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英語教育に関わる全ての人に 本書は、「これからの小学校英語教育」という書名ではあるが、英語教育に関わる全ての人に一読して頂きたい一冊である。前半は英語教育に関する理論的な枠組みや諸外国における小学校外国語教育の実態を概観したものであり、後半では具体的な小学校英語活動の実践例が挙げられている。 第1章では、アジア、EU、北米の小学校外国語教育の様子が項目毎に分かり易く説明されている。現在日本で行われている小学校英語活動との違いがはっきりとみてとれるとともに、これからの小学校英語について考えていく際に、非常に有益な情報である。 第2章では、EU で使われている CEF を参考にしながら、これまでの日本の英語教育への問いかけを行っている。到達目標を示し、目標言語で何ができるようになるのかを具体的にかつ明確に示していくこと、また英語に限らない多言語政策という概念を含めた外国語教育のあり方についての提案は、非常に参考になる。小学校英語という枠組みだけでなく日本における国語も含めた言語教育への示唆は大きいと思われる。 第3章では、4つの関連分野、第二言語習得研究、神経言語学、国際理解教育・異文化間コミュニケーション、学習心理・行動学から小学校英語教育との関わりを述べている。ネガティブな意見に対して反駁するなど、もう少し詳しく説明が欲しい部分もあったが、限られた紙面で関わる研究領域を網羅されているといえよう。 第4章では、これまでに日本で紹介されてきた代表的な教授法を紹介してある。現在の英語教育では単一の教授法に執着するのではなく、良い点を組み合わせることが求められているが、授業実践を行う際に、個々の活動の理論的背景を教師自身は知っておくべきであり、最低限必要な情報である。 第5章から第9章では具体的な年間指導計画の作成方法、授業構築の方法、活動が実例とともに挙げられており、より実践的な資料として役に立つ。ただし、そのまま利用するのではなく、自らの実践に応用していくためのリファレンスとするべきであろう。 第10章では、望ましい英語教育担当者の資質・能力について述べられており、教員研修・養成に関わるものにとっては、これからの大きな課題である。 第11章では、諸外国の英語教育に関する知見をふまえた上で、ナショナルシラバスの提案を行っている。現状でこれを実現するのは様々なリソースが不足しており困難であろうが、将来の英語教育の抜本的改革を目指すためには、意義のある提案といえよう。 本書は、あと一歩が踏み出せないでいる小学校英語教育の背中をそっと後押ししてくれる一冊である。是非、英語教育に興味のある方全てに一読していただきたい。 (鳴門教育大学助教授 兼重 昇) >>『これからの小学校英語教育――理論と実践』を 購入する(Amazon.co.jp) 出典:「英語教育」2006年3月号(大修館) From "The English Teachers' Magazine TAISHUKAN March 2006 Vol. 54 No. 13 (Taishukan)