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永遠のエスニック・ジョーク


上智大学教授 小林章夫
Kobayashi Akio
   
「英語教育」2005年8月号(大修館)→ 目次はこちら 定期購読はこちら
From "The English Teachers' Magazine" August 2005 Vol. 54 No.5 (Taishukan)


危険なジョーク?

何かと規制の厳しい現代にあって、人種、国民性をネタにしたエスニック・ジョークは、よほど気をつけないと批判を浴びることになる。そもそも国民性などといっても、人それぞれ違いがあるのだから、これをひとくくりにしてステレオタイプ化するのには無理がある。けちなスコットランド人、間抜けなアイルランド人、堅苦しいイングランド人といったって、この範疇に入らない人間が多くいるのは事実なのである。

しかし国民性に限らず、さまざまな人間をいくつかのタイプに分けたがるのは、どこの国でも多かれ少なかれ見られるものではないか。古くは憂鬱質、粘液質など、気質によって人間の性格を分けることがおこなわれていたし、現代では血液型、星座などによって人間の性格をタイプ化するのはどこでも盛んである。最近は動物に当てはめて、あなたはオオカミだと言ったり、あるいはさらに犬の種類で言えば、サモエドに当たるなどというケースもあるらしい。古今東西、ステレオタイプ化することは人間の習性なのだろうか。だとすれば、ステレオタイプ化された国民性をネタにするエスニック・ジョークも、決してなくなることはないのかもしれない。

さらに言えば、人間誰しも他人を笑いものにするのは大好きなはずで、これがなければそもそもジョークは成り立たない。あるいはまた、ジョークのネタにされたからといって、目を吊り上げて怒ることなどせず、むしろ余裕をもってこれを受け止めるのが大人の態度だとすれば、エスニック・ジョークとて廃(すた)ることはないのではないか。言われたら言い返せ、ただしにっこり笑ってジョークで切り返せばいいのである。

とはいうものの、この種のジョーク、一触即発、危険な要素を含んでいるものもあり、また時と場合とをわきまえて口にする気配りも必要なことは言うまでもない。反日感情が高まっている上海で、中国人の神経を逆なでするようなジョークを飛ばせば、そのあとに待ち受けているものが何かは、誰でも想像がつくはずである。

一見無害、しかし辛辣

しかし一見無害に見えるジョークでも、よく考えると辛辣なものが含まれているケースはある。

'What's the Cuban national anthem?'
'Row, Row, Row Your Boat.'

キューバからの難民がボートでアメリカを目指すことが多い点を考えれば、これはなかなかきついジョークである。あるいは次のような例(今度は日本語訳で示す)。

イギリス人がオーストラリアへの移民を申請した。すると係官は「犯罪歴はありますか?」と尋ねた。イギリス人はこれに次のように返事をした。「いいえ。必要ですか?」

初期のオーストラリア人移民の中に、イギリスで犯罪を犯した人間が多かったことはよく知られているだろうか。

ただし、アイルランド人を笑いものにするジョークの中でも、次のようなものとなれば笑って済ませることができる。

'What's the difference between an Irish wedding and an Irish funeral?'
'One less drunk.'

しかし少ないのはどちらなのか? 結婚式? それとも葬式?


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「英語教育」2005年8月号



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【特集】英語で笑おう! 英語で笑える?

一緒に笑えることは、人間同士のコミュニケーションにとって何より大事なことの1つ。でも英語圏の人々が笑うジョークや台詞で、どこが面白いのか、ピンとこなかった経験はありませんか? 英語文化の笑いとは…

微妙なユーモアの味 堀内克明
永遠のエスニック・ジョーク 小林章夫
British TV Sitcom:その魅力・その笑い 只木 徹
ほら話・ばか話の伝統は今も!? 山下與作
詩人キーツのピグテール:
アイルランド小話にみる笑い
大神田丈二
スタンダップ・コメディ:
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常山菜穂子
エイプリルフールの楽しみ方 小井土敦子
教室で使える英語のユーモア 丸山孝男

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◆アメリカ都市物語

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文法項目別 英語のタスク活動とタスク

高島英幸 編著
2,520円(A5判・306頁)

34の実践と評価
限られた時間で、言語習得・学習の効率を最大限高めるためには、どのような文法説明をし、いかなる言語活動をすればいいのか? 小学校から高校まで、「実践的コミュニケーション能力の育成」につながる授業の形と評価法を、理論に裏付けられた実践例で紹介する。言語活動を評価する具体的な文法項目別観点付。

■目次
はしがき
第1章 実践的コミュニケーション能力の育成に必須の言語活動
第2章 タスク活動・タスクなどの言語活動の実施と評価
第3章 タスク活動・タスクの具体例と評価
第4章 小・中・高等学校における英語教育の連携
第5章 用語の解説
参考文献
索引
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