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やる気も双方向で!


長野県須坂園芸高校教諭 室井 明
Muroi Akira
   
「英語教育」2006年1月号(大修館)→ 目次はこちら 定期購読はこちら
From "The English Teachers' Magazine" January 2006 Vol. 54 No. 11(Taishukan)


「次のテストの目標は60点!」

生徒:「先生、次のテストは60点取れるように頑張るよ」
先生:「すごいね! 大進歩だな」
生徒:「俺さ、英語で50点以上取ったことなかったんだけど、初めてだよ、こんなに取れたの」
先生:「だから言っただろ。できるようになるって」

2学期の中間テストの後に交わした生徒との会話である。今まで30点前後しか取れなくて、追試の常連だった生徒が嬉しそうに私に話しかけた。どの生徒ともこんな会話が交わせたらいいと思うのは、教員をやっていれば皆そうだと思う。もちろん、すべての生徒がこんなうまい具合に点数が上がるわけではないが、現任校に来て7年、右往左往しながらも取り組んできた成果が徐々に出てきているのではないかと思う。

「英語なんてわからなくてもいいじゃん!」

私が勤務する長野県須坂園芸高校は、その名のとおり農業高校である。1学年4クラスで園芸科・農業経済科・造園科があり、2年次から選択で10コースに分かれ、週数時間それぞれの学習をするが、普段はミックスクラスで普通教科を学んでいる。赴任したばかりのころは、教室に行ってまずすることは生徒を席に着かせること、教室中に散らかったごみを掃除すること、夏は床にゴロンと横になって熟睡している生徒を起こすこともあった。無理やり授業に参加させようとすると、「うるさい!」とか「いいじゃねーか、眠いんだから」と言ったり、完全にこちらを無視する生徒もいた。しかし、今は授業に行くとたいていの生徒は準備をして待っている。教師にとってはずいぶんと「楽」になったものである。

しかし、「なんで英語なんて勉強するの」とか「英語なんてわからなくてもいいじゃん!」とか、生徒たちにとって英語は「苦手な教科」であることはあまり変わらない。そして、成績が悪くてもあっけらかんとして「だって、英語苦手なんだもん!」と言って屈託なく笑ってはいるが、それでも少しでもいい点を取りたいと思うのはどの生徒も一緒だ。それが冒頭の会話によく現れている。

教師として、生徒のこのあっけらかんとした部分と内面にある気持ちとのギャップを埋めてやることが重要な役割だと感じている。それは、「やる気を引き出すこと」と同意だと思う。

「必ずわかるようにしてあげるからね!」

生徒のやる気を引き出すために、まず行うことは、生徒に授業はいやじゃないなと思わせることだ。そこで、最初の授業では、「一緒にやれば必ずできるようになるから、頑張ろうな」と言って生徒を励ますことにしている。

これは以前勤めていた学校でのある先生との出会いがきっかけだ。その先生の受け持つクラスは、なぜか成績がアップしていくのである。不思議に思って「なぜ先生のクラスはこんなに成績がよくなるのでしょうか」と尋ねた。すると「別に特別なことはしていないわよ」という答え。そんなはずはないと思って、授業の進め方や教室での生徒たちの様子を聞いていくと、「私ね、最初の授業のときに『絶対わかるようにしてあげるからね』って言うのよ」という答えが返ってきた。

生徒の気持ちをどうつかむのか、そしてそれをどうやって伸ばしてやるのか。この一言にずいぶんと教えられた。怒って感情的な言葉は使わなくて済むような授業展開を心掛け、ほめる言葉と励ます言葉をたくさん使うようにしている。

私の key expressions は次の3つである。

 ○きっとできるようになるよ
 ○大丈夫だよ
 ○やったね

高校に入ったばかりの1年生に、「先生、何で英語ってあんなに難しいんですか」とよく問いかけられる。そんなとき、近年の私は、「きっとできるようになる。大丈夫だよ」と答えている。多くの生徒たちは中学校のときに英語に対して自信をなくしている。とにかくそんな生徒たちが希望をもって授業のほうに向いてくれるようにすることが大切だからだ。最近は、いわゆる進学校の生徒たちでさえも家庭学習の時間が極端に少ないと言われている。私の受け持つ生徒たちの中にはゼロというものも多い。従って、授業でいかに集中させるかが教師にとっては最重要課題だと思う。そのために、まず生徒に「ああ、この先生の授業ならちょっとやってみようかな」と思わせるような仕掛けが必要だと思うのである。

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「英語教育」2006年1月号



月刊「英語教育」について

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【特集】「やる気」を引き出す

英語への興味を引き出し、かつそれを持続させるにはどうするか。既に苦手にしている生徒、力はあるのに無関心な生徒への対し方は? 英語学習への「やる気」「動機づけ」を理論と実践の両面から考える。

最初の1歩:入門期・再入門期 泉惠美子
やる気も双方向で! 室井 明
やる気を継続させるための年間計画 本多敏幸
「やる気」をどう測るか 廣森友人
「やる気」の心理学 山森光陽
教師のやる気はどこから生まれる? 吉田達弘
動機づけ理論からの指導ストラテジー 米山朝二
<コラム>  
生徒の“苦手”のみつけ方 松下信之
生徒の声から:やる気が出た/
やる気をなくしたきっかけ
村越亮治
クラリネットの練習から「やる気」
を考える
松本 茂

■英語教育時評
■菅先生に聞こう! 授業の悩みQ&A
■大学の英語の授業をデザインする<新リレー連載>
■英語の辞書を考える
■新しい教室英文法
◆英国の中世神話・伝説の世界
◆〈巻頭エッセイ〉英語ダイアリー
◆本当はコワイ! イギリスホラー
◆カタカナ語文化論:日本語と英語の狭間に漂うもの(最終回)
◆柴田元幸の洋書びっくり箱
◆アメリカ都市物語
◆使ってみよう、ネイティヴの表現

大修館よりオススメの新刊

[基本単語徹底活用]英語のクロスワード101

山岡憲史 著(やまおか けんじ)
1,260 円 (B6判・232頁)

日常の中で頻繁に用いる基本単語1400を、楽しみながら確実に身につけるためのクロスワードが101題。日本語訳だけでなく、書き換え、空所補充など、問題形式も多彩で、ぜひ身につけておきたい単語を、パズルを解くうちに自然と繰り返し学ぶことができる。

【本書の特色】
クロスワードの魅力を英語の勉強に生かして、愉しみながら英語力をつけることができるなら、知らず知らずのうちに英語の知識も増え、英語に対する感覚が身につくはず――この本は、そんな願いを込めて作ったものです。遊びながら最大限の英語力をつけてもらえるよう、パズル面の語を覚えるという「語彙増強効果」のほか、タテ、ヨコのカギからもできるだけ多くの英語を学んでもらおうという意図を込めました。

パズル面では略語・難語をできる限り排除して、頻繁に使われる基本単語1,400語を取り入れました。また、従来のクロスワードパズルの多くが、カギに類義語や単語の意味だけしかしるしていないのに対し、本書では、熟語や言い換え、ことわざなど英語の基礎的な知識をふんだんに盛り込みました。さらに、例文や背景的知識・文化情報などにもできる限りの紙面を割いて、単にパズルのヒントであるだけでなく、語の使い方やイメージが理解できるように工夫しています。(「まえがき」より)

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