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Web はライティングに役立つか?
リーディングからライティングへ


中部大学助教授 小栗成子
Oguri Seiko
   
「英語教育」2005年9月号(大修館)→ 目次はこちら 定期購読はこちら
From "The English Teachers' Magazine" September 2005 Vol. 54 No. 6 (Taishukan)


翻訳サイトへダッシュ

おそらく学生が、母語を翻訳サイトに入れて、気軽に頂戴してきた英語を、学生が費やした時間と労力の何倍もかけて添削指導をすることほど、教師にとって哀しいことはない。発信型に魅せられて「自分の考えを自由に書いて」と言えば聞こえがよい。20世紀の学生なら「自由」と言うだけで羽ばたき、英語が苦手な学生すら目を輝かせたものだ。しかし、現代ではどうか。すぐに翻訳サイトに吸い込まれていってしまうのがオチだ。

確かに、翻訳サイトも使いようだ。しかし、ここでの指導目的は「翻訳サイトの効果的な活用法」ではなく、「自分の英語を磨く」ことだ。「書く」とは、自分の語彙や表現を使い、あるいは、調べた語彙や表現をそこに加えて、文を一歩一歩整えていく作業だ。自由なライティングをさせる学習効果に疑問を持ち始めた私が向かったのは、英語のまま読み、英語のままレポートしなければならないような課題作りだった。

web をリーディング素材に

実社会に通用する英語を読む、となると web は教材の宝庫だ。とはいえ、大量な英字の並びに怯えた学生が、翻訳サイトに依存することは、第一に避けたい。情報が豊富で、英語が多彩であればこそ、どこで、何を学ばせようとするのか、教師自身が楽しみながら、目的を絞って課題を作ってみるのがよい。いくつかの課題を経るに従って、一歩ずつ書く量を増やしていくことはできないだろうか。リーディングからライティングへと、徐々に比重をシフトさせる課題を作り込むことはできないだろうか。

【課題1】ベストセラーを探せ
書店、報道、出版社等のサイトから、ベストセラーの書籍リストを入手し、自分が読みたいと思う本を探す課題。web 上にあるリスト化された情報から、指定された情報だけを抜粋し、レポートするのが目標だ。訳して読むという習慣を断ち、スキャニング力をつけることが大きな目的である。(1)書籍名(2)著者名(3)出版社名(4)ジャンル(5)出版年月日(6)価格(7)ランキング(8)参照サイトURL。これらをスキャンした上で、簡潔な内容紹介や、この本を選んだ理由を20〜30語ずつ程度の英文で書き、添削指導を受ける。

「簡潔に書く」のは、実は難度が高い。しかし、最初に敢えてそれに挑戦するのには、理由がある。単語をやたらに並べて、「書いたつもり」に陥るのを避け、語数制限があるから語を選ぶしかない、要点だけを抜き出すしかない。そうした絞り込みの方向へ誘導することで、サイトから安易に全文を「コピペ」(copy & paste)できなくしている。ストーリー紹介では、サイト上の英語表現・語彙を参考にしながら、自分のレベルの文に仕立て直す、という書き方を学ぶ。場合によっては、実際にその本を読み、book review を書く等の課題にも発展させることができる。

【課題2】今度、何観る?(近日公開映画紹介)
映画を指定分野とし、さらに日本未公開の映画に限定して映画を紹介する課題。概して、エンタテインメント系サイトの情報は大量なので、ターゲットを絞り込んで情報収集を行えるようにする。(1)制作国名(2)ジャンル(3)タイトル(4)監督者名(5)主演俳優名(6)制作または上映開始年月日(7)年齢制限(8)参照URL 等をレポートした上で、ストーリー紹介を30〜40語程度で簡潔に書き、添削指導を受ける。1つの映画でも、1つのサイトを対象にするか、複数のサイトを見比べるかによって、学びの濃度は異なってくるし、場合によっては、複数の映画を紹介させてもよい。もちろん映画を実際に観て、レビューと自分の感想の違い等を書かせることも可能だ。

【課題3】何が一番?(世界のランキング調べ)
自由に分野を選択し、ランキングを見つける課題。自分が何かコメントできるようなものであれば、どんなランキングでもよい。ターゲットとするランキングから発見できたこと等、コメントを簡潔に書く。(1)分野(2)タイトル(3)公表機関名(4)公表年(月日)(5)参照サイト URL (6)ランキング(全部または必要部分のみ抜粋)を正しく明記した上で、コメントを40〜50語程度で簡潔に表現し、添削指導を受ける。

自分で分野を選ぶ課題では、ネット情報の渦の中に飛び込むようなものだが、たとえ漂流したとしても、それは決して無駄ではない。目に飛び込む英語は大量で、英語画面に慣れることはもちろん、「一体何が書いてあるんだろう?」と見て見ぬ振りができなくなれば成功だ。

日常生活的なものから、学術的なものまで、ランキングはどこにでもある。自分の好きな分野を選ぶことは、英語への抵抗がある場合には、緩衝材にもなる。1つのテーマについて、複数のランキングを比較させるという応用コースも可能だ。

【課題4】いってみたいな、よその国
指定項目をもとに情報を収集し、それをもとに作文して都市を紹介する課題。収集した情報を使って文章化しながら、説明に必要な基本的要素を理解する。最終的にはパラグラフ構成の基礎を学ぶのも目標だ。

この課題では、情報を箇条書きにするのではなく、文章にすることに挑戦する。地理的特徴や気候、人口、風景、観光名所等、用意された質問(例:Which city would you like to visit? Which country is it in?)に順に答える形で、メモを用意する。1文ずつ添削指導を受け、全文が整った所でそれを合体し、トピックごとにパラグラフ構成していく。

語彙単位、文単位の指導が必要な学生にも、パラグラフを書きなさいと言えば、手っ取り早く「書いたつもり」「書かせたつもり」にはなる。しかし、文もパラグラフも適当に並んでいるものに指導を入れるのは、至難の業だ。ここでは、意図的な順で部品(文)を整えさせてから、全体(パラグラフ)を構成させていくことで、パラグラフ構成に必要なことは何かを体験させている。

次のステップとして、旅行プランを詳細に立てる課題にも発展できるし、紹介した都市に居住することを想定し、家探しをさせ、物件紹介をさせるというような課題にも発展できる。またこの他にもグルメ情報、人物紹介、時事問題等、リーディングとライティングを織り込んだ課題は、無限大に展開できる。


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【特集】発信させるライティング指導

海外との交流が増え、Eメールなど英文を書く機会が増えた。また入試では、自由英作文形式で自分の考えを書かせる傾向も強まっている。コミュニケーションツールとしての英文作成作法を身につけよう。

中学生もその気になるライティング指導 西山正一
パラグラフ・ライティングの必要性:
入試対策も含めて
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書かせるための一工夫・二工夫 井ノ森高詩
Webはライティングに役立つか?:
リーディングからライティングへ
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これからのライティング指導:
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実践 英語スピーチ通訳

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式辞あいさつからビジネス場面まで
ビジネス場面や、団体・自治体の国際交流場面でスピーチをする人、および日本語→英語、英語→日本語の逐次通訳をする人のための実践的入門テキスト。式辞あいさつを含む「日本的」なスピーチの英訳に必要な基礎知識とコツ、通訳に臨むときの準備、現場でのノートの取り方まで、具体的にガイドする。練習用のスピーチと頻出文例を収録したCD付。

■目次
はしがき
第1章 式辞あいさつとビジネススピーチの基本
第2章 スピーチの日本語あいさつと英語あいさつの特徴と通訳
第3章 呼びかけ
第4章 あいさつの典型文型
第5章 場面別・目的別の頻出表現
第6章 英語のビジネススピーチ
第7章 逐次通訳のためのノートテイキング
第8章 会議・会合での通訳
第9章 通訳業務の実践ガイド
第10章 スピーチ全文実例

[コラム]
1.パーティー・スピーチは楽じゃない
2.Interpreter:Advocate or Conduit?
3.ちゃんばら、出るぞ!
4.「そんなきれいごとではないですよ」って!?
5.Proverbs, a‘double-edged sword’
6.カニバリとほうれんそう
7.チャイはお茶にあらず
8.「がんばります」は要注意

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