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書評

子どもと共に歩む英語教育

2009年7月02日

tomoni.jpg 久埜百合・粕谷恭子・岩橋加代子 著
価格. 2100円 (税込)A5判 208頁


読み終えると児童英語教育の基礎講座を修了したような充実感がある。困った時や進むべき方向を見失いそうになった時には、この本を開けば答えが見つかるような安心感がある。著者ら三人の授業では、なぜ、子どもたちがいつも生き生きと英語を楽しんで学ぶことができるのか、そのヒントが見つかる。そして、自分でもレッスンプランのどれかを試してみたくなる。「子どもに英語を教える」ことの意味を伝えたいという著者たちの思いが伝わる。幼児期から学童期までも含む低年齢期の英語教育に携わるどの教師にも有効な書である。

著者の一人、久埜百合氏は、児童英語教育界の重鎮であり、小学校外国語活動の促進のために日本のあちこちに出向いている。共著者は、小学校での卓越した英語の授業が定評の東京学芸大学准教授粕谷恭子氏と、ぼーぐなん出版社の教務を担当し、公立小学校の英語活動サポートを続けてきた岩橋加代子氏である。長年にわたり教材開発を供にし、お互いの指導力を尊重し合うこのベテラン三人が、小学校で英語が始まるこの時に、「現代的な役割」を果たすべくタッグを組んで作り上げたのが、『子どもと共に歩む英語教育』である。

主著者である久埜氏は、50年余りの英語教育界での体験を授業風景や教育事情とからませながら語っている。この書一冊で、日本の児童英語教育史のほとんどが理解でき、現在のこども英語事情を知ることができる。さらに、最近の小学校外国語活動で話題が集中している『英語ノート』にまで言及し、実践的な情報も満載されているので、子どもに英語を教えることに興味のある学生、小学校で英語と格闘している教師、そして、小学校外国語活動について関心を持ちはじめた英語教師にも重宝な書だ。

第1章「子どもと英語との出会い」には、英語を教える際のたくさんのヒントが具体例とともに紹介されている。国内外の英語事情から、公立の小学校の状況、初めての授業への心構えなど、日本各地の小学校を訪問し、現場の先生方と触れ合っている久埜氏ならではの内容である。第2章「子どもはどのように学ぶのか」は、子どもたちと英語との出会いはどうあるべきか、そして、子どもが興味を抱く英語の授業とはどういうものかを語る。小学校英語教育の是非を論ずるのではなく、英語教育が実施されたとき、授業ではどのように英語を聞かせ、どのような教授法が効果的であるかを紹介する。

第3章「子どもと4技能」では、「聞く・話す・読む・書く」の4技能を子どもが習得するのに要する学習時間や、子どもたちが英語の独特な音を巧みにキャッチする様子などを紹介する。学習者が「自分で考え、判断し、理解を深める」ことができる活動が必要であるとし、教授者は「子どもが心で感じ取って理解し、表現していくことが学習の根底にあるように留意することが大切である」と言う。「4技能+1」を提唱して、「1はthinkingのことを指して、子どもの主体的な学ぶ力を養うこと」と説く。

本書の大きな特徴でもある第4章「教材」では、English in Action (ぼ〜ぐなん)制作時に重視したことを紹介し、教材を考える際のコツを、具体例を挙げながらわかりやすく説明する。圧巻は「40レッスンの指導のポイント一覧」とそれに続く40の指導案である。それを見れば即座に授業ができるほどに細部にわたっている。指導時に使う英語表現もレッスンプラン内の指導ポイントに織り交ぜて、簡潔な英文で示してあるので、初めて英語の授業をする教師にも心強い味方である。早口ことばのリストや絵教材を選ぶ際のポイントなども指導例を通して説明している。この章だけで独立した1冊の実用書になりそうである。

最終章の第5章「子どもに教えられてたどった道」では、久埜氏が英語を教え始めたころのエピソードや、実際の授業で起きた様々な問題を、自叙伝風に伝える。第1章と同様、子どもたちに、「(英語にまつわる)多くのことを学びながら英語を習得して欲しい」という氏の思いが込められた章である。子どもたちの学ぶ力の可能性を英語の授業を通して知ることができ、そして、「子どもと英語の出会い」に立ち会えるという、子どもに英語を教える教師ならではの特権を享受してみたいと思えてくる。

本格的に小学校で英語が始まるこの時期であるからこそ、英語教育に携わる誰にも読んで欲しい良書である。

関連URL:http://www.borgnan-eigo.com/shop/cgi-bin/item.cgi?item_id=0118&ctg_id=book&page=1
投稿者: 鈴木夏実(大妻女子大学・非常勤講師)



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