まずは、grammar for writingなのかwriting for grammarなのかを議論してみたい。前者の意味は「ライティングに必要な文法」ということである。例えば、「昨日の出来事について書きたい」ので「過去のことを表現する方法が知りたい」という場面がある。すると、「動詞の過去形の指導」が必要となる。また、「物の説明をしたい」ので「名詞の説明をする方法が知りたい」という場面では、「『〜な名詞』はどう書き表すか」と考えると、「名詞の後置修飾(前置詞、to 不定詞、分詞、関係詞など)の指導」が必要であると分かる。つまり、書く際にどのように書けばよいのかを、文法の観点で整理することが、grammar for writingの意味である。
一方、writing for grammarの意味は、指導のポイントとなっている文法事項を定着させる手段として、書く活動を行うということである。「過去形」が指導のポイントになっていれば、例えば、「日記を書く」という活動を行うことができる。
grammar for writingにせよ、writing for grammarにせよ、書くというカテゴリーに属するものであるので、ライティングの教科書で扱うべき項目には違いない。しかしながら、両者ともにライティングの諸要素の全てをカバーしているわけではない。前者であれば、vocabulary for writingやorganization for writingなど他の様々な観点と並列に並べられることによって初めて、どの観点でシラバス構成を行うべきかが見えてくる。後者であれば、listening for grammar、speaking for grammar、reading for grammarのように、他の技能との並列関係の中で議論されて初めて、ライティングという手段を用いることが、最も定着に効果がある文法事項が見えてくるのではないか。もし、リーディングという手段を借りた方が、その文法の定着が高まるのであれば、その文法事項はreading for grammarの視点で指導されるべきである。高等学校の「ライティング」の教科書を以上のような視点で分析をした上で使用すると、効果的な指導方法が見出せるのではないか。
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