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インターネットで協同ライティング指導


札幌大学 尾田智彦/北星学園大学短期大学部 森越京子/北海学園大学 上野之江/天使大学 吉田翠/北海道文教大学 佐々木勝志
Oda Tomohiko / Morikoshi Kyoko / Ueno Yukie / Yoshida Midori / Sasaki Masashi
   
「英語教育」2005年2月号(大修館)→ 目次はこちら 定期購読はこちら
From "The English Teachers' Magazine" February 2005 Vol. 53 No.12 (Taishukan)

授業の運営

1.指導の基本姿勢
提出されたライティング課題に対しては、その内容やプロセスに重点を置き、伝えたいことが理解できるかどうかを評価に結びつけた。例えば、学生のライティングに対し、細部にわたる添削は行わず、意味が理解できない部分に下線や疑問点を記し、書き直しを求める、という方法を取った。多くの学生に共通する文法・語法などの間違いについては、一覧表を作り、クラス全体やグループで議論した。パラグラフの構成注2) については、ライティング課題を行う際に随時復習、指導をした。

2.パイロット・プロジェクトからの改善
私たちのグループは、前年度にも類似のプロジェクトをパイロット的に実施した。本プロジェクトの実施にあたり、大幅な改訂を加えたが、その主な変更点は次の通りである。

  • 各回の内容を、基本的に45分での実施を想定し、再構成した。
  • 学生ハンドアウトの分量を減らし、アクティビティの内容も、より取り組みやすいものを目指した。
  • 学生に与える情報を厳選した。例えば利用するインターネットサイトの情報は学生に合った良質のものに極力絞りこんだ。
  • プロジェクト全体の実施回数を増やした。特に、Lectures & Activities と課題 Writing を2回に分け、学生の writing への準備の余裕を確保した。
  • Writing のトピックを、より学生に身近なもの(すべて 'my' を含むもの)にした。


  • 前年度のプロジェクトでは、学生により多くの情報を提供することに教員の意識が向き、多数のインターネットサイトの情報を与え、各回の教材のボリュームも多く、学生も教員もかえって消化不良を起こしてしまっていた。そこで、その経験をもとに、与える情報や活動内容に軽重をつけ、教員間で意見交換し、プロジェクトを改良し、もう一度取り組んだことが大変有益であった。

    3.各クラスの事情に合わせて
    各回の内容を45分で計画することにより、90分の授業の中で本プロジェクトを他の活動と組み合わせて実施することも可能になった。例えば、 "My Name" についてライティングした後に、 "My Name" について各自スピーチ発表を行うなど、ライティング課題をスピーキング活動・クラスディスカッションなどと結びつけることも可能である。また、他に授業用テキストなどがあれば、それと平行してプロジェクトを行うことができる。基本的な部分を統一し、運営方法を柔軟にしたことで、様々な学校のクラスが本プロジェクトに参加可能となった。

    オンラインでの協同作業

    プロジェクトの実施にあたっては、開始前よりオンライン及びオフラインでの議論を重ねた。オンラインミーティングとは、E メールの「全員に返信」の機能を使ったにすぎず、特別なものではない。オフラインミーティングは、1か月に1度プロジェクトメンバーが顔を合わせる研究会を意味し、本プロジェクトを進めるだけではなく、様々な情報交換の場にもなった。また、勤務校に同じ興味を持つ教員がみつからない場合など、テクニカルサポートだけでなく、精神的なサポートとしての意味を持つと考えられる。なお、プロジェクト開始後は、オフラインでのミーティングは2か月に1度程度しか持つことができず、オンラインでの議論やサポートが大部分を占めた。しかし、face-to-face で培われた信頼関係があってはじめて、忌憚のない率直な議論がオンラインでも可能である。

    主要なテーマ(Classes 3、4、6、8)に関わる教材は、「学生用ハンドアウト」「ワークシート」「教師用説明マニュアル」の3部構成とし、参加教員が分担製作したが、随時他のメンバーからの情報提供やノウハウの交換を経ているので、むしろ協同制作という方がふさわしい。ここでは、それぞれの教員の個性が発揮された。面白いサイトを見つける人、興味深い例文を見つける人、学生にうけそうなアクティビティを考えつく人、冷静かつ客観的に教材内容を吟味する人。先輩教員のハンドアウトを見て「すばらしい!」とうなったり、違った角度からの説明に感心したり、教員間で学ぶこともこのプロジェクトの大きな成果であった。

    オンライン会議が真価を発揮したのは、プロジェクトの開始後であった。実際の授業では、用意した内容や教材に対し、想定とのずれが生じたり、また、多人数で同じサイトを利用する場合の問題なども起こる。例えば、課題を厳選してもなお予想外の時間がかかった場合、どこを削り、どこを重点的に取り上げたか。また、どのような発展例を用意したらうまくいったか、などの情報が、オンラインで即座に交換できる。

    一方、授業での学生の反応から、新たな展開が生じる場合もある。例えば、翻訳機能の利用(特に英和翻訳)を通して得られた、母語の特徴への気づきがある。正しい英文(英字新聞やテキストの例文)から生成された和文を検討し、日本語では通常どの部分を省略するのか、また、英文を作成する際にどのような部分を補うべきか等、学生との試行錯誤から新たな観点を得た。

    これらの実践から得た情報を授業改善に生かすには、ひとりの教員であれば複数年を要するものも、オンラインで複数の教員が情報交換することにより、先行クラスでの学生の反応や問題点などが即座にフィードバックされ、それを別のクラスで生かすことができたのである。


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    「英語教育」2005年2月号



    月刊「英語教育」について

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    【特集】あんなツール、こんなツール、 授業活用法
    いま生徒が積極的に参加する授業に役立つのはどんなツール? どう使えばいい? 様々なツールを効果的に活用する方法を一挙大公開!

    インターネットで協同ライティング指導 尾田智彦
    森越京子
    上野之江
    吉田 翠
    佐々木勝志
    ソフト「ホットポテト」を利用した教材作り ベイリー(山崎)
    千織
    IT時代だからこそこんな英語劇! 井村哲也
    生徒に生の素材を:
    web audioの活かし方
    箱守知己
    映画を使った授業のやり方 國吉初美
    iTunesとiPodを音声教材に活用しよう 尾関修治
    英字新聞を活用した教養英語の授業 新堀 孝
    CALLシステムから得られた
    誤答コーパスの利用
    平田啓一

    ●〈巻頭エッセイ〉世界を味わう
    ■小学校の英語教育はいま…
    ■ゆかいな仲間たちの「授業見学」
    ■研究と現場を結ぶ 英語の使い方
    ■〈リレー連載〉英語教育時評
    ●大地の声:ネイティヴ・アメリカンの智慧の言葉
    ●シェイクスピアの12か月[2月]
    ●A Kiwi's View of Japan
    ●柴田元幸の洋書びっくり箱
    他  

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    第1章 UG理論と第二言語研究
    第2章 認知からみた言語習得
    第3章 脳と言語習得
    第4章 社会言語学的視点による第二言語習得
    第5章 バイリンガルの言語習得
    第6章 教室第二言語習得研究と外国語教育
    第7章 語彙の習得
    第8章 リスニング
    第9章 スピーキング
    第10章 リーディング
    第11章 ライティング
    第12章 早期英語教育と小学校英語教育
    第13章 第二言語の喪失と維持
    第14章 メディアの利用と第二言語習得
    第15章 言語テストと評価
    第16章 第二言語習得研究の計画と方法
    第17章 コーパスに基づく第二言語習得研究

    大修館書店ホームページ「燕館」

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