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押さえたい、はまりたい50のツボ この本は、次の思いを持つ英語教師に向けたものである。「英語を効果的に教えたい」「自分の授業を改善したい」「楽しく力のつく授業をしたい」「自分の行っていることを見直したい」。ということは、すべての英語教師が読むべき本だということになる。 で、掛け値なしにその通りの本だと言える。 23年間にわたり、著者自身が中学生、大学生から学び、日々の授業の振り返りから体得したtips(コツ)は、紛うことなく年季の入った絶品である。 そんなに凄いものなのかと言えば、実は、そんなに凄いものなのである。その証左は著者自身であろう。普通の人(ということにしておく)が用いたら、とうとう達人になってしまったという証だ。本書の50tipsが身につけば、すべての人が太田氏のような達人になれる(保証はしない)。 50のtipsはClassroom,Listening,Speaking,Reading,Writing,Using Textbooks,Extraの7つの分野に大別して紹介されている。 どこから手をつけてもかまわない。興味、関心、(差し迫った)必要から選べばよい。簡潔で分かりやすく、どこか温かくて面白い。流石達人太田の著書である。 ただ、下手をすると、「軽い感じ」に物足りなさを覚える人がいるかも知れない。深遠なるもの、人生の奥義とでもいうようなものを伝えたい教師であれば、おそらく、多分、かなり、きっと、大いに物足りない本になるであろう。 だが、そういう癖のある教師にこそ、この著を手にして「教師としての自分自身とその授業」を振り返ってもらいたいのである。 さて、この本の楽しみ方であるが、次の方法はいかがであろう。まず「目次」を見て、ピンと来ない見出しのtipsをチェックし、そこを押さえてみる。ピンと来ないということは、おそらく、そのtipsが自分の実践や理解を超えていることになるからである(太田氏の表記が拙いという可能性も考えられるが不問に付す)。 私の場合「『ああ』『なるほど』が学習の鍵」「あなたの知らないことが出てきたらチャンス」「発話しやすくなるためのコツはPRR」などのtipsがあり、まずはそこを捲【めく】ってみた。なるほど、納得。 また、「こんなことを書いているのだろう、きっと」とか、「あのことに触れているのかな、元普通の人、今達人」などと思いを巡らせ、各tipの紐解きをするのも一興である。「おお、よしよし、ちゃんと書いてある」と確認できたとき、まるで著者が隣に座っているかのような気分に浸れる。 本著は優れた書である。どれだけ深く実践しているかだけでなく、どれだけ生徒を理解し愛しているか(いないか)にも気づかされる、恐〜い本でもある。 (宇都宮大学教授 渡辺浩行) >>『英語を教える50のポイント Tips for English Teachers』を購入する(Amazon.co.jp) 出典:「英語教育」2008年3月号(大修館) From "The English Teacher's Magazine" March 2008 Vol. 56 No. 13 (Taishukan)