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ユーモアは垣根を取り払う 本書は丸山氏の前著、同じく大修館書店刊行の『英語ジョークの教科書』に続くものである。全体的によりゆったりと懐が深くなった感があり、併せて読めばジョークの精神は万民を結ぶ場であるという主張を読み取ることができる。 前著と同じく、英米人の日常生活に触れながらジョークの世界に読者を導く手法は、経験と知識に支えられて巧みなものである。また、それぞれのユーモアの味わいに読者をなじませる粋な解説に加えて、より頻繁に、川柳など日本人の愛用する同工異曲のことばを差し挟むなどして、人と人との垣根を取り払うユーモアの効用が知らぬ間に読者の心にしみこむ効果を高めている。 心なしか、エッセンスが即座に伝わる簡潔なジョークが多くなっていると思われる。定型化されたものも多くなっている。また、辛辣なたぐいのものが若干影を潜めて、子どもも楽しめることば遊びのたぐいがより多く紹介されている。これらの配慮が功を奏してか、英語のジョークにじかに触れる印象が強まって、より一層日本人に親しみやすい世界になっている。英語のジョークというと、ややもすれば寸鉄人を刺す痛快さに走りがちだが、その底辺の広さあるいは深さを改めて思い知らされる。 生活の多くの分野からジョークが紹介されるために、登場する人物もその状況も多様なら、ユーモアのパターンも多様である。これが著者の意図によることはタイトルが示しているが、同時に、タイミングと共にウイットの効いた言い回しを生命線とする世界であるが故に、当然ながら使われる語句や表現方法も一筋縄ではいかない多様性を帯びてくる。 その特性をさらに生かしているのが各章末の「ジョークのオチを考えてみよう。」というコラムである。解説は巻末にまとめてある。「ジョークのシャワー」を浴びながら突然練習問題を課された気分だが、独力で味わう意欲を鼓舞したい著者の心意気に読者も否応なく動かされるであろう。 ジョークへの挑戦と英語への挑戦が絡むこのコラムは、「ジョークを教材に」という著者の持論から生まれたものと思われる。英語に親しむには、音楽でもスポーツでも好きな世界を英語で覗くのが最良の道である。好きこそものの上手なれ、厳選された簡潔なユーモアの見本であるこのジョーク集は格好の学習の場となり、学生と英語の間のみならず、先生と学生との間の垣根をも取り払ってくれることだろう。 日本人なら笑わないであろうという実例を挙げて、著者は彼我のユーモア感覚に横たわる懸隔についても触れている。私はその実例のジョークに思わず顔がほころんだ。本書の心憎い語り口にしてやられた証しであろうか。 (明治大学教授 冨永 昭) >>『英語ジョーク見本帖』を購入する(Amazon.co.jp) 出典:「英語教育」2007年8月号(大修館) From "The English Teacher's Magazine" August 2007 Vol. 56 No. 5 (Taishukan)