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英語教育インタビュー

英語教育の現場で活躍する人物へのスペシャルインタビュー

ピアソン桐原社長 編集長インタビュー

2010年11月02日

Brendan Delahunty 氏英語教育ニュースのリニューアル以来、初めてのインタビュー記事をお届けいたします。

インタビュー第1回は、世界No.1の教育出版・メディア会社であるピアソン・グループの日本法人、株式会社ピアソン桐原の代表取締役社長である、Brendan Delahunty 氏にご登場いただきます。
同社は、この8月31日にピアソン・エデュケーションと桐原書店が合併し、新会社「株式会社ピアソン桐原」として新しいスタートを切りました。

新会社としての今後の展開と、日本の英語教育、小学校英語導入など、多岐にわたる分野への今後の展開と英語教育についてのご意見を伺いました。
BD:Brendan Delahunty氏、KT:竹村和浩氏
KT:
教育出版として、世界的な会社である御社Pearson Educationのご紹介をお願いいたします。
BD:
ピアソン・グループには世界的に知名度が高い3つのブランドがあります。 1つはFinancial Times、2つ目がPenguin Books、そして3つ目がPearson Educationです。Pearson Education は、世界最大の教育出版社として知られていますが、ピアソン・エデュケーションはその日本法人です。

この8月31日に、ピアソン・エデュケーションは、これまで10年間培ってきた提携関係をさらに実りあるものとするために、桐原書店と合併し、「ピアソン桐原」として、一つの会社になりました。

この合併により、膨大な国際的なリソース、国際市場での経験およびノウハウと、日本という固有のマーケットのナレッジの両方を兼ね備えた体制を確立することができました。
実際、弊社では約60名の出版編集・コンテンツ開発担当の人材がおり、さらに世界的なリソースを活用することで、より質の高いサービスをご提供できると考えています。
KT:
今、日本では、「楽天」や「ユニクロ」が、英語を社内公用語にするなど、グローバルに活躍できる人材育成が急務の課題となっています。実際、どのような人材が今世界で求められているとお考えでしょうか?その必須条件などがあれば、教えて下さい。
BD:
ご存知のように、今、世界は急激に変化し続けています。たとえば、出版業界一つをとってみても、デジタル出版の流れ、例えば、ソニーのリーダーや、アマゾンのキンドル、そしてアップル社のiPadなど、新しいテクノロジーによる改革が進んでいます。そうすると、まず、この変化に柔軟に対応できる人材であることが、第一条件だと言えます。
二番目には、異なる文化や考えを理解できるマインドを持っていること、さらには、クリティカルシンキングのスキルを身につけていることも必要です。そしてそれらの勉強を欠かさないことだと思います。

自国のマインドに凝り固まってしまうと、迅速に変化に対応することが困難になってしまいます。常に、何が求められ、また何をすべきかをクリティカルに判断し、行動することが求められるのです。

これに加えて、グローバルな言語能力、即ち、「英語」がやはり必須条件です。日本の企業が中国やアジア諸国とビジネスをする場合、共通の言語は、やはり「英語」になります。無論、今後は、英語プラス、さらにもう一、二ヵ国語を習得しているとなお良いと思います。

そして、グローバルな人材のもうひとつの条件として挙げたいのが、「自ら進んで考えて行動し、モチベーションを維持できる人材」であるという点です。
これからは、もはや言われたことのみを遂行する人材では、変化のスピードが速い現在のビジネス環境においては、良い結果を生み出すことは難しいでしょう。
KT:
では、こうした、マインド、資質を育て、培うためには、どうしたらよいとお考えですか?
BD:
色々な方法があるかと思いますが、最短の方法は広く、海外の教育機関やマーケットで学ぶことが有効だと考えます。

ある国では当たり前のことが、他の国では異なる見方をするということを、肌で理解することができるからです。

例えば、私は韓国も担当しており、月の半分は韓国でのマネージメントに当たっています。韓国でも、日本と同様、英語熱が高く、小さい頃から、親が子どもを英語学校に通わせ、直接アメリカの大学に進学させたり、韓国の大学在学中に留学させたりするケースも非常に多いようです。

広く海外の教育機関で学び、世界中から集まっている人達と切磋琢磨することによって、グローバルな感覚と異文化理解のセンスを磨くことが可能になると思います。
KT:
日本での小学校の英語必修化をどう思われますか?
また、日本の英語教育に欠けているものがあるとすれば、それは何だと思われますか?
BD:
そうですね、非常に難しい質問ですね(笑)。と言いますのは、現在、フィンランドの教育は、「世界一良い」という評価が一般的になっていますが、先日、フィンランドの方が、母国の教育システムにおける問題点について話されるのを聞く機会がありました。完璧なシステムというものは、ある意味存在しないということなのでしょう。

来年度から、日本の小学校英語は大きく変わることが期待されていますが、私の意見としては、英語がこの段階で導入されるのは、子どもたちにとって、非常に良いことだと考えています。日本の英語教育界では、何が正しくて何が間違っているかについての英語教育の本質に関わる、大きな議論が長年あるようですが、私の個人的な意見を言わせていただければ、これらの問題を解決するためには、2つのカギとなる要素があると考えています。

その1つは、「英語のフレームワーク」の導入です。CEFR(Common European Framework:ヨーロッパ共通言語参照枠)がその一例ですが、 ヨーロッパではEUの共通のフレームワークとして使われています。CEFRを使うことによって、各個人の英語の運用能力がどのレベルであるかを、ヨーロッパ全体で共有できる仕組みです。これにより、教育機関への入学や就労できる能力があるかを判断するわけです。そうすると、年齢が異なったとしても、英語力では同じレベルである(6歳と12歳の英語力が同じレベルにあるなど)ということも測定することができますし、英語を用いて何ができて何ができないか、また何を学習すればよいかが明らかになるのです。
全世界、もしくは、日本全国で使える、英語力に関する「共通のフレームワーク」の導入が必要かつ有効であろうと考えています。

そして、2つめのカギとなる要素は、アセスメントの必要性です。

先生方にとって、あるいは、誰にとっても、その人の英語の能力を測るのは、非常に難しいことです。先ほどお話しした、英語運用能力の全体の基準としてのフレームワークを作り、さらにそのフレームワークのどこにその人の英語力が位置しているかを具体的に評価、測定するのが、アセスメントということになります。全体的な基準となるフレームワークがまずあり、英語という言語の運用について、何ができて何ができないかを明らかにするアセスメントというツールがあることが大切だと感じています。

これら2つの要素を日本の英語教育が持つことで、英語教育の環境をさらに整えることができるのではないかと考えています。
KT:
英語力を客観的に図るツールとして、TOEICとTOEFLが日本では主流ですが、他にどのようなツールが可能だとお考えになりますか?
BD:
勿論、英語力全体を測るアセスメントとして、TOEIC, TOEFLなど様々なテストが現在あり、いわゆる英語の4技能(話す、聞く、読む、書く)を測定するということが、すべてのテストに共通しています。しかしながら、文法、語彙、発音、流暢さ、綴り、文章構成能力など、特定の分野の英語運用能力が不足しているかを具体的に示すテストは少ないといえます。この点、英語のテストを受ける多くの人が陥りがちな問題に、「どうやって試験の点数を上げるか」に注力してしまい、本来の目標である、「どうやって英語力自体を向上させるか」を忘れてしまっている点を指摘したいと思います。

弊社のPTE(Pearson Test of English)Academicという英語テストでは、10のスキルを点数化することで、得意・不得意分野を自己分析し、今後の学習の指針とすることを可能にしています。PTE Academicは、何を勉強すればよいかを示してくれるスコアレポートを提供するという点においても、他の多くのテストにはない要素を持っていると自負しています。しかも、ヨーロッパ共通のフレームワークであるCEFRにも準じており、PTE Academicの点数によって、今、自分の英語力がどのあたりで、かつ何を強化すれば英語力を高めることができるかの指標を与えてくれるよう設計されています。

また、特徴の一つとしてリスニングセクションで使用されている素材が、他のテストのようにスタジオで録音された均質のものではなく、実際のレクチャーや会話を使用しているため、渡航後に大学の講義を受ける際にも即役立つようになっている点も強調しておきたいと思います。

やはり、PTE Academicの受験勉強をすることで、より具体的に試験結果から直接その人の英語力向上へと役立てることができると信じています。 また、アメリカや海外の大学に留学する際にも、自分の英語力の何が得意で何が弱いかを知っているために、ある意味、不安なく自信を持って進学することができるわけです。 URL: www.pearsonpte.jp.

それから当グループにはVersantという英語テストもあります。これは、日本人の弱い、でも、だからこそ注力しなければいけないスピーキング(及びリスニング)力を測定するテストです。10分間、電話またはパソコンを通して受験すれば、直ちに結果が出ます。高度な自動音声認識・自動採点システムで客観的に測定するので、実践的な英語コミュニケーション能力が正確にわかります。
このVersantは在日米国大使館や各国の政府関連機関、世界的大企業などで広くご採用いただいており、信頼性の高さには定評があります。日本でも英語公用語の進む中、ぜひより多くの企業様にご活用いただきたいですね。
URL: www.versant.jp
KT:
今後、日本でどのような事業展開をしていく予定ですか?
BD:
ピアソン桐原としては、日本市場でのあらゆる機会に対応したいと考えています。
現在は、主として高校を中心としたビジネスを展開していますが、今後は、中学校や小学校へも機会を増やしていきたいと考えています。現在、これらの市場展開を検討中です。
弊社は英語教育市場での強さが際立っていますが、実は、高校での日本語(国語)教育市場にも大きなシェアを持っています。今後は日本語の教材開発にも、さらに注力していきたいと考えています。
また、国際市場においては、最先端の出版を展開しており、英語教育、および日本語教育の分野での展開も将来的には考えています。

現在、テクノロジーは急激な変化を遂げており、特に教科書のデジタル化が推進されています。弊社でも多様化した教材の開発を進めており、今年に入ってニンテンドーDSソフト「TOEIC TEST スーパーコーチ@DS」を発売しました。このソフトは、著名なゲームデザイナーの監修の元、遊びの要素を取り入れゲーム感覚で楽しく勉強できるということで高い評価をいただいています。  URL: www.kiriharatoeic.jp.

さらに、我々が「デジタル・プラットフォーム」と呼んでいる、新しい基軸の展開も検討しており、ロンドン全市の小学校から高校では、先生と生徒が同じプラットフォームを利用して双方向でのやり取りが可能な教育環境を整えています。これはヨーロッパでも屈指の教育環境であり、今最も注目を集めています。
イギリスの教育庁とも協働で、この教育分野への貢献を続けているところです。
KT:
英語教育の伝統は、ヨーロッパやアメリカでは、その内容も方法も全く異なりますが、ピアソンとして、桐原書店と合併したことで、従来の桐原書店の出版や、高校での英語教育の方法にどのような変化を与えると思われますか?
BD:
アメリカおよびヨーロッパと日本とでは、実際のところ、教育の伝統が大きく異なっています。ピアソンの国際的なリソースを桐原書店のコンテンツでもフルに活用したいと考えております。たとえば、辞書の活用においても、既に広く使われているLongman Dictionary of Contemporary English(ロングマン現代英英辞典)では、コーパスを使った情報が用いられています。たとえば、jacket という単語ですが、引いてみると、単語の最初のところに、Top 2000 spoken word/Top 3000 written wordと記載されています。
あるいは、もっと日常的と思われる単語、high を引いてみると、 Top 1000 spoken word/Top 1000 written word という風に、話し言葉としてトップ1000位内、書き言葉としてもトップ1000位内にある語で、非常によく使われる語であることが表示されています。

これら、国際的リソースとも言える、弊社の膨大なコーパスを利用することで、どの語彙が最も英語でよく使われているかを容易に判断することができます。どの語彙が実生活で使われる頻度が高いのか高くないのかを教師、生徒両方で共有することができるわけです。

もしこのような概念が日本でも受け入れられるとすれば、日本の高校での活用を促進していけるのではないかと思います。
KT:
ピアソンの英語教材の世界的な経験とノウハウが、日本の英語教育方法の改善に理想としてはどの程度助けとなるとお考えですか?また、具体的に今の状況を改善するための具体的なステップをお考えでしょうか?
BD:
世界市場を見渡して、日本への導入で最も有効と思われるのは、現在弊社が進めている、ブレンディッド・ラーニング・アプローチです。すでに、全世界で展開を始めており、例えばアブダビ共和国でも採用され、その運営は、何とオーストラリアのシドニー支社で行われています。進化するテクノロジーと新しい教育手法としてのブレンディッド・ラーニング・アプローチが、日本でもお役に立てると信じています。
また、例えば、弊社の「MyEnglishLab」というシステムは、教室で使用する教材とオンラインの教材をミックスして教えることができるようになっています。オンラインシステムには、宿題などのアクティビティ、アセスメント、また教師向けのマネジメントツールが含まれます。生徒一人一人に固有のIDが付与されるため、生徒の学習状態や成績をシステム上で教師が容易に把握、確認することができます。このシステムを活用できる教材として、TOP NOTCHやNorth Starなどがお薦めしたいところです。URL: pearsonlongman.com/ae/myenglishlab/

また、現在、世界展開している事業として、ティーチャートレーニングのプログラムもあります。これも先生方のスキル向上に役立つはずです。

もう一つお薦めしたいのが、現在、アメリカ、イギリス、オーストラリア、アブダビの大学入学のアセスメントとして採用されている、Edexcelです。全国レベルで高校生の学力を測る方式で、イギリス政府に採用されています。今後は、日本市場でも、まずは、数学、科学の分野などで是非活用してもらいたいと考えています。

さらに、日本への直接的な貢献が可能になる分野として、「デジタル教科書」での貢献も視野に入れています。Microsoft社、Softbank社が立ち上げた、デジタル教科書教材協議会(DiTT)の理事も務めています。 URL: ditt.jp.

これらを今後段階的に、市場を見極めて投入していく予定ですので、是非、ご期待いただければと思います。これにより、日本の英語教育、また教育全体に対してなにがしか弊社として貢献できれば、これほど嬉しいことはありません。
KT:
確かに、日本市場でのあらゆる機会をとらえようとする気概を感じることができますね。長時間にわたり、ご協力、有難うございました!

大変ご多忙でいらっしゃり、今回のインタビューも、過密なスケジュールのなかで時間を割いていただき実現できました。

お会いして感じたのは、世界的な企業のマネージメントをしていらっしゃるだけに、まさに、異文化理解と受け入れの幅を感じる方だという点でした。また、とても気さくにインタビューにも答えて下さいました。今後、世界的ネットワークと日本の地域資産を融合した同社の動きから目を離せませんね!


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