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ネットのなかの気になる用語

中部大学教授 塩澤 正 Shiozawa Tadashi
   
「英語教育」2003年12月号(大修館)→ 目次はこちら
From "The English Teachers' Magazine" December 2003 Vol. 52 No.10 (Taishukan)

ICT(Information and Communication Technology)と同じぐらい目まぐるしく変化するネット上でのいわゆるinternet jargonやbuzz wordと呼ばれている語彙は、どれが新しくて、どれがすぐに消えゆく運命にあるものなのか、見極めることはとても難しい。カジュアル過ぎて覚えたくないようなものも少なくない。そんな中でも、当分の間は話題にのぼるであろうし、覚えておくと有益であろうと思われるものをいくつか紹介させていただきたい。特に、本稿では言語学習・言語教育に関係の深い以下の6個を取り上げたい。

e-learning

e-learningはすでに新しい言葉でも珍しい言葉でもないが、確実にインターネット上で、今後最も大きな意味を持ち、頻繁に使われる言葉であろう。Eはもちろんelectronicの意味だが、もっと広い意味でインターネットを利用しての学習の総称としてe-learningが使われている。よって、単に単体のパソコン上で CD-ROM などを利用した学習はe-learningとは言いがたい。閉ざされた世界でのデジタル教材には自ずと限界がある。e-learningがこれだけ注目を浴びてきたのは、インターネットが言語学習に最も重要な、インターアクションや目的をもった有意味学習(コミュニケーション)を手軽に提供してくれるからである。今後、言語学習の領域のみならず、全ての学問領域でe-learningは、ますますインターネットの中心的機能の1つとなることは間違いない。

e-learningで学習するサイトをe-school、e-universityなどと言うこともある。また、これによく似た言葉で、m-learningという言葉も使われ始めた。m-learningとはmobileのmを取ってつくられた言葉で、携帯電話(mobile phone)やPDA(Personal Digital Assistant;携帯端末、電子手帳)を利用しての学習である。これも技術が進むにつれて爆発的に普及すると思われる。同じ意味でwireless learningという用語も使われている。

to Google/Googling

A: Do you Yahoo? B: No, I Google. In fact, I'm googling for troubleshooting hints now.
(A:Yahooで検索する? B:いや、Googleだね。今もGoogleでトラブルの解決法を探してるんだ)

こんな会話が日常的に交わされている。2000年あたりから、検索エンジンの中でも最も頻繁に使われるGoogleを使って情報検索することをto Google/Googlingというようになった。これがもう少し広い意味で使われるようになり、現在では検索エンジンを使って情報検索すること自体を指して使っている。例えばEndo Shusaku is probably the most Googled name among the Japanese authors.(遠藤周作が日本の著者の中ではたぶん最も頻繁に検索される名前だろう)のように使う。また、若者の中には気になる身近な人の情報を集めようとして情報検索エンジンを使うことをさして、この言葉を使う者も多いようだ。e.g.Googling the one you love is fairly common among the young, professional and Internet-savvy.(若者や専門家やインターネット上級者の中では、好きな人の情報検索をすることはよくあることだ。)(Chicago Tribune,April 2,2001)固有名詞が他動詞として使われるようになったということは、それがいかに日常的に必要性の高い語句になったかということをよく示している。

hi, this is valerie, shes on her phone

これはアメリカに留学したAさんと筆者が文字chat(チャット)をしていたときに、彼女のルームメートが、「Aさん(she)は電話がきたので私(Valerie)が代わりにchatをします」と割り込んできた最初の一節である。もちろんhiはHi,valerieはValerie、shesはShe isあるいはShe'sと書くべきところである。Capitalizationや'sなどは全く気にしていないようだ。このような書き方をする人は、特別だと思われるかもしれない。だが、実はchatの世界ではかなり一般的になっている。Messengerなどのchat機能を使って文字会話を楽しむことがこれだけ一般的になると、もう、全ての単語を小文字で書いてしまうという「悪習」を止められないところまできている。

TYPING IN ALL CAPITAL LETTERSのように、全て大文字で書かれると読みづらい。だが、if you're in a hurry, then type in all lower case.なら、慣れるとあまり気にせず読めてしまう。修辞上よくないからやめなさい、と言ったところで、世界の若者達はおかまいなしだ。電子メールなら、大文字小文字をしっかり使い分けるような人間も、chatになると全て小文字で文章を書いてしまう。「正しい英語」(「適切な英語」と言った方がいいかもしれない)を教える立場にある人間にとって、この傾向は嘆かわしいが、World Englishes(世界諸英語)が認知されてきた昨今、cyber Englishもsystematicでintelligibleならそのアイデンティティーを認めなければならないだろうか。考えてしまう。


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「英語教育」2003年12月号



月刊「英語教育」について
【特集】時事英語で読む世界・2003
英語教師なら知っておきたい現代の英語キーワード。言葉だけでなく、背景をなすその分野の大きな動きも、理解しておきたい、生徒にも教えてやりたい、そんな先生方のためのガイドです。

危機の時代のキーワード 中井良則
経済の動向を知るための時事英語 坂本秀和
ネットのなかの気になる用語 塩澤 正
身体と健康は今 瀬川至朗
環境破壊と気候変化の時代を読む 押上洋人
これからの教育を考えるための時事英語 野中 泉
サブカルチャー・世相・事件のことば 森田勝之
メジャーリーグを語る 藤澤文洋

コラム:事件についてのある解釈とその用語
コラム:この頃英語になった日本語たち

■スローラーナーを励ます授業実践 リーディング力育成を目指して
■ゆかいな仲間たちの「授業見学」 選択授業で「マンマ・ミーア」!
■英詩への招待 Robert Burns : Auld Lang Syne
■教師のための心理学講座 「言うことを聞かない」生徒を理解するために
■英語教育者のための言語心理学 ミニマリスト・プログラム
■研究と現場を結ぶ英文法入門 There 構文の意味上の主語
■英語教育時評 イーハトーブの英語教育 菅 正隆
◎もういくつ寝ると…クリスマス?
◎The Land of Verisimilia Roger Pulvers
◎Abduction (拉致) より Kidnapping (人さらい) を    他
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彼は平気の平左だった
彼はへいちゃらだ
彼は屁とも思っていなかった
彼は苦にしていなかった
彼はそんなことは何のそのだった
彼には屁の河童だった
彼は意に介していなかった
彼は気にしていなかった
彼は事も無げだった
彼はけろりとしていた
彼は鉄面皮だった
彼は眉一つ動かさなかった
彼は何も顔に出さなかった
彼はあっけらかんとしていた
     ………まだまだあります!


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