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中国の英語教育から見えてくるもの


明治大学教授 尾関直子
Ozeki Naoko
   
「英語教育」2006年2月号(大修館)→ 目次はこちら 定期購読はこちら
From "The English Teachers' Magazine" February 2006 Vol. 54 No. 12(Taishukan)


中国と日本の学習指導要領はどこが違う?

今回訪れた学校は、北京東四九条小学校、上海交通大学附属子弟小学校、北京第66中学校(高校も含まれる)、北京師範大学第2附属高校であるが、どの学校の授業でも生徒の授業参加が非常に活発であった。また、教師は流暢な英語を使い、授業はほぼ100%英語で行われていた。私たちが学校を訪れたのは9月の下旬で、まだ新学期(中国はアメリカなどと同じで9月が新学期である)が始まったばかりだというのに、教師と生徒の関係が非常に密で、授業の雰囲気は和やかで友好的であった。このような授業を実施する基盤となる中国の英語課程基準の内容はどのようになっているのか次に考えてみる。

英語課程基準の理念とは?
現行の英語課程基準2001年度版(既に改訂版を準備中)は、従来重視し過ぎてきた文法と語彙知識の解説及び伝授から生徒の言語運用能力を高めることを重視しようとする改革の試みであった。

応用言語学のさまざまな新しい考えに基づいて作成された課程基準の基本理念には次の6項目がある(以下、課程基準の内容は、緑川、笹島監修の課程基準訳を参考にした)。1)すべての生徒の素質を伸ばす教育を行う。2)初等中等教育の一貫した目標を定め、柔軟かつ適切に遂行する。3)学習者中心の授業をする。4)タスク中心の指導を行う。5)学習プロセスを重視した多様な評価をし、評価の主体も生徒自身を含め多様にする。6)音声、テレビ、ネット、雑誌などを含めた豊富な教材を使用する。

この6つの理念のもとに設定された目標とはどのようなものなのか次に考える。

英語課程基準の目標
英語課程基準の目標は、生徒の総合的な言語運用能力を育成することにある。その言語運用能力とは、1)言語技能、2)言語知識、3)意欲・態度、4)学習ストラテジー、5)異文化理解能力の5つの要素から構成されている。この5つが統合的に機能することにより、総合的な言語運用能力の育成が促進されると課程基準は明記している。日本の学習指導要領では、意欲・態度、それに関係する学習ストラテジー、さらに、異文化理解能力に関する具体的な目標設定はされていない。

総合目標は1級から9級まで設定されており、さらに、上述の5つの要素別にそれぞれの級の到達目標が設定されている。総合目標レベルの1級は小学校3・4年の到達目標であり、2級は小学校5・6年の到達目標である。その後、中学卒業時で5級を、高校卒業時では8級を目指している。しかし、現実には、普通高校では、6・7級を到達レベルとし、進学校では、8・9級を到達レベルとしている。

言語技能の到達目標に関しては、ほとんどが「〜できる」という表現で明確に記述されている。ちなみに中学卒業時の到達レベルである5級レベルの目標を1つずつ紹介する。

リスニング―自然な速度の物語や記述文を聞き取ることができ、物語の因果関係を理解できる。

スピーキング―平易な話題において情報を提供でき、自分の意見を簡潔に述べ、ディスカッションに参加できる。

リーディング―目的に応じて、基本的なリーディング・ストラテジーを使用し、情報を得ることができる。

ライティング―独力で短い文や手紙を書くことができ、教師の指導で修正ができる。

このような到達目標をみると、英語教育の質の高さがわかってもらえると思う。次に、中国の英語教育の量的な面にふれてみる。

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「英語教育」2006年2月号



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日本の英語教育はどこに向かっているのだろうか?小学校から始める?他の外国語教育はどうする?諸外国の外国語教育の成功例・失敗例を元に、これからを占う。

諸外国の外国語教育からの示唆 大谷泰照
フランスの外国語教育は今 西山教行
シンガポールの光と影に学ぶ 大原始子
オランダの多言語教育からのヒント 林 桂子
中国の英語教育から見えてくるもの 尾関直子
イングランドの外国語教育 中尾正史
日本の英語教育のスタートを考える 松川禮子
多言語・多文化主義から見た
これからの日本の英語教育
河原俊昭

■英語教育時評
■菅先生に聞こう! 授業の悩みQ&A
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