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本・教材レビュー

多読で学ぶ英語 Book Review

多読で学ぶ英語
楽しいリーディングへの招待


リチャード・R・デイ/ジュリアン・バンフォード 著
桝井幹生 監訳
A5判 293pp.
本体3,000円
松柏社
 
 


英語多読授業のバイブル


待望の英語多読指導に関する翻訳書の出版である。日本での英語教育の経験も豊富な原著者Richard R. DayとJulian BamfordによるExtensive Reading in the Second Language Classroom(1998)は理論と実践のバランスが取れた多読授業の解説書として高い評価を得ている。

多読授業は大学だけでなく、高校、中学、児童英語教室でも広がりを見せている。多読に関心をもつすべての英語教師、そして教師をめざす学生に読んでもらいたい。

本書は3部構成で、最初の2部は多読の理論、そして第3部は多読授業の実践方法について具体的に述べられている。

第1部「多読の枠組み」では、10の「多読アプローチの特徴」で多読を定義した後、認知的視点から多読は効果的であり、英語学習意欲を高めることを示し、そして多読の有用性を理論的に裏付ける研究調査を紹介する。さらに、多読プログラムのいろいろな導入方法を提案している。

第2部では、学習者に向けて「平易化」された英語は不自然で学習者には適さないとする「神話」からの脱却を説くとともに、第二言語学習者を想定して書かれたいわゆるgraded readers(GR)をLanguage Learning Literature(LLL)と名付けて、多読用教材として推奨している。

第3部では、多読授業を実際に行う際の具体的方法が詳しく解説されている。多読授業のやり方は対象者や学校により、いろいろな可能性がある。指導方法、目標設定、記録の仕方、評価、多読用図書、環境の整備などの多読授業の課題を絞り、具体的な方法や問題点の解決策をいくつも示す。多読を指導する教師が折を見て読み返したい内容となっている。

中でも第8章の「プログラムの立案ーーカリキュラムの決定」は多読授業を決定づけるものであり、大いに参考にしたい。英語教師が「苦労なくして得るものなし」とばかりに難しい本を与えることに対して警鐘を鳴らしている点、および、多読授業で辞書を使うことのマイナス面を強調している点に注目したい。

付録にはエディンバラ大学による英語 LLL 目録がある。年齢分けが中学から英語学習を始める日本の現状には合わないことと、Oxford Storyline Readersのように日本で入手困難なシリーズがあること、および、Macmillan社のGRシリーズ名変更には注意したい。昨今、日本でもさまざまな英語多読用図書や児童書が紹介されている。情報を集めることで、より学習者に適した多読用教材を豊富に集めることができるだろう。

この多読授業のバイブルの翻訳は実に意義深い。ただ、章により読みやすさにかなり差があり、多読に対する誤解からか難解な直訳が散見されるのは残念である。

(平成国際大学助教授 神田みなみ)


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出典:「英語教育」2007年1月号(大修館)
From "The English Teacher's Magazine " January 2007 Vol. 55 No. 12 (Taishukan)


 

 
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