英語教育関連本・教材レビュー
注目の英語教育関連本・教材のレビューを毎月掲載。
岸野英治 著
A5判 496pp.
本体3,600円
大修館書店
かゆいところまで手が届く文法書
英語を「話し」「書く」ために理解すべき点は何か、ということに的を絞って必要な文法や語法の解説をしているのが本書である。
従来の「文法書」のように、5文型や冠詞、不定詞、分詞、動名詞といった項目はあげず、コミュニケーションをするにはどのような知識が必要かという発想に立って章立てがなされている。
例えば、話し手が出来事を「現在」のこととして表す方法として、現在形、現在進行形や現在完了形があげられている。「未来の表し方」では will は予測として述べ、be going to は既に現れている兆候から述べるという記述となっている。「仮定・条件の表し方」では、仮定法だけでなく、suppose、provided、on conditionなどの表現も扱われている。
さらに「命令・指示」「許可・禁止」や「提案・申し出」といった表現の機能的な側面からの章立てがなされている。「意思・意図・決意」では助動詞による表現だけでなく、intend、plan、be thinking ofがあげられ、「推量・可能性」ではcertainlyやpresumably等の副詞による表現の記述もある。
「原因・理由」、「目的・結果」や「対照・譲歩・様態」においては、to不定詞、接続詞や様々な句があげられており、文法に関する情報と辞書に記述されている情報が見事に融合している。
このような機能的アプローチの長所は、従来別々の項目として扱われていたものを1つの機能として扱うことができる点である。例えば「欲求・願望」の項目では、want、hope、wishやwould like toはもちろん、if onlyやcan't wait forなどがあげられており、それぞれの使い分けとともに様々な表現を学ぶことができる。
Let's が「自分の提案・勧誘に賛成が得られているという確信を持っている場合に用いることが多い」ことや I clean forgot! におけるcleanの用法、「強調」における副詞の共起制限、「否定」では、refuseやforgetなどの動詞やbeyondやagainstといった前置詞を用いた表し方が述べられており、視野の広さとともに個別の語の情報が満載である。
「文と文のつなぎ方」として関係詞や接続詞だけでなく、様々な語句があげられており、「書く」だけでなく「読む」際においても有用である。
文法書と言えば文法の説明の記述が圧倒的に多く、例文は少なかった。本書は、簡潔な説明、多彩な表現方法と詳細な語法情報に加え、例文が多いことも特長である。特に教員にとってはありがたい。
文法や語法が、表現の場において、どのような機能を持つことができるのか、読み進めるにつれて、様々な新しい発見があると思われる。分詞構文はどこに分類されているか? 本書をご覧ください。
(滋賀県立大津高等学校教諭 勝 啓一)
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出典:「英語教育」2008年7月号(大修館)
From "The English Teacher's Magazine"
July 2008 Vol. 57 No. 4 (Taishukan)
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