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授業実践を支える原理原則を読む 本書は、中学校英語教師9名による11の授業と高校英語教師8名による8の授業、総計19の英語授業を取り上げ、授業者自身による授業の概要と省察、さらに6名の研究者による授業分析という形で構成されている。はしがきで述べられているように、英語授業研究学会において授業分析の材料として俎上に載せられた実践、とりわけ「すぐれた」授業実践として多くの参観者から支持された授業が選ばれ、考察されている。 授業は、「本時の目標および学年指導目標における位置づけ」→「授業準備のプロシージャー」→「本時の授業展開」→「生徒の到達度評価、および授業の内省」→「私の理想の授業」という5つの柱から記述されている。全体の構成は共通しているものの、授業者によってその記述量に差があり、それもそれぞれの教師の個性と言える。ただ、特に「授業展開」の部分については、全体のページ数の関係もあろうが、もう少し詳細に記述してほしかった。 さて、個々の実践を細かく紹介する紙幅はないので、以下では特に多くの授業実践に共通してみられた授業設計上、あるいは授業展開上の基本的な理念について筆者なりに理解したところをまとめる。 まず、多くの授業者が中学3年間(高校3年間)の長期的なゴールを明確に設定した上で、逆算的に個々の授業の目標を定めている。到達すべき山頂があり、そこに至るルートをそれぞれの授業者が細かく設定しているということである。第二に、授業設計において、学ぶ側の視点が重視されていることも指摘しておきたい。学習上のつまずきはもちろんのこと、学びへの動機という観点からも細かい配慮がなされている。このことに関連して、多くの実践で独自の教材や資料が準備されているが、これらも授業者自身の高い英語力に裏づけられた結果であると思われる。さらに、「教師」対「学習者集団」という図式ではなく、「学び合い、成長する共同体」としての学習者という学習集団作りへの視点も多くの授業に共通している。 このような優れた実践をベテランの研究者6名が独自の切り口から分析を加えているのだが、「授業分析」としながらも、それぞれの授業者に対するある種の先行知識が働き過ぎており、授業記述そのものからは抽出できないと思われる飛躍した分析や考察が一部みられたのは、少し残念であった。 最後に、今後の授業研究に関して2点述べたい。1つは17名の授業者のうち、5名の方々が現在大学教員として勤務されている。ぜひ大学の英語授業にメスを入れてほしい。今1つは、今回の授業実践記録は、一面では完成品と言えるが、そこに至るまでの失敗や挫折等も開陳していただけると多くの者にとって、さらなる学びの機会につながると思う。 (広島大学教授 築道和明) >>『すぐれた英語授業実践 よりよい授業づくりのために』を購入する(Amazon.co.jp) 出典:「英語教育」2007年9月号(大修館) From "The English Teacher's Magazine" September 2007 Vol. 56 No. 6 (Taishukan)