You know, you see, I mean などの「つなぎ表現」は、自分の発言がインフォーマルであるとの判断を示す決まり文句である。形式ばったインタビューで、正確な思考と明晰さを欠く
you know などを用いるのは、文字通り「場違いな」英語となる。政治家をはじめとする公人にとっては、こうした談話標識はタブーとされてきた。
英セント・アンドルーズ大学の卒業を控えたウィリアム王子は、昨年11月、BBC テレビのインタビューに出演した。この日の王子は黒のセーター姿でゆったりとくつろいだ様子。きわめてインフォーマルな会見で、問題の
you know も登場した。Times 紙(The Daily Yomiuri, Nov. 28に転載)は、その一部を“I
would not want to be kept back for being precious,
or whatever, that's the last thing I'd want.”(「身分が高いとかそういう理由で隔離されたくないし、それこそ一番いやなことです」)と紹介したが、実際の発言では“kept
back”の前に“you know”(“y'know”と発音)が挿入されている。そういえば、“or
whatever”(とかなにか)も卑近な日常会話独特のイディオムである。気取らず親しみやすい皇室といった演出さえ感じられる。
では質問者の「fluency を高める」という点はどうか。日本人の会話はぶつぶつ途切れがちなので、「つなぎ表現」を用いるようにとの忠告をよく耳にする。これには一面の真理がありそうだ。事実、日本人英語学習者の沈黙には耐えられない、と不満をこぼす英米人は少なくない。たとえば、Michael
McCarthy は文化と沈黙の関連性にふれて、ある文化圏では「会話での応答にいたる『思考時間』は苦痛を覚えるほど長く感じられる(日本人学習者の間に見られる顕著や傾向であるが)」(Discourse
Analysis for Language Teachers, Cambridge University
Press, 1991)と批判する。
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