アジア、アフリカ、中南米出身の登場人物は、1981年度の中学用で12%の課に登場し、1993年度用では32%に急増した。高校用では、若林俊輔氏らのThe New Century English Series I(1982年度版)が「諸外国の宗教・文化・人種などの相違を偏見にとらわれずに認め、相互理解を深める」(編修方針)として、多文化主義を打ち出した。この1980年代からは中・高を問わず、キング牧師に代表される人権問題や、酸性雨や森林伐採などの地球環境問題を扱う教科書が増えた。
1969年改訂の中学校学習指導要領では「聞く・話す」を中心にした「言語活動」が強調され、従来の文法シラバスからの脱却が図られた。中学用教科書のタイトルは一斉にReadersをやめ、明治以来の「読本」を脱した。翌年改訂の高校学習指導要領では「英語会話」が新設された。「英会話を教えられる教師が何人いるんだ」などと陰口をたたかれたが、当時の教科書を読み直してみると、なかなかよくできている。たとえば、田崎清忠氏らのOral English Workshop(1973年度版)をみると、冒頭でリズムやイントネーションを本格的に指導するなど、会話の基礎固めに効果的な構成となっている。
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