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富山南高等学校(富山県立)
自由英作文への取り組み
ライティング能力向上を目指して


富山南高校教諭 仲井美喜子
Nakai Mikiko
   
「英語教育」2006年8月別冊(大修館)→ 目次はこちら
From "The English Teachers' Magazine" August 2006 Vol. 55 No.6 (Taishukan)


2)教科書を使った授業

ライティングの授業の2単位(理系は1単位)では、Prominence English Writing(東京書籍)を使って授業を進めた。毎時の授業は3部構成で、まず本校独自に選定した「30構文」定着のための演習で始める。2構文の例文を音読練習してから、構文を用いた課題英文を書かせる。次に Part 1 の文法事項で10〜20分例文音読や問題演習をする。最後は Part 2 の Lesson でリスニング、Q&A、音読練習をする。文系・国際コースでは発展問題も扱う(3学期には Newspaper Making Project でグループ活動をして、クラス新聞を作った)。毎週1回、Lesson に関連したテーマで英作文を宿題とする。”My Favorite Music“(音楽にまつわる思い出)、”My Horror Story“(おぞましい体験談)、”Mobile Phones、 Good or Bad?“(携帯電話の是非)、”I Am a Grasshopper.“(「私はバッタ」、など自分を動物やモノにたとえた創作)など、題を付けたハンドアウトを配付して、毎回100語以上書かせた。

教科書の Part 1 は例文や練習問題などに改善が期待されるが、Part 2 の各 Lesson は扱いやすいテーマが多く、毎週の英作文課題に適していた。Lesson の課題文は比較的短いので、なるべく暗誦させ、随時レシテーション発表もさせた。課題文の暗誦により、習った表現を英作文で効果的に使える生徒が多く見られるようになった。JTE 単独授業だが一貫して英語で行い、Q&A や音読のペアワークやペアテストなど、授業中には activity を多く入れるようにした。

さらに、中間、期末などの定期考査でも自由英作文を課して、本校独自の評価規準を利用して採点した。一定の基準を持つことは、生徒にもライティングの留意点が分かりやすく、文構成やつなぎのことばの使用に配慮する姿勢などが見られるようになった。


3)まとめと課題

T‐T の授業と JTE 単独授業でそれぞれ週1回の英作文課題があったため、生徒は毎週2回、年間では35回の英作文を提出している。さらに定期テストで5回、全校生徒対象の「自由英作文」テストを加えると、下表のように43回の課題に取り組んだことになる。書くことの習慣化で英作文への抵抗がなくなり、量的な蓄積で制限時間内に書く語数がかなり増えた。定期的に書かせる習慣は着実にライティング能力向上につながっていると思われる。


いくつか反省事項はある。まず、T‐T ライティングでは、授業中に生徒の common mistakes を指摘したり、ALT が丁寧に採点・添削した課題を返却したが、間違いを見直させたり、書き直しさせたりする指導が足りなかった。生徒のよりよく書こうとする意欲を引き出し、質的な向上を図る必要がある。また、JTE の課題については、提出評価点を与え、優秀作品を授業や英字新聞で紹介したり、年度末に各生徒が自分で選んだ best work に添削指導して「生徒作品集」にまとめさせたりした。しかしすべての添削は困難でも、生徒の作文のミスに下線を引いて自己添削で再提出させるなど、時間がかからず生徒にも効果的な方法を工夫する必要がある。また授業中の発表や作品掲示の回数を増やすなどして、継続的に向上心を維持させることも大切である。さらに、英作文技術向上のため、introduction―body―conclusion の構成を教えたり、discourse markers の使用を薦めたり、よりよいライティングの秘訣を指導することも取り入れたが、さらにフォーマルな実用英文(注文書や依頼文、推薦文など)も扱うべきかと思われる。また、Lesson の課題文暗誦のように、パスティッシュ(pastiche)を英作文の基礎作りに導入してはどうかと考えている。作家の修業に使われる名作の模倣練習で、原文を真似ることから文章作りに慣れ、自分の文体形成の礎とすることができる。これを英作文に応用すれば、英語の構造に慣れ、かつ文章の構成も学べるのではないかと思う。

2年間の取り組みをもとに、反省事項を改善して、今後のライティング指導などに生かしていきたいと考えている。

まとめ

SELHi の3年間で研究課題としたものの中で、ライティング能力評価は話し合いにも採点評価にも多くの時間をかけ、多くのスタッフが関わってきた。自由英作文は客観評価が難しく、規準も絶対化できなければ採点者自身も一定の基準を維持するのが困難だ。しかし、問題点はありながらも到達目標のある評価規準を設定し、それを指導者側も生徒も認識していることは意義がある。実施に当たり指導者も生徒も労力はかかるが、SELHi 指定後も、独自の評価規準をさまざまな英作文課題に継続的に採り入れていく予定にしている。共通の評価規準を持って、書く習慣を徹底し続けることを、本校のライティング指導の強みとしていきたい。

「30構文」については、構文演習(例題暗誦、和文英訳など)など単文での指導を多く試みたが、なかなか定着が図れなかった。取り組みとしてはむしろ、自由英作文の中でいくつかの構文を指定したり、構文をもとに英作文を発展させたりする指導の方が効果的かと思われる。いずれにしろ、語数を増やしながら英作文を書く習慣づけが、構文などの定着度を高め、communicative なライティング能力を育てるということは、SELHi の取り組みの中で強く実感したことである。


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「英語教育」2006年8月別冊



月刊「英語教育」について

英語教育2006年8月別冊

1,400円(B5判・128頁)


SELHiはこんな授業をしている
SELHiの指定を受けたふつうの公立高校で、どんな目標のもと、どんな試みがなされたか? これなら真似したい、これなら真似できる、魅力的な授業の実践集。

[巻頭言]よりよいSELHi研究を目指して
(松本茂)

■SELHi紹介と授業実践

1 入門期という黄金の時期:
自立的学習者を育てるには
(尾道東)
2 多量のインプットから良質のアウトプットへ:和訳先渡しのリーディング授業
(高知西)
3 速読から要約へ:
読むことと書くことを関連づけて
(岡山城東)
4 自由英作文への取り組み:
ライティング能力向上を目指して
(富山南)
5 「道具としての英語」力を:
段階的ライティング指導
(横浜商業)
6 オールイングリッシュの授業を目指して:一人ひとりの発信力を高めるために
(浜松湖南)
7 通常授業にスピーキング活動を取り入れる
(札幌国際情報)
8 ディベート・ディスカッションでスピーキング技能を
(米原)
8+ コミュニケーションの基礎はまず発音訓練から
(米原)
9 継続は力なり:リスニング指導開花
(千里)
10 日本人だけのイマージョン授業
(成田国際)
11 IT活用と学校間連携で「ヴァーチャル・ハイスクール」作り
(第一、熊本北、東稜)
12 こんな語彙・文法指導を
(尾道東高等学校)
13 シラバスの開発:
コミュニケーション能力を育てるために
(岡山城東)
14 生徒の伸びを知りたい!:
リスニング・スピーキング診断テストの開発・実施・検証報告
(千里)
15 独自のスピーキングテストで「話す」力と意欲を伸ばす
(米原)
16 地球市民育成プログラム:
テーマ学習を「学校設定科目」として
(高知西)

【本音トーク座談会】今こそSELHiについて語ろう

[調査報告]SELHiの実態調査:中間報告(小池生夫・椎名紀久子・緑川日出子・村野井仁・若林茂則)

<資料>SELHi指定校一覧

本号収録の授業実践校一覧

■巻末付録・授業実践資料集

(1)-(32) 授業実践1〜16の資料一覧
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