、英語は唯一の国際語ではなく、大方の日本人の予想以上にフランス語の通用する地域は広く、国際社会における共通語としての認知度も高い。

本書はフランス語圏出身と英語圏出身のカナダ人カップルによる共著で、フランス語の成り立ちから、現代世界の広い地域や国に共有されているフランス語がどのような課題を抱えているかを語り、もう1つの国際語の実態を解き明かす。全体は4部から構成され、フランス語の誕生、普及、適応、変化を論じている。

これまでフランス語史の多くはフランス人によって著され、フランスの内部でフランス語がどのように形成され、フランスという国家の構築に寄与してきたのかが論じられてきた。本書の特色は言語史的考察にとどまらず、むしろ言語普及や変化といった言語政策的観点からフランス語を検証している点にある。とりわけ、植民地におけるフランス語普及にも言及し、言語教育が帝国主義の時代に植民地支配の道具となった経緯や、また一方ではアメリカ大陸において英語の圧倒的な力のもとでフランス語が被った艱【かん】難【なん】など、これまであまり語られることのなかったフランス語の歩みをも明らかにしている。フランス語は高級な文明の香りを伝えてきただけではなく、同化主義的植民地政策の道具として植民地人を抑圧する言語であったと共に、アメリカ大陸では英語との接触の中で、英語への同化を迫られてきたという点で、抑圧された言語でもあったのだ。

本書を際立たせているもう1つの特色は著者たちの言語世界観である。英語も含めて言語の拡大は人為的な営みなしにはあり得ないもので、現代世界における英語の普及も英米の強力な働きかけの結果に他ならない。他方フランス語が現在享受している国際的地位はフランス人の努力に負うだけではなく、ケベック人の尽力も忘れてはならない。フランス人は早々に英語への抵抗をあきらめ、英語使用を積極的に受け入れ、英語を喜んで話していると著者は語る。ケベックからフランスに対するいらだちと声援の入り交じった声が聞こえてくるようだ。とはいえ、フランス語が国際社会で相応の地位を得ているのは英語話者がフランス語に敬意を払っているためだというのだから、いささか問題は逆説的だ。

本書が英語で書かれたフランス語史で、しかも英語圏とフランス語圏出身の著者による合作ということ自体、英語とフランス語の切り離しがたい関わりを示すもので、英語教育の関係者にも、もう1つの国際語の実態に目を向けてもらいたい。

(京都大学准教授 西山教行)

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出典:「英語教育」2008年8月号(大修館)
From "The English Teacher's Magazine" August 2008 Vol. 57 No. 5 (Taishukan)




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