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こども英語教育エッセイ
中本 幹子先生
Nowhere or Now here?
児童英語教育「実践研究」家
児童英語テキスト「Learning World(全8巻)」著者
元 エイム・イングリッシュ・スタジオ主宰

中本 幹子
Mikiko Nakamoto
中国短期ホームステイに参加した高校生が、中国の高校生がみんな英語を話すことに驚きショックを受けて帰国しました。「だって、英語を使う場所がないもの。(We have nowhere to speak English.)」という言い訳はできないですね。中国でも日本でも条件はあまり変わりません。では、なぜ日本人は英語を話すことができないのでしょう。話すだけではなく、聞くことも、読むことも、書くこともできない。

その一つの理由として、英語を言語として使う「目的・意味ー purpose」を持たない英語教育であることが考えられます。

問1.  次の下線部が答えの中心となる疑問文を作りなさい。
Ben studied English with Sachiko in the library.

よくある設問ですが、児童英語教育経験者の生徒が、「先生、はじめからin the libraryと書いてあるのに、どうしてまた尋ねるの?」と言いました。

問2.  次の文を否定文にしなさい。
Tom goes to school.

この設問も問題点を見逃しがちですが、生徒は「Tomって何歳? どうして学校に行かないの? どうして、否定文にする必要があるの?」と言います。

では、次の文はどうでしょう。

  The sun goes around the earth.

これなら、否定文にする必要があります。否定文にする「意味」があるのです。


また、もう一つの理由に英語を使わなければならない必然性がない英語教育が考えられます。必然性がなければ必然性を作ればよいのです。第1回目にも書きましたように、児童英語教育では、必ず"here now"「今、ここで」英語を使う必要のある場面で、英語を使う作業が必要です。

活動例(1) WANTED: 写真は"WANTED"の活動です。(Learning World BOOK 1より)
画像をクリックで拡大【こども英語教育エッセイ】
画像をクリックで拡大

帽子、シャツ、パンツ、靴、かばんの、色の組み合わせが異なる10枚の絵を用意します。その10枚の中から、先生(またはボランティアの生徒)が1枚選びます。生徒は質問をしながら、どの絵を先生が選んだかを当てる活動です。

"What color is his shirt?" "What color are his pants?"というふうに質問しますが、先生の選んだ絵を当てるという"目的"があるので、質問をする"意味"があるのです。

「次の文の下線部が答えの中心となる疑問文を作りなさい」
 "The man's pants are green." との違いをわかっていただければ幸いです。


高学年では同じ絵を使って"聞く" "読む" "伝える" "異なる情報を総合して理解する"ことを課題とした活動をすることができます。(Learning World Book 2より)

クラスを5人ずつのグループに分けます。グループごとに1人1人に下記1−5の情報を渡します。生徒は互いの情報を口語で交換し、自分達の情報がどの絵に当てはまるかを探します。(グループごとに、異なる絵の情報を渡します)

例:  グループ1  1. His hat is red.
2. His shirt is green.
3. His pants are brown.
4. His shoes are blue.
5. His bag is orange.

  グループ2  1. His hat is red.
2. His shirt is yellow.
3. His pants are gray.
4. His shoes are black.
5. His bag is purple.

  グループ3  1. His hat is pink.
2. His shirt is green.
3. His pants are gray.
4. His shoes are black.
5. His bag is orange.


活動例(2) What do you have in your bag? : (Learning World BOOK 2)
画像をクリックで拡大【こども英語教育エッセイ】
画像をクリックで拡大

活動例(1)と同じく、かばんの中身が異なる絵を12枚用意します。その中の1枚を先生(ボランティアの生徒)が選び、生徒は次のような質問をしながら、どの絵かを探し当てます。

  生徒:  What do you have in your bag? Do you have... in your bag?
  先生:  Yes, I do. / No, I don't.

活動の後は、活動で使った文型をチャンツで定着させます。

  What do you have in your bag? (clap, clap)
What do you have in your bag? (clap, clap)
What do you have in your bag?  (clap)
Show me what you have.
Textbooks, notebooks, pencils, and an eraser.
No games, no comic books, no CDs, SEE?

日本では英語を実際に使う場は、ほとんどないかもしれません。しかし、「学校では英語の規則だけを教え、会話は社会に出てから練習する」という従来の英語教育の姿勢では、いつまでたっても英語を使える日本人は生まれません。英語は、使いながら習得していく言語です。

英語を使う場所は、Nowhere (どこにもない)のではなく、ちょっと頭を切り替えれば Now here (今ここで)になるはずなのです。

【講師】 中本 幹子
エイム・イングリッシュ・スタジオを主宰し、24年間にわたり約2,000人の生徒に英語を教えてきた。その間、幼稚園、私立小学校、国立教育大付属中学等でも教壇に立ち、短期大学、学会等では将来の児童英語教師養成ブログラムの講師を多数務めるとともに、行政が主導の幼・小・中一貫教育の英会話教育プロジェクトの委員長も務める。

アプリコット主催「児童英語教師養成講座」専任講師。
『Learning Worldシリーズ』『英語絵本シリーズ』『実践家からの児童英語教育法』等著作多数。

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