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英語教育インタビュー

英語教育の現場で活躍する人物へのスペシャルインタビュー

外山節子氏インタビュー

2010年02月17日

外山節子氏教師トレーナー、プレゼンターそしてコースブックなどの著者として有名な外山節子氏は、日本人の子供への英語指導分野における第1人者として活躍されており、オックスフォード大学出版局刊のEnglish Timeシリーズなど、数々の英語教材の著作を手がけています。外山氏は、2011年の公立小学校における外国語活動必修化(5、6年生)をひかえ、小学校教師の指導に力を注ぐとともに、PENの会(Primary English in Niigata)顧問、敬和学園大学客員教授を務められています。

外山氏は多忙なスケジュールの中、eigotown.comのラッセル・ウィリス氏のインタビューに応え、変革の時期を迎える小学校英語教育についての貴重なご意見をお聞かせくださいました。
ST:外山節子氏、RW:ラッセル・ウィリス氏
RW:
2011年以降、全国の公立小学校において「外国語活動」が必修化され、5年生と6年生には英語が年間35時間教えられます。小学校教師の多くは英語指導経験がなく、今後の指導方法や内容などに対して大きな不安を抱えています。そこで、小学校教師とのティーム・ティーチングなど、豊富な経験をお持ちの外山先生の実体験を少しお聞かせいただけますか。
ST:
私が小学校で英語研修を始めたのは2001年のことでした。2002年には数人の小学校の先生と一緒に「にいがた小学校英語教育研究会」を立ち上げました。英語名をPrimary English in Niigataとしたので、イニシャルの「PENの会」が通称になりました。発足以来7年間で会員は170人を超え、新潟県内だけでなく、南は福岡から北は仙台まで、全国各地の小学校教師・児童英語教師・出版関係者など多彩な顔ぶれです。普段はメーリングリストで意見・情報交換をし、隔月で「筆箱塾」という研究会を持ち、メンバーが模擬授業をし、顧問の私がワークショップを行います。
RW:
公立小学校で英語指導を行った際に直面した、問題点などがあればお聞かせ下さい。
ST:
私が初めてTT(team teaching)を行ったのは2002年のことでした。英語が好きでよくおできになる担任先生と一緒に授業案を作り、私の英語教室でうまく行った授業を提案しました。翌日、担任先生と私は自信満々に授業を始めました。ところが…子ども達は英語を口にしませんでした。黙ったまま私達を「えぇっ?」という目で見ていました。私達はパニックです。ゲームが止まってしまっている班の補助に歩きまわりましたが、先生二人で6つの班のケアを同時にすることはできません。授業は大失敗に終わりました。

今考えると、英語を勉強したいと英語教室に入会してきた子ども数人のクラスではカンペキにうまくいく授業案は、学校で英語活動をすることに慣れていない子ども30人の学級には全く適していなかったのです。授業案は、単語をインプットするリスニングの時間が充分ではないまま、子どもたちにゲームの中で発話させようとしていました。一見、子どもの興味優先の授業案でしたが、大人数の学級で行うと全く異なった活動になっていたのです。
RW:
それでは、様々なレベルの生徒が混在する大きなクラスにはどのように対応すればいいとお考えですか。
ST:
担任教諭の力を最大限に引き出し、二人で円滑に授業を行うことが、小学校クラスにおける英語指導成功のカギだといえるでしょう。担任教諭は子ども一人ひとりの名前を把握しているので、クラスをうまくコントロールすることが可能です。これはゲスト・ティーチャーには非常に難しいことです。もう1つのカギは、生徒一人ひとりの様々な学習スタイルに対応するアクティビティを盛り込んだレッスンプランを作成するということです。私の経験では、普通学級に数人は、発達障害を持った子どもがいます。そしてその子供たちは、他の科目では活かされなかった多重知能が刺激を受けるのか、英語活動を楽しんでくれますし、それは子ども達の全体的な発達に寄与します。これはハーバード大学教授のハワード・ガードナー氏によって1980年代に提唱された多重知能理論に基づくものです。
RW:
多重知能理論に基づいたレッスンアクティビティの例をいくつか挙げていただけますか。
ST:
生徒は8種類の多重知能(Multiple Intelligences)を一人ずつ異なった割合で持っています。多様な学習スタイル、あるいは知能の多様性を考慮に入れてレッスンプランを作り、どの生徒もそれぞれ自分に適した方法で学ぶ機会を持てるようにすることが重要です。これによって学習意欲がより高められ、その結果、より効果的に英語を習得することができます。8つの知能と、それぞれに働きかける指導法の例をご紹介しましょう。
Linguistic Intelligence(言語的知能) 単語を読む、単語を言う、英語を言う、英語を聞く、大きな声で言う、ささやくように言う、など言語を使う多様なアクティビティをします。
Logical-Mathematical Intelligence(論理・数学的知能) パズルをする、正しい順序に並べる、分類をするなど、論理的思考を用いるアクティビティをします。(例): A is taller than B, but shorter than C. Who is the tallest?
Spatial Intelligence(空間的知能) 地図、大判のフラッシュカード、実物教材などの視覚教材を使います。美術関連のプロジェクトも有効です。
Bodily-Kinesthetic Intelligence(身体・運動的知能) 歌やチャンツに合わせて動いたり、走る、カードをぴしゃりと叩くなど、動きを含んだゲームをしたりします。ジェスチャー、ロールプレイ、ドラマも有効です。
Musical Intelligence(音楽的知能) 歌やチャンツを聞く、歌ったりチャンツをします。楽器を弾いたり、身体を打楽器に見立てて(stamping 足を踏みならす、clapping 手を叩く、patting 手で軽く叩く、snapping 指をパチンと鳴らすなど)、歌やチャンツをさらにふくらませます。
Interpersonal Intelligence(対人的知能) 生徒がペアやグループになって協力して行うアクティビティ/ゲームをします。
Intrapersonal Intelligence(内省的知能) 生徒が自分自身の考えや特性を活かして個人で行うアクティビティをします。
Naturalist Intelligence(博物学的知能) ことばの構造/しくみを自然界の事物と関連させて教えます。可能な限り実物教材や自然な例を活用します。
RW:
英語ノートとはどのようなものですか。文部科学省指定のテキストなのでしょうか。教師は必ず英語ノートのシラバスに従う必要があるのでしょうか。
ST:
「英語ノート」1(5年生)と2(6年生)は、2011年に正式な領域になる「外国語活動」のために文科省が開発した教材です。現在多くの小学校で授業を先行実施しています。今年度と来年度に任意の時間数英語活動を行い、2011年の新学習指導要領が全面実施されるときに備えているのです。

「英語ノート」は教科書ではないので、必ず使わなければならないわけではありません。他の教材を使っても良いし、英語ノートの良いところを使って、他の市販教材で補っても良いのです。
RW:
では英語ノートについてどのようにお考えですか。
ST:
「英語ノート」について、様々な意見があります。まずは良い点を見てみましょう。最初に学習指導要領に示されている指導内容の例が挙げられ、その具体化を試みた教材であると言えます。つまり、「英語ノート」は、文科省が全国の小学校5年生・6年生に学習してほしい英語を具体的に示しています。各単元を文法ベースではなく場面・トピックベースにしてあることも評価できるでしょう。また、それまで学校によってばらばらだった英語活動の時間数を年間35時間と明確にしました。学校区によっては、複数の小学校から、1つの中学校に進学します。どの小学校を卒業した子どもも同様の英語教育を受けることで、全国の小学生が平等に教育を受けるということになるでしょう。「英語ノート」1と2が、「英語活動」の標準を提示したということは高く評価できると思います。

しかし、英語教材の著者であり、小学校の英語活動を実践している私から見ると困った点もあります。昨年10月のオックスフォード・キッズクラブ・ニュースレターに私が寄稿した記事の中で、この問題点に触れるとともに解決方法も提示していますので、ご興味のある方はぜひご参照下さい。
RW:
小学校英語教育に興味を持つ教師たちにアドバイスをいただけますか。
ST:
私は1月から3月にかけて全国で開催される、オックスフォード大学出版局主催の「児童英語教師向けワークショップシリーズ」にて、多くの著者や教育者の一人としてプレゼンテーションを行います。「Teacher’s Tool Kit: Ready for 2011」をテーマとして掲げるインタラクティブで参加型のワークショップでは、私を含む多くのプレゼンターがレッスンですぐに使える実践的なアイデアやアクティビティを多数ご紹介しますので、小学校英語指導にもきっとお役立ていただけることと思います。参加は無料で、ご興味のある方ならどなたでもご参加いただけます。新しい教育者仲間を増やし、アイデアを共有することで、指導力を向上いただければ嬉しく思います。

■ 関連リンク:
オックスフォード大学出版局主催「児童英語教師向けワークショップシリーズ」
小学校英語活動—5つの提言(PDF)



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