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英語教育関連本・教材レビュー

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アジア・オセアニアの英語

2007年4月25日


英語辞典の研究 英語認識の改善のために
河原俊昭/川畑松晴 編
A5判 241pp.
本体2,500円
めこん

アジア・太平洋は英語でつながる


これまでもアジアにおける英語教育の研究書やアジア英語の辞典は刊行されてきた。この本は、その発展形であり、アジア英語研究をリードする方々による実証的な調査によって著された。編著者ほか7名によって、フィリピン、シンガポール、マレーシア、インド、韓国、香港、タイ、ベトナム、フィジー、オーストラリアおよびニュージーランド(アオテアロア)における英語に関する専門的な知見にくわえて、その地域の歴史、文化、風物も書き込まれ、空港に降りたってからの街歩きが目に浮かぶかのような、魅力ある読み物になっている。アジア英語をより一般的なものにしたいという意欲にあふれ、事実、アジア英語への関心のひろがりの反映もある。担当者のその地域への熱い想いが伝わってくる。

この本の特色の1つは、アジア・オセアニアという地域を ESL、EFL、ENL(第二言語、外国語、母語)の3つにまとめて構成したところにある。むろんアジア・太平洋という広大な地域における英語の状況をまとめるのは容易なことではない。読者の関心も、英語のバリエーションから、言語政策また経済社会問題まで多岐にわたるであろう。それぞれの地域のことについて評することはできないが、英語がますます重要になり、マレー化政策をすすめたマレーシアでさえ、理数科を英語で教えるようになってきているとのこと、また他の国においても英語による「ディバイド」がすすむ懸念があることが読みとれる。韓国の英語熱は、小学校への英語教育の導入の論議もあり、注目を集めているが、英語が苦手とされるタイでも英語ブームだという(もっとも1921年から小学校で英語が教えられていたが、1977年には廃止されていたという経過をはじめて知ったが)。この本は日本での英語教育政策や今後を考えるうえでの貴重な情報源である。

英語と経済社会的な問題との関わりの指摘は重要である。インドでの婚姻やフィリピンからの移住労働者に関して、英語にアクセスできないマイノリティの人びとへの人権抑圧などの問題も避けては通れない。

他方、英語は人びとを結びつける役割もある。ユネスコアジア太平洋国際理解教育センター(ソウル)ではフェローをイランやフィジーなどからも招き、各地の民話を収集し、英語での共有をすすめている。ユネスコでは津波被害の経験から、防災を重視し、防災教育の教材開発に日本政府も援助をしている。他方、南と南、発展途上国どうしが共同することにおいても英語でのコミュニケーションは欠かせない。アジア・太平洋における英語のもつポジティブな役割にも注目をしていきたい。

(東海学園大学助教授 淺川和也)

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出典:「英語教育」2007年4月号(大修館)
From "The English Teacher's Magazine" April 2007 Vol. 56 No. 1 (Taishukan)




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