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UG-based SLA 研究と英語教育
――言語理論の立場から

大阪大学教授 岡田伸夫 Okada Nobuo
   
「英語教育」2004年9月号(大修館)→ 目次はこちら 定期購読はこちら
From "The English Teachers' Magazine" September 2004 Vol. 53 No.6 (Taishukan)

UG-based SLA研究

SLAはsecond language acquisition(第二言語獲得)の略であり、第二言語とは第一言語(母語)の後で獲得される言語をいう。「第二」といっても、母語の後で獲得される言語なら第三であっても、第四であってもよい。また、外国へ留学や出稼ぎに行った大人がそこで使う外国語であっても、子どもが教室の中で学ぶ外国語であってもよい。
 
生成文法には次の3つの研究課題がある。
(1) i. 人の脳中に蓄えられている第一言語の知識はどのようなものか。
ii. その知識はどのように獲得されるか。
iii. その知識はどのように使われるか。
子どもが母語を獲得するに際して触れる資料は、質的にも量的にも十分なものではない。たとえば、資料の中にはCookie allgone.のような大人の文法では非文法的とされる発話も含まれている。比較構文がまだ獲得できていなければそれに必要な資料が自動的に提供されるというわけでもない。この資料の問題は「刺激の貧困」と呼ばれる。しかし、子どもはだれでも生後数年間で母語の文法をあらかた獲得する。この入力と出力の落差―これは言語獲得の論理問題と呼ばれる―を説明するためには、子どもが言語獲得専用の仕組みをもって生まれてくると想定しなければならない。言語獲得専用の仕組みを普遍文法(universal grammar, UG)と呼ぶ。
 
生成文法理論に基づくSLA研究には、(1)の i 〜 iii に対応する次の3つの研究課題がある。
(2) i. 人の脳中に蓄えられている第二言語の知識はどのようなものか。
ii. その知識はどのように獲得されるのか。
iii. その知識はどのように使用されるのか。
 
第二言語で第一言語話者に近いレベルに到達する学習者は、第一言語の話者同様、入力によって十分に決定できない、豊かで複雑な文法知識を獲得すると考えられる。このことは第二言語の獲得にも刺激の貧困という問題が存在することを含意する。この問題を解決するためには、第二言語の獲得に際してもUGの知識が再度利用されると考える必要がある。第二言語獲得研究のうち、UGに依拠する研究をUG-based SLA研究という。第二言語の文法が脳中に内在化されることは「獲得」と呼ばれる場合と「習得」と呼ばれる場合がある。第二言語の文法の内在化を説明するのに、生得的な言語獲得専用の仕組みであるUGの役割を重視する人は「獲得」、条件付けや習慣形成といった経験や、類推のような一般的な学習方略の働きを重視する人は「習得」とすることが多い。

1980年代から1990年代の前半にかけて盛んであった「原理とパラメータのアプローチ」と呼ばれる生成文法理論は、初期状態の言語知識は、束縛理論、境界理論などの原理と、主要部パラメータ、統率範疇パラメータなどの値の決まっていない(あるいは暫定的にデフォルト値が決まっている)パラメータからなると仮定する。パラメータの値は子どもが経験する(周りの大人から与えられる)肯定証拠(これこれの文は文法的であるという証拠)によって決定される。パラメータの値が決まると個別言語の「核文法」ができあがる。


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「英語教育」2004年9月号



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【特集】第二言語習得研究の最前線
最近、進展が著しい第二言語習得研究。その最新動向を取り上げながら、英語教育にその成果をどのように活かせるかを探る。

教室第二言語習得研究と英語教育 小柳かおる
UG-based SLA 研究と英語教育:
言語理論の立場から
岡田伸夫
知っているのに使えない!?:
第二言語習得の順序
酒井英樹
中間言語語用論と英語教育:
教室内で語用能力の習得はどこまで可能か
高橋里美
バイリンガル教育の現場から 湯川笑子
第二言語習得研究の動向 大場浩正
[コラム]バイリンガルの脳ってどうなっているの? 山鳥 重
臨界期神話? 大津由紀雄

■酒井邦秀の多読授業への招待
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◎シェイクスピアの12か月[9月]『テンペスト』
◎A Kiwi's View of Japan
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他  

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