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電子辞書指導の視点:
必要は「使用」の母・「使用」は継続の友



埼玉県立皆野高等学校教諭 中畝 繁
Nakaune Shigeru
   
「英語教育」2006年3月号(大修館)→ 目次はこちら 定期購読はこちら
From "The English Teachers' Magazine" March 2006 Vol. 54 No. 13(Taishukan)


3)単語帳機能

引いた語は履歴に残る。この機能は引き直しに便利だ。また引いた語のうち別枠に囲っておきたい語は単語帳に入れる。以前はただ囲うだけで1つしか単語帳が作れなかったが、現在は複数の単語帳が作れ、しかもチェック欄が付き、ソートも複数可能な編集機能が付いた。学習者が簡単に自分の語彙学習を管理できるようになった。教科書の教材は単語帳1、演習問題用に単語帳2、リスニングの時聞き取れなかった語のリストに単語帳3、発音アクセント問題で頻出の語のリストに単語帳4というように自由にいじれる。生徒にとっては多機能のケータイをカスタマイズする感覚の延長で使えるはずだ。少し助言してアイデアを提供してやるだけで活用が増す。それに音声付きならその語の発音も確認できる。

4)学習コンテンツの活用

以前の電子辞書は拡張性のない、閉じた世界だった。だが、現在は内蔵のものに別売コンテンツやコンピュータから任意のtextも加えられ、ユーザーが内容を一部添加できるような「どこでも学習機」になった。

(1)例文の発音付き単語・熟語集

市販の売れ筋のものがhandheldのPSPソフトのような感じで扱える。未習と既習はチェック欄で区別していく。確認テストはクイズ形式で供給されている。音声付きの場合は例文が聞けるので、簡易のディクテイション・口頭和文英訳等発展的に使える。

(2)多読用レベル別Retold小説

語彙制限のあるOxfordのBookwormsなどが内蔵されている。読んでいて分からない語があったとき、紙の場合は巻末の英英グロッサリーを使うわけだが、電子だとカーソル移動・決定キー操作で任意の辞書が使え、元の読書画面に瞬時に戻れる。また再読の時は前回読み終わった画面から入ることも選べる親切設計になっている。ネット上で日本語連載物語を読んでいる生徒には違和感はないはず。

(3)センター試験リスニング・TOEIC問題集

現時点では新顔のリスニング問題も実施済みで旧聞に属するが、対策は日頃の練習が鍵だ。細切れの時間の有効活用に向いているだろう。

5)その他

電子辞書からの発展形態に携帯型英語学習機とでもいうような機種もある。具体例はDr.VoiceNeo(セイコーインスツル製)など。機能としては、学習テキスト・音声プレーヤー・辞書を1つの筐体に納める事ができるものだ。コンテンツは別売で、リスニング教材はTOEIC、英会話、センター試験、CNNライブCD全10巻、多読+リスニング教材(既述のBookwormsが6レベル100冊分入っている。そのうち20冊分は朗読付き)例えば、「CNN」の場合英文テキスト表示・対訳表示画面が選択可。キーワードチェック欄があり、獲得した新語の文字像と音声像の一致具合を聴取後確認できる。

6)辞書のおもしろさを伝えよう

昨今はテレビ番組にも『クイズ日本語王』のような辞書関連のものが出てきた。視聴しながら一緒にやってみると私の出来は悪い。自分の自惚れほど母語の知識はしっかりしていないことがわかる。教室で「こんなのがあった」「これってヘェーだよね」のノリで生徒に自らの発見を提示するのもよいのでは。例えば電子辞書に標準搭載されることが多い百科事典風辞典である『広辞苑』も実はなかなか面白い。例えば、犬の定義の最初は「(1)ネコ目(食肉類)イヌ科の哺乳類」で始まる。犬って猫の親戚? また春の定義には「天文学的には春分(3月21日頃)から夏至(6月22日頃)まで」とある。夏至は夏ではないのか?(この部分は次期6版では訂正になるだろう)広い意味での、ことば力をつけてやるのも必要かと思う。

おわりに

難しい辞書も自分が高校生だった時は「辛抱して一生懸命学んだあかつきに使えるようになる」と信じていた。これは現在でも間違ってはいないと思うが、教師として生き残るためには多少の意識の変革が必要だとも思っている。それは「英語を学びながら使い、使いながら学ぶ」だ。今の生徒は社会の雰囲気に敏感で「到達目標」「数値目標」「期限設定」と結果をすぐ求めてくるが、地道な根気・年期のかかる努力はいやがる。それでもケータイやネットや一斉授業でできること、できないことがある。一斉では不可能なことは落ち穂拾いしていくことになる。生徒が持っている英語関連の各種教材を、本人の学習発展段階に応じて指導していくことがこれからは大切になると思う。

もう少しすると卒業式だ。巣立つ生徒たちが継続して職場で、上級学校で、英語を使い続けてくれるだろうか? そんな気持ちで、今この原稿の傍らにある新聞に目をやったら、社会人向け大学院の広告の文句が目に入った。曰くYou never graduate from learning. Advance your professional skills. Upgrade your credentials.そうだ、最後の授業はこれをネタにしよう。手垢にまみれたGeniusをかざしながら、こう言おう。「学校は卒業できるけど、学びからは卒業できないからね」


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「英語教育」2006年3月号



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【特集】「辞書」の使い方・使わせ方

紙の辞書、電子辞書、コーパスなど様々な「辞書」のある時代、溢れる情報の中で、すぐ答を知りたがる生徒にどう指導するか。教師自身はどう活用できるか。“使える”辞書の最新ガイド。

<生徒にどう使わせる?>  
中学校での辞書指導:ハジメの一歩 関 典明
高校での辞書指導 工藤洋路
電子辞書指導の視点:
必要は「使用」の母・「使用」は継続の友
中畝 繁
<教師も使いこなそう!>  
英語教師をめざす人のための辞書活用ガイド 村野井 仁
ネット辞書、コーパス、新しいレファレンスの使い方 西納春雄
文法・語法を調べたいときのお奨めは 西澤正幸
<辞書を読む・辞書を楽しむ>  
語義のあり方について 国広哲弥
翻訳者の事典の読み方 若島 正
引用句辞典の楽しみ方 豊田昌倫
[コラム]  
最初に教えておきたい辞書の読み方 池田真澄
辞書のレーベルを読もう 井上永幸
子どもと英語辞書で遊ぶ 久埜百合

■英語教育時評
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■英語の辞書を考える(最終回)
■ゆかいな仲間たちの「授業見学」(最終回)
■新しい教室英文法

◆英国の中世神話・伝説の世界
◆〈巻頭エッセイ〉英語ダイアリー(最終回)
◆本当はコワイ! イギリスホラー(最終回)
◆アメリカ都市物語(最終回)
◆柴田元幸の洋書びっくり箱
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はじめに
第1章  文――英文全体を概観する
第2章  主語
第3章  助動詞
第4章  動詞
第5章  目的語
第6章  補部
第7章  付加部
第8章  従属節
主要参考文献
索 引

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