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[座談会]
どうなる! どうすべきか?
これからの学校英語教育


       
大津由紀雄
Otsu Yukio
(慶應義塾大学教授)
小泉仁
Koizumi Masashi
(近畿大学教授)
吉田研作
Yoshida Kensaku
(上智大学教授)
 
「英語教育」2005年5月→ 目次はこちら
From "The English Teachers' Magazine" May 2005 Vol. 54 No.2 (Taishukan)

ボーダーレス社会における英語


――まず英語の今日的重要性についておうかがいします。

小泉
今英語が重要になってきたといわれますが、突然そうなったわけではなく、昔からみんな重要だと思っていた。英語教育をひとつの目標に方向づけようと考えているとすれば、それはたぶん少しずつではあるけれども、このところ形をなしてきている。それを大津先生が“大きなうねり”と書かれていましたが、私は個人的には、今の英語教育の大きなうねりは起こるべくして起きたものであって、国民の期待をうけていい方向へ向かっている気がします。

吉田
おっしゃるとおりですね。今はボーダーレスといわれているような時代で、物理的なボーダーだけでなく、さまざまなボーダーレスな現象が起きている。その中で英語という言語が大切な役割を果たしていることも事実で、われわれ自身が国際社会に貢献していくためには、なんらかの形で必要なことだと思います。今この時代にいる生徒たちの立場を考えると、時代のニーズが変わってきているのだから、それに合わせた形で現状をとらえ直して、その中で本当に必要とされるものは何かを考えていかなければいけない。だから私も方向としては間違っていないと思います。

大津
英語が現代社会において果たしている役割を考えると、英語が操れる日本人を育成しなきゃいけないということが重要な社会的問題というところは、私も全く賛成です。問題は、そのことに学校英語教育がどこまで、どうやってかかわるか。学校教育が全面的にその責任を果たさなきゃいけないかというと、私はそうじゃないと思う。

吉田
学校教育にはまず時間がない。教師の質の問題もあるし、テキストの問題もある。だから、こういう英語力を身につけさせたいという理想があっても、学校現場でできることは限られていますね。そうすると、学校教育を通して、さらに英語を自分でも学んでいきたいというオートノマス・ラーナー(自律した学習者)を育てる、そういうキッカケをつくることが学校教育におけるいちばん大きな意味かなという気がします。

言語政策としての「行動計画」

大津
キッカケを作るというのは賛成ですが、気になったのは、小泉さんは国民の期待、吉田さんはニーズとおっしゃった。学校教育がそれに応えなきゃいけないところはあるけれども、それとは独立した形で、政策というものがなくてはいけない。英語教育の歴史をみたときに何がいちばん根本的な問題だったかというと、英語教育政策の理念がそもそも欠けていたんじゃないかと思います。「『英語が使える日本人』の育成」というのも出てきたが、あの「行動計画」は十分に議論が煮詰まっているとは思えない。具体的にいうと、最初に英語の話があって、最後のところに国語力というのが出てきますね。外国語の力だけつけようとしてもだめで、国語力が非常に重要だと。しかし外国語である英語と母語である日本語は、どこか共通の土俵があってそこで初めてひとつのものになるわけですね。

吉田
英語指導法等の懇談会でも、「国語力、表現の力をきちんとつけることが大事である」という議論はありました。それがああいう形で含まれているのではないかと思いますが、確かに議論が煮詰まっているわけではないですね。

大津
国語教育をやっている人たちは、「行動計画」をみて、自分たちもかかわりをもっているんだという意識があるんですか。

吉田
かなり積極的にディベート的なことをやらせている国語の先生もいます。

大津
そこのところはあまり話題にならないけれども、これを機会にぜひ掘り起こしてほしいですね。

吉田
大事なことですね。2、3年前かな、中学校の英語の先生から、国語の教員と英語の教員が一緒になって研究会をやっていたという話を聞きましたが、文科省でもっとそういうものを取り上げて、発信していくようなことを考えたほうがいいですね。

大津由紀雄(慶應義塾大学言語文化研究所教授)
専門は言語の認知科学(生成文法)。言語教育に関する言論活動も行う。教育関係の著書:『小学校での英語教育は必要か』(編著、慶大出版会)、『探検!ことばの世界』(ひつじ書房)など。
小泉仁(近畿大学語学教育部教授)
文科省教科書調査官を14年勤め、2005年4月から現職。高校教員時代から授業法研究に関心を持ち、現在の研究課題は教科書の内容分析。最近の著書:『新英語科教育の展開/新訂版』(共著、英潮社)など。
吉田研作(上智大学外国語学部教授)
「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」研究グループ委員。著書:『コミュニケーションとしての英語教育論』(共著、アルク)『日本語を活かした英語授業のすすめ』(共著、大修館書店)など。

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「英語教育」2005年5月号



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【特集】'05英語教育:
いま英語教師に求められているもの


変動する英語教育界、教師にはさまざまな知識と能力が求められている。時代の要請にどう向き合うべきか? どんな情報を仕入れるか? どう研鑽していくか?

<座談会>どうなる!どうすべきか? これからの学校英語教育 大津由紀雄
小泉 仁
吉田研作
「学力低下」vs.「総合的な学習」vs.「コミュニケーション」 小篠敏明
大学英語教師のアカウンタビリティって 酒井志延
英語教師に求められる英語力 今井眞澄
'05英語教育キーワード 柳瀬陽介
こんな時代と向き合うために:「学び続ける教師」のためのブックガイド 田邉祐司
[コラム]
教員免許はどう変わる?

松畑煕一
1年修士を終えて 富永裕子

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第2章 授業で行う100万語多読の方法
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第4章 多読指導の広がり――子どもから社会人まで
第5章 多読クラスの四季――多読用図書案内
おわりに
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