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ネイティブ教師向け
理系学生の読解・プレゼン・ライティング力を鍛える 大学での実践
長岡技術科学大学経営情報系准教授
村上直久
Murakami Naohisa
「英語教育」 2008年6月号(大修館)→
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From "The English Teachers' Magazine" June 2008 Vol. 57 No. 3 (Taishukan)
理工系大学での英語教師は微妙な立場に置かれている。そもそも教師自身は理工系大学の出身ではなく、そのため当然、理工系分野での専門知識は持ち合わせていない。さらに事態を複雑にしているのは、理工系大学では英語は他人が書いた研究論文を読んだり、自分の研究成果を発表したりするためのコミュニケーション・ツールと位置付けられていることが多いという点だ。換言すれば、理工系大学では英語教師はメインの科学技術知識を教える立場にないことから傍流視されがちだという状況がある。しかし、そうした逆風にめげずに、理工系学生に英語力を付けさせるためにさまざまな試みが行われている。
文法軽視のつけと基礎力不足
大半の大学では学部の一般英語を必修と選択に分けている。
必修科目は、市販のテキストを使う先生が多いようだが、気にかかるのは、近年、テキストがますます薄くなり、取り上げられる文章も短く、やさしいものが増えたという点である。ゆとり教育を受けた世代が大量に入学するようになったことや、大学全入時代に入り、大半の大学では入試英語の難易度が低下傾向にあることが一因だろう。もちろん、やさしく、とっつきやすい英文を多く読んでマスターすることはそれなりに意味があると思うが、実社会に出て難解な、歯ごたえのある英語に直面したとき、役立つかどうか大いに疑問だ。
それ以上に頭を悩まさせられるのが、基本的な文法事項の定着度の低さである。文型や品詞から説明しないと話が始まらないことが多い。筆者は、大学に奉職する前に長年、英文ジャーナリズムの世界に身を置いてきた。まだ駆け出しのころベテラン編集者から、正確で簡潔かつ読みやすい英文を書くには文法知識は必須であり、そのためには高校文法教科書の主要事項を覚えるだけで足りると言われたものだ。
フランス語やドイツ語など英語以外の外国語を学習する際、文法を軽視することは習得の妨げになるのは言うまでもないことだが、英語に限って軽視する傾向が今でもあるのは不思議であると言わざるを得ない。ただ、高校まできちんと英語の文法を習っていなくても、大学入学後、集中的に取り組ませればキャッチアップは十分可能であると信じている。主部と述部の見分け方や基本5文型の識別から始まり、仮定法あたりまで、英文を読む上でいくつかのツボとなる文法のポイントを絞って学習させると効果があるようだ。そして、優秀な学生に対しては、現在は絶版となっている、ジャパンタイムズ社の『和英翻訳ハンドブック』掲載の、誤用、時制の一致、定冠詞の用法、複数形の用法、無冠詞形の用法などを教えている。
ニュース英語――科学技術英語への橋渡し
入学する学生が皆、英語が好きで、得意なわけではもちろんない。苦手意識を持っている学生にとって英語の授業を「苦行」としてはならないのは言うまでもない。そのため、筆者は必修英語のクラスではニュース英語を扱ったビデオ教材を使ってきた。それも米 ABC や米 CNN、英 BBC など英米放送局で実際に流されたニュース番組を材料に編集した教材だ。
生きた、生の英語に触れられると同時に、高度なリスニングの訓練にもなり、教材も毎年新しいバージョンが発売されるので、教える側も飽きないという一石三鳥の効果を期待している。さらに、高校の英語教科書ではまず取り上げられないと思われる、イラク戦争やテロとの戦い、妊娠中絶や同性婚など論議を呼んでいるホットな話題も入ってくるという楽しみもある。語学を学ぶには語彙や文法に加えて使用されている国・地域の文化的背景を知る必要があることは言うまでもなく、その点でもニュース英語のメリットは大きい。
選択英語の授業では、英米の新聞の最新記事をネットで検索して、それを教材にすることが多い。特に日本をめぐる動きが英米のメディアでどのように報じられているか筆者自身も興味が尽きないので、学生の興味を引くためということもあり、日本関連のニュースを学期の初めには集中して取り上げる。その場合、背景説明はほとんど不必要で、その分、時間の節約になるという利点もある。
理系学生(学部)に対しては、ニュース英語に加えてやさしい科学系の読み物や科学トピックを扱ったビデオ教材を使用することもそれなりに効果的と思われる。科学系の読み物としては、英国のNatureや米国のScienceなどの論文集の中からニューススタイルに書き換えたものを編集したテキストが何冊か出ており、授業に役立てている。
ただ、留意しなければいけないのは授業のためにニュース番組を無断で録画して、著作権を侵害しないことだ。英BBCなどは全国の大学のシラバスをチェックしているとも聞く。そのため、市販のビデオ教材を利用するのが安全だ。
「英語教育」2008年6月号
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