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マネージメント・コミュニケーションズ・コンサルタント eigonosuburi.com 主宰 NY 市郊外在住 浅田浩志
Asada Hiroshi
   
「英語教育」2006年11月号(大修館)→ 目次はこちら 定期購読はこちら
From "The English Teachers' Magazine" November 2006 Vol. 55 No. 10 (Taishukan)

時流のキーワードを読み取る

と言っても、この手の雑誌に限らずどのメディアでも同じだが、ある程度の知識体系がないと、読んで(あるいは聴いて、見て)も楽しめないのは事実だ。また特に現代のように情報過多で、すぐに情報が古くなり、また常に膨大な新しい情報が生まれていると、少し前の「雑誌や新聞を読むためのキーワード集」といった類の本等はすぐに古くなる。「鶏が先か、卵が先か」の議論ではないが、雑誌を読んで楽しむためには理解するために最低限必要なキーワードを知っている必要があるし、また、そういうキーワードを仕入れるためには、やはりその手の雑誌を日頃から読むことが必要なのだ(ちなみに統計的に使われる頻度の高い表現がキーワードかというと、必ずしもそうではない)。

さて、日頃から継続して読むことの意義を、具体的な例を使って考えてみよう。今のビジネスはインターネット抜きには語れないのはご存知の通り。そこでビジネスとインターネットという切り口で、2つの言葉を例に見てみよう。

VoIP (Voice over Internet Protocol):電気通信業界の力関係をくつがえす可能性のある技術であり、極めて重要なキーワードだ。この言葉が最初に Time で使われたのは2003年12月8日。“... voice-over-Internet protocol (VoIP) technology, which allows the transport of voice, data and video over the same network.”「音声、データ、画像情報を同じネットワークを通じて伝達する技術」この当時はまだ消費者にはなじみが薄く、この説明は間違いではないが、一般の人にはあまりピンと来ないだろう。記事を書いている本人も充分にその技術のポテンシャルを理解していなかったのかもしれない。

それに比べ、1年8か月後の2005年8月10日の記事では「インターネットを利用した超格安の電話サービス」と、消費者により解りやすい説明になっている。“... VoIP―short for voice over Internet protocol, the dirt-cheap phone service that lets users make calls via their cable or DSL modems.

実際は、電話の機能は単に VoIP 技術の応用手段の1つに過ぎず、他にも様々な用途がある。つまり VoIP を「電話サービス」に限るのは厳密には正しくないのだ。しかし、一般の人には「電話」以外の部分は直接関係がないので、それで通用してしまうわけで、「既存の電話会社の存続を脅かすインターネットを使った格安の電話サービス」という解釈で問題ないわけだ。キーワードもこのように徐々に元の意味から変わっていくことがある。

もっとも最近(2006年5月22日)は、単に “... making VoIP (Voice over Internet Protocol)phone calls” とだけして VoIP に関する詳しい説明はしていないことが多い。今となっては既知の言葉という扱いなのだろう。

spywareこの言葉が最初にTimeに出てきたのは2001年だが、以下は2002年10月7日のもの。“Spyware is any kind of program installed in your computer without your consent to gather information about you or your organization. A typical piece of spyware will watch over your shoulder while you browse the Web, record your mouse clicks and broadcast all that information back to another computer (ostensibly for marketing purposes).”「(マーケティングの名目で)利用者の気づかぬうちに、どういうウェブ・サイトで何をしているか一挙手一投足を記録し、その情報を他のコンピューターに送るプログラム」という詳しい説明をこの時点ではしている。まだ一般読者にはなじみが薄かったからだろう。

spywareによる被害(コンピューターのスピードが遅くなる等の問題)も増えてきたこともあり、2年8か月後の2005年5月27日には以下のような説明があった。“Spyware―programs that covertly send information about your Web activities to third parties―is often a big reason a computer is acting sluggish.”「こっそりと貴方のウェブの利用情報を第三者に送るプログラムで、よくコンピューターが遅くなるのはこのせい」と、短く、消費者にピンとくる説明だ。最近では2006年5月8日の記事に使われているが、そこでは意味の説明は全くない。既に読者は知っているという前提なのだ。

このように普段から継続して読むことで、新語が説明付きで紹介され、キーワードとなり、知識体系の一部となり、やがてなじみの言葉(household name)となっていく過程を実感できる。


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◆Table Talk on ELT
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◆今月の時事英語[若者ことば編]
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【特別記事】
<学校教育への提言 1>
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(吉田健三)
<学校教育への提言 2>
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(松沢伸二)
<学校教育への提言 3>
日本もこんな英語教育政策を:
韓国・中国の英語授業とそれを支える政策

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