以前、University College London(UCL)の英語学科の大学院で学んだが、そこは、Randolph Quirk等がThe Survey of English Usageを作り、コーパス研究の先駆けとなった場所であった(幸運にもBas Aarts先生が授業に一度だけそのQuirk先生を呼んでくださり、1時間ほどであったが、Quirk先生からお話をお伺いしたことを思い起こす)。そのコーパスを利用した最大の文法書がA Comprehensive Grammar of the English Language(1985)であった。しかし、私がUCLにいたころ(1996‐1997)は、既にコーパス研究の最先端は、ランカスターやバーミンガムになっていたと思われる。
UCLではコーパスに関する授業は特になく(それ以前もなかったのかもしれないが)、理論を追求する態度を大事にしていたと思う。まだHuddleston and Pullum著のThe Cambridge Grammar of the English Language(2002)が出る前であったが、Quirk et al.著の記述に関して、それが生まれた場所で教えている研究者(先述のAarts先生)が問題点のいくつかを指摘していた。Quirk et al.(1985)は現実の用例を大切にしたが、それを説明する理論や整合性が足りないところがあるというのであった(私が UCL へ行く前にいたエディンバラでも、Keith Mitchell先生が似たようなことを指摘していた。いずれもHuddleston and Pullum(2002)の草稿を既に見ていた人たちである)。例を1つ挙げれば、たとえば、従属節の分類の仕方などである。
そのような空気を肌で感じられたことは、健全な批判力を養ってくれたと思う。自分の納得のいく説明を探し求める私の姿勢を、UCLのValerie Adams先生が、He combines, perhaps unusually, an open-minded interest in theoretical issues with a meticulous concern with data and with the details of English usage. と記してくれたことがある。この言葉が自分に当てはまるとは思われない。けれども、そのようにありたいと思い、この言葉を大切にしている。
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