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教師を動機づける講習を志向して
―教員免許更新制の予備講習報告 神奈川大学

神奈川大学外国語学部教授
高橋一幸
Takahashi Kazuyuki
   
「英語教育」2008年11月号(大修館)→ 目次はこちら 定期購読はこちら
From "The English Teachers' Magazine" November 2008 Vol. 57 No. 9 (Taishukan)

なんで突然に…!?

「"何故一年早く生まれなかったのか!?"、文科省を恨み、自分の生まれ年を呪い、職場の先輩教師が昭和30年以前の生まれで更新免除であることの不条理に憤って毒づき、試行実施の今年は"タダだから"を慰めに参加した私でした。」

記録的猛暑の8月早々の3日間、朝から夕方まで計18時間、神奈川大学で試行実施した教員免許状更新講習(教科指導の充実)を受講してくださったA先生からいただいた礼状の冒頭部分である。さもありなん。法律には施行以前にさかのぼって「不利益(?)」を及ぼさないという「不遡及の原則」があるはずなのに、突然決まって即実行。「なんで私が…」と思って当然、多くの教員が抱いた偽らざる心境であろう。

校種にかかわらず授業で一番大切なことは、児童、生徒を学習に動機づけること。その前提は、指導する教師自身が授業に動機づけられていることである。「どうすれば、現職の先生方を授業に対して動機づける一助となる講習ができるだろうか…?」実施に当たり、同僚の久保野雅史准教授とともに考えたのはこのことだった。

講習の目的

講習の対象は現職の中高の先生方。教えることのプロである。しかも、経験30年のベテラン教員も多数おられる。講師からの一方的な理論の紹介や技術の伝達のみ(assimilate)の、現場に還元できない研修では先生方の不興を買うのは5年間の英語教員悉皆研修の経験からも明らかである。新たな知識を自己の既存の知識や経験と結びつけ、自ら咀嚼しそれを再構成したときに、初めて真の学びが起こり、知識が生きた技能として内在化(accommodate)される(Roberts 1998)。実践から理論を吟味し、理論を踏まえて実践を科学する、そんな講習会をめざした。

テーマは「新学習指導要領をふまえたコミュニケーション能力育成のための授業設計と指導」、定員は40名で先着順。北は北海道、南は九州からも参加いただいた。以下、要項のイントロである。

「本講習では、新学習指導要領の趣旨もふまえて、4技能のコミュニケーション能力を育成する授業および評価方法改善の具体的視点を受講者に提供するとともに、グループ討議等を通して自己の指導を内省し、模擬授業演習(マイクロ・ティーチング:MT)を通して実践力を高めることを目的に、講義・討議・演習を実施します。せっかくの夏休み、受け身の研修でなく、受講者の主体的な参加を求め、参加者全員でともに学び、ともに創る講習会にしたいと考えています。」

試行講習プログラム

〈1日目:8月4日(月)〉

1.開講式とオリエンテーション(8 :50〜10 :20)[担当講師:高橋、久保野]

講師の自己紹介とアシスタントを含むスタッフの紹介、講習の概要説明、中高別グループ分け、受講者の自己紹介、個人目標設定などを話し合う。また、受講者に事前に郵送で連絡した3日目の MT のテキストについて補足説明する。

2.「生徒の学力の現状と授業改善の指針:新指導要領の趣旨をふまえて」(10 :30〜12 :00)[高橋]

文科省全国学力調査(教育課程実施状況調査)とスピーキングテスト(特定の課題に関する調査)の結果分析を基に、生徒の学力の現状を分析し、授業の問題点と改善の方向を模索するとともに、新学習指導要領改訂のポイントを整理する。

3.「授業改善の方法:アクション・リサーチのすすめ方」(13 :00〜14 :30)[高橋]

実践しながら授業改善を図る「アクション・リサーチ」の理念と方法を解説するとともに、講義2.での問題提起もふまえて、「問題点の特定→仮説の設定→実践→効果の検証と内省」(reflective cycle)の手順を具体的事例に沿って検討する。参加者は個々の授業改善のポイントを考え、グループで情報を共有する。

4.「コミュニケーションに資する文法指導:教師のための文法理解」(14 :40〜16 :10)[久保野]

新指導要領でも指摘されているように、文法指導とコミュニケーション重視の指導は二律背反するものではない。文法用語の記憶と問題演習に終始することなく、コミュニケーションに生きて働く文法指導のあり方について、具体的な文法事項を取り上げて参加者とともに考える。また、教師として座右に置きたい文法書も紹介したい。

5.まとめと諸連絡(16 :10〜16 :30)

第1日目の研修(講義やグループ討議)を通じて感じたこと、気づいたこと、疑問に思ったことなどを自己の授業実践に重ね合わせてふり返り、「ポートフォリオ」にまとめて提出する(翌日、講師がコメントを書いて返却)。また、2日目以降の課題を連絡する。

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「英語教育」2008年11月号


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【特集】教員免許更新制が始まる

来春から導入される「教員免許更新制」とは一体どのようなものなのか。30時間の更新講習とは、どのような内容なのか。この夏、前倒しで行われた予備講習の報告や、海外の状況、現場教師の研修への要望なども含めて、この新制度について紹介する。

<Q&A> 教員免許更新制とはどんな制度なのか
文部科学省教職員課
教員免許企画室
教師を動機づける講習を志向して
 ―教員免許更新制の予備講習報告 神奈川大学
高橋一幸
Spoon feedingからAutonomyへ
 ―教員免許更新制の予備講習報告 関西外国語大学
中嶋洋一
こんな講習をしてほしい
 ―小学校の現場から:英語活動の理論と実践両面を学べる講座を

竹内陽子
 ―中学校の現場から:既存の研修との違いに期待すること
奥住 桂
 ―高校の現場から:今までの実践を振り返り、授業改善へ生かす機会に
原 徳之
現職教員は講習に何を求めているか ―全国調査データから
臼井芳子
日本の免許更新制に求められる教員教育の基準化 ―海外の事例から
大崎さつき

[コラム]
「英語教員のためのアクション・リサーチ支援ネット ワーク」への誘い
佐野正之

[特集関連記事]
アクション・リサーチのメンター/メンティ制度のすすめ
三上明洋・三上由香

■英語教育時評
■アノ先生・ヒロ先生の日々の授業にひと工夫
■日本の英語教育200年
■木綿子先生の小学校・英語活動のお悩みQ&A
■<リレー連載>進化する学習者コーパス
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2 学校・会社
3 身近な物
4 算数
5 スポーツ
6 美容
7 病気・けが
8 料理・食事
9 子育て
10 恋愛
11 音・様子
12 英語あれこれ
13 日本の英語
14 体の部位


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