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授業を振り返る指針として 自分の授業がうまくいかなくて悩む経験がこれまで全くないとしたら幸せなことだ。しかし、それは客観的に授業がうまくいっていたことを保証はしない。様々な工夫などが準備されていても、本書に盛り込まれている「マネジメント」という側面を蔑ろにしていると、単発的には授業は成功しても長期的にはどこかで破綻してしまうことは少なからずある。転ばぬ先の杖として、自己点検のためにも一読をお薦めしたい。 マネジメントの対象は、(1)クラス全体 (2)個々の生徒 (3)生徒の保護者 (4)学校の同僚教師、となるだろう。本書では(1)(2)が中心であることは当然であるが、教室にはいない(3)(4) を「味方」につけるか「敵」に廻してしまうか、あるいは「無関心」状態にしておくかで指導の成果は自ずと違ってくる。例えば本書のpp.60-67の「トイレカレンダー」pp.155-156「他教科の教師からうるさいと言われます」の項目を読んでいただきたい。きっと何かにハッと気づかされるはずである。 本書は、次の7つの章から成っている。 1.生徒をやる気にさせる教室環境づくり/2.生徒が進んで発言する雰囲気づくり/3.生徒をノせる教材・活動アラカルト/4.やる気を継続させる活動アラカルト/5.生徒がわかる文法指導アラカルト/6.英語指導課外編/7.若手教師のための Q&A 1章は、英語の特別教室を確保することでどのような授業運営が可能になるかを教授してくれる。また、ささやかな小道具を使った授業での活動も教えてくれる。効果を「追試」してみたくなることだろう。 2、3、4章が本書の根幹となるものである。著者がこれまで多くの研修会に参加、研鑚を積み、自分の授業にそこで学んだことを取り入れてきている様子までもが、アイディアの出典は誰かを明示しながら紹介している。ペア、グループ活動を円滑に行うルール作りや活動のレベル設定などを生徒を信頼し、愛情の眼差しを向けながら実践を重ねてきている様子が十分伝わってくる。また、それらは継続させてこそ意味・意義あるものになることを具体的に説明している。本書に紹介されている活動の形を真似てみることを通して「学ぶ」ことは間違っていないが、個々の生徒に本気で授業を楽しんでもらおうという著者の気持ち・姿勢をまず見習って欲しい。 5章の内容をめぐっては、賛否が分かれる可能性がある。しかし、生徒が発する疑問を即解消するがためのある種「便法」ととらえ、それに替わる良案を持たないならばこの説明方法をまず試してみることをお薦めしたい。 (成城学園中学校高等学校教諭 関典明) >>『教師必携! 英語授業マネジメント・ハンドブック』を購入する(Amazon.co.jp) 出典:「英語教育」2008年4月号(大修館) From "The English Teacher's Magazine" April 2008 Vol. 57 No. 1 (Taishukan)