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本・教材レビュー

Book Review

間違いだらけの英語学習

常識38のウソとマコト

近江 誠 著
四六判 232pp.
本体1,200円
小学館

 
 


考えてインプットせよ、考えてアウトプットせよ


本書は、英語学習に関する38の常識を取り上げて、それが多かれ少なかれ「ウソ」であることを示し、その説明や根拠を提示している。例えば、「間違いを恐れずにどんどんしゃべること。積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度こそ大切だ」(ウソその11)に対しては「豊かなる出力には豊かなる入力が先行する」と反論する(同感である)。

本書を手にとられた読者の中には興味のあるトピックのウソとマコトを断片的に読んでしまう方がいるかもしれない。しかし、全体を通して読むことを勧めたい。著者の主張をより一層深く理解できるはずである。

ここでは著者の主張の中心的テーマであるオーラル・インタープリテーションとモード転換練習方式について簡略に紹介する(途中で挿入される講義のテーマの1つでもある)。著者は、英語そのものの入力が不足しており、いろいろな方法で入力を心がけよと主張する。聞き流し方式、口まね方式、多読方式に加えて、最も重要で強力な方法がオーラル・インタープリテーション(解釈の確認・修正・深化のための音読)とモード転換方式である。まず、英語の素材を十分に解釈する。誰が、誰に向かって、いつ、どこで、何のために、何を、どのように語っているのか、という7つのポイントから素材を解釈する。この解釈に基づき音読したり、逆に音読することを通して解釈を深めたりする。これがオーラル・インタープリテーションである。モード転換は7つのポイントを変えて話してみる練習方法である。例えば、話し手の設定を変えて話す練習をする。入力した英語の素材を自分に引き寄せて自分の力とするための練習である。この方式を中心とする著者の長年の教育実践と研究が、38のウソに対する主張を強固に支えているに違いないと感じた。

「マコト」は真実と同時に著者の名前を示すのだろう。回答に「マコト」と印刷されているためか、文体のせいか、著者が私に向かって直接語りかけているような感覚になった。著者の言い切りの良さに圧倒されないように懐疑的に本書を読んだ(つもりである)。著者は外国語としての英語教授法を随所で批判しているが、むしろ最近の外国語教授法や第2言語習得研究の知見と重なる点が多いように感じた。例えば、インプットの意味理解の重視、文法能力・談話能力・社会言語学的能力を含めたコミュニケーション能力の捉え方、話す機会を与えるだけのコミュニケーション活動への批判などは、著者の考え方と相通ずる点がある。

本書は、英語教師や、これから英語教師を目指そうとする方々にぜひ薦めたい本である。

(信州大学助教授 酒井英樹)

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出典:「英語教育」2005年7月号(大修館)
From "The English Teachers' Magazine" July 2005 Vol. 54 No.4 (Taishukan)


 

 
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