「英語教育」2005年11月号(大修館)→
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From "The English Teachers' Magazine"
November 2005 Vol. 54 No. 9 (Taishukan)
Retired Names
野球界では多大な功績を残した選手の栄誉と功績を末永く称えるために、その背番号を二度と使用しないように欠番にする。ハリケーンの名称でも同様に少なくとも向こう10年は使用しない名前がある。それは、甚大な被害、損害をもたらし、一般大衆が当分は忘れることのできないものの名前だ。近年では
Andrew、Diana、Bob、Hugo などの名前があるが、それらの名前はAで始まる別の男性名、Dで始まる別の女性名というように置き換えられる。今年8月末に、超大型ハリケーン
Katrina がルイジアナ州、ミシシッピ州などを襲い、日本の本州とほぼ同面積の地域が被災地となった。この名も Retired
Name となるだろう。
擬人化とユーモア
テレビやラジオのレポーターは Hurricane Dennis というようにハリケーンを呼び、その後のコメントでは
the Hurricane や Dennis、the Storm、というような呼び方をし、代名詞には It を使う。しかし、一般市民はハリケーンが
Dennis であれば、それをあたかも人間として扱うかのように、He を使用する傾向がある。やはり直接被害を受けるからであろう。
大型ハリケーン上陸となると、地域住民は一斉に避難するが、商店主は店のウインドーが破損されないようベニヤ板をうちつけたりとにかく被害が最小となるよう一生懸命だ。テレビではその様子が放映されるが、ベニヤ板にペンキで何やら書いている住民が映し出されることがある。何を書いているのだろうとよく観ると、"Go
Away, Emily", "Bull's Eye", "Welcome
to Paradise" など多彩だ。Bull's Eye(命中)と書かれた後にはダーツの絵もごていねいに描かれている。また
Welcome to Paradise の後には、ヤシの木のイラストが、緑色のペンキで描かれているのである。"Save
our Barber" は、理髪店に打ち付けられたベニヤ板に書かれていたものであるが、新聞記事の説明によると、ここの床屋の常連客が、ハリケーンに向けて「後生だからこの店を直撃しないでくれ」という「願い」をこめて書かれたそうだ。
7月に襲来したハリケーン Dennis が去った後、フロリダ州の無残な街の様子が放映されたことがある。高級住宅はもはや原形をとどめず、板切れが散乱している状態。かろうじて被害の少なかった個人宅のプールにはどこからか飛んできた車が浮いている。ヤシの木は根こそぎやられ、道路に横たわっている。ハリケーンの威力をまざまざと見せ付けられる中、瓦礫の上に1枚のベニヤ板が置いてあるのがテレビで写った。"Damn
You, Dennis"。もし現在でもハリケーンに St. Francis のような聖人の名前が使われていたら畏敬が先にたち、住人はこんな落書きは残さなかっただろう。ましてハリケーンが未だに緯度と経度のコンビネーションの名前であったら、あるいは日本のように台風15号のような呼称であったら、このような落書きにはお目にかかれなかったかもしれない。
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