「英語教育」2005年11月号(大修館)→
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From "The English Teachers' Magazine"
November 2005 Vol. 54 No. 9 (Taishukan)
"Dennis ran at full speed and delivered a hard punch."、"Emily
took a jog to the right and gained strength.". これらのコメントは人間のデニスやエミリーの行動についてではなく、アメリカでのハリケーンに対するニュースキャスターのコメントだ。ハリケーンという災害に人名がついている。
アメリカでは6月から11月にかけてがハリケーンシーズンとなる。フロリダ州、アラバマ州、ジョージア州がハリケーンの通り道となっていることが多い。それ故か
University of Miami のフットボールチーム名は "Miami Hurricanes" だ。Hurricane
の名前の由来は、スペイン語経由であるが、西インド諸島で話されていた言語のひとつであった Taino 語で "God
of Storm" を意味する huraka´n からだといわれている。
女性名になった経緯
何故ハリケーンに人名がついたのだろうか。19世紀〜20世紀初頭には聖人の祝日に上陸したハリケーンなら、Hurricane
Santa Ana や Hurricane San Felipe という聖人の名前が、また the
Galveston Hurricane というように上陸した場所にちなんだ名前がつけられるようになった。当時はよほどの大型か甚大な被害を及ぼしたハリケーンにのみ名前がつけられていたようだ。ただ複数のハリケーンが発生すると、どれが先に発生したのかが不明瞭になる。また一般大衆にハリケーンの警告を出す際、どのハリケーンが危険であるのか混乱をきたすことにもなる。そうするうち親しみのある人名をつけたほうが覚えやすくて使いやすいという認識が高まってきた。
そんな中で George R. Stewart が "Storm"(1941年)という小説を発表した。小説内で著者はストームに女性名
"Maria" とつけた。その小説は大衆に愛読され、戦場に駆り出された兵士のあいだでも読まれるようになった。特に空軍や海軍の気象学者はその本に刺激を受け、太平洋で発生した熱帯暴風雨に母国においてきた愛妻あるいはガールフレンドの名をつけるようになった。戦後は大西洋で発生した熱帯暴風雨にも女性名をつけるようになった。西洋では船にも愛妻の名前など女性名をつけることが多く、違和感がなかったと思われる。
男女同権となったハリケーン
この間、緯度、経度のコンビネーションによってハリケーンを識別していた「迷走期間」もあった。また1951年からの2年間は
Able, Baker, Charlie などの radio phonetic alphabet(無線用アルファベット)順で呼んでいたが、Alfa,
Bravo のように新しい phonetic alphabet が導入されると命名に紛らわしさが生じた。戦時中女性名をつけることで順調に行っていたことに鑑み、ついに1953年に女性の名前をつけることが正式に決定された。しかし男女同権運動が盛んになるにつれ、女性だけの名前が甚大な被害を及ぼすハリケーンにつけられるのは許せないという声が高まり、1979年には男性名も採用されることになった。
ハイチ、ジャマイカなどのカリブ海諸島の国々や、フロリダ州、アラバマ州などに上陸するハリケーンは北大西洋で発生したものだが、ここで発生するハリケーンの名は予め
National Hurricane Center で決められ、The World Meteorological Organization
が管理をしている。名前のストックは6年分なので、2005年に使用されたリストは2011年に再び使われることになる。年間リストにある名前の数は21で、ABC
順で男女交互に、名前がつけられていく。つまり命名順も男女同権精神にのっとり、例えば今年使用されるリストのAが Arlene というように女性名から始まっていれば、翌年使用されるリストではAは
Alberto という男性名で始まる。ただし、Q、U、X、Y、Z で始まる名前は少数過ぎるということで、選択されていない。これらの名前は英語だけでなく、ハリケーンの発生する地域の国々で主に話されている言語ということで、フランス語、スペイン語からも選ばれている。
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