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こども英語教育エッセイ
中本 幹子先生
Necessity is the mother of learning.
児童英語教育「実践研究」家
児童英語テキスト「Learning World(全8巻)」著者
元 エイム・イングリッシュ・スタジオ主宰

中本 幹子
Mikiko Nakamoto
児童英語教育と中学英語教育の違いはレッスンの順序にあるということを先月書きました。 児童英語教育では、ターゲットの文やストーリーを先に教えるのではなく、課題活動から入る話をしました。課題を解く必要があるから、英語を学び使いたいと言う意思が芽生えるのです。では、課題のある言語活動とはどういったものをいうのでしょう。

大修館の『英語教育用語辞典』によりますと、Communication taskの定義は(1)学習目標として到達するべき特定の到達点や目標が設定されている。(2)目標言語を使って情報を交換しなければタスク(課題)を遂行することができない。(3)実際のコミュニケーションと同じ、もしくは似ている作業である。(4)タスク(課題)の内容は学習者の趣味・知的関心と合ったものである。(5)タスク(課題)を主体的におこなうのは教師ではなく学習者自身である 。したがってCommunication 活動はそれらの要素を持った活動といえます。

これらのタスク(課題)を私流に解釈すると、「特定の到達点、目標」に関しては、「言語目標」だけでなく「コミュニケーション能力を育む目標」が設定された活動を構成しなければいけません。そしてその目標は、活動をおこなう過程で生徒が自然に身つけることが大切で、事前に指導者が生徒に提示するべきものではありません。

例えば、先月のLet's make a face の活動では、言語目標は身体の部分(eyes, nose, mouth, hair)形容詞(big, small, long, short)色(blue, green, brown, black, blond)の語彙を覚えることです。

画像をクリックで拡大【こども英語教育エッセイ】
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一方コミュニケーション能力育成のための目標は「(1)答えが人によって異なる。1つでないことを認識する。(2)生徒側に「選択の自由」を持たせる。自分の考えを持ち発表する。(3)情報を正しく聞き取る。(4)他の生徒の意見を聞き、取り入れながら活動をする」等です。そのためには、指導者も「答えを最初から設定していない」活動です。

先月の活動は、指導者は、最初からどのような顔を作るのかを決めていません。顔が5つ黒板上にできたところで顎を描き、番号をつけます。

画像をクリックで拡大【こども英語教育エッセイ】
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次に、5つ顔の中から1つ選んで、その顔についてdescribe します。

"I have one in my mind. The face has big eyes, a big nose, and a small mouth. The hair is brown. The eyes are green. The hair is long. What is the number of the face?"

というように生徒に言いますと殆どの生徒がどの顔について先生が言ったかを理解します。

この英文の聞き取りは、リスニングテストとしておこなうと難しくてできない場合が多くありますが、この活動の場合、自分達の作った顔なので、まず「わかりたい!」という気持ちが先にあるため、情報を正しく得ることができるのです。全く英語が初めての小学1年生の子供達でも、この活動を簡単に楽しくおこなうことができます。子供達の潜在能力に驚かされますね。しかしここでレッスンは終わりません。ここで終わってしまうと、楽しかっただけで折角の英語が定着しません。定着は、文型・語彙の暗記を安易にさせる歌やチャンツを使ってします。

このレッスンでは、次のようなチャンツを使います。

Let's make a face.
Let's make a face.
Let's make a face.
Let's make a face.
   A happy happy face.
   A sad sad face.
   An angry angry face.
   A funny funny face.
   Eyes, nose and a mouth.
   Eyes, nose and a mouth.
   Eyes, nose and a mouth.
   Eyes, nose and a mouth.

同じ英文でも、リズムと動作をつけると子供達はすぐに覚えます。身体の部分の語彙の定着のために Head Shoulder Knees and Toes の歌を動作をつけて歌ってもよいでしょう。

次に、自分でfunny face を描いて、クラスの前で発表します。

画像をクリックで拡大【こども英語教育エッセイ】
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このように児童英語教育では、コミュニケーション活動 → 定着のためのチャンツや歌 → それを使って自分のオリジナルのものを作る → オーラルプレゼンテーションの順でおこなうべき、というのが私の考えです。

英語を勉強するのではなく、楽しい活動をすることが目標で、そのために必要な語彙、パターンを学ぶと考えた方が分かりやすいかもしれませんね。ただし、その「楽しい活動」は指導者がコミュニケーションタスクを考慮して注意深く構成したものでなければなりません。

文型や文法事項、スペルを教えるのではなく、ましてや、ダンスやゲームで終わらせない英語教育を、公立小学校に導入前にみんなでしっかりと考えなければ、 再び(いや、失礼!)時間と現場の努力とお金の無駄になっちゃいますよね。

※タイトルの原本はNecessity is the mother of invention. 「必要は発明の母」です。

【講師】 中本 幹子
エイム・イングリッシュ・スタジオを主宰し、24年間にわたり約2,000人の生徒に英語を教えてきた。その間、幼稚園、私立小学校、国立教育大付属中学等でも教壇に立ち、短期大学、学会等では将来の児童英語教師養成ブログラムの講師を多数務めるとともに、行政が主導の幼・小・中一貫教育の英会話教育プロジェクトの委員長も務める。

アプリコット主催「児童英語教師養成講座」専任講師。
『Learning Worldシリーズ』『英語絵本シリーズ』『実践家からの児童英語教育法』等著作多数。

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