Book
Review
Q&A英語の疑問相談室
押上洋人・清水 順・中山千佐子・楠 浩恵 著
A5判 273pp.
本体1,900円
東京堂出版
豊富な例文で最新表現がわかる
私は本を読むとき、気に入った所に線を引きいろいろ書き込むくせがある。しかし、本書の場合はすべてのページに線を引くことになってしまいそうだったので、鉛筆は持たないことにした。学生や教員仲間にも書き込みがない状態で読ませてあげたいと思ったからでもある。数日後、学生が “Almost students enjoy sports.” はなぜ間違いなのか、と聞きに来た。早速、本書Q34の『alがあるとないとで大違い』の見開き2ページの解説部分をコピーし、「これを読むとよくわかるのよ」と言って一緒に声を出して読んだ。学生はよく理解できた上に、わかりやすい資料がもらえ喜んでいた。私も短時間で的確な指導ができ、本書のよさを実感した。
本書は、「はじめに」に書かれているとおり「読者からの疑問に答える英語相談室として、デイリー・ヨミウリの教育コラム、Any Questions? に掲載された250以上の項目から…厳選した80項目を編集したもの」であり、文法・表現・単語・文化・学習法などの7分野の質問に対して回答している。回答者4人がみな日本人英語学習者をよく理解しているため、説明が非常にわかりやすい。質問内容は多岐にわたるため、英語教員にとっては学習者がどんなことに疑問を持つかがわかり、今まで無意識に使っていた言葉や表現を学習者の立場から改めて考えるよいチャンスとなる。また、80項目の中には、「何度も聞かれたけれど要領よく説明ができなかった」と思い当たる質問もたくさん含まれている。たとえば、「日本の」と言うときの Japanese, Japan's, ...of Japan の使い分け(Q11)については、今後この例文を使って説明すればすぐに理解してもらえそうだ、という自信を得た。
豊富な例文はどれも up-to-date で、新聞掲載時にはなかった日本語訳が付加されているため、高校生でも楽しく理解できる。たとえば、性差別を避ける表現の項目(Q72)では、postman、policeman、actress、stewardessなどがsexist languageであるという男女の長い対話が例文としておもしろく構成されており、これを教材とすればきっとみんなが興味を持ち活発な授業になるだろうな、と思った。
さらに本書は、学生や英語教員だけでなく、英語を社会で活用している大人にもお奨めしたい。「熟年離婚の危機を乗り越える」(Q74)の項目などでは、最近の世相を述べながら必要な英単語を学習できるようにうまく組み立てられている。楽しく読み進むうちに、自然と英語の言い回しを覚えてしまうことができ、回答者の経験と見識を感じる。
鳥飼玖美子氏の推薦のことばにあるとおり、「とにかく面白い!」一冊である。
(東海大学短期大学部助教授 岡田礼子)
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出典:「英語教育」2006年12月号(大修館)
From "The English Teacher's Magazine "
December 2006 Vol. 55 No. 11 (Taishukan)