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本・教材レビュー

Book Review

教室で読む英語100万語
多読授業のすすめ

酒井邦秀・神田みなみ 編著
四六判 240pp.
本体1,500円
大修館書店

 
 


夢を与えてくれる100万語多読


本書は、現在密かなブームになっている「多読」について解説、紹介したものである。ただし、ここで言う「多読」は、本書の著者の一人でもある酒井氏が2002年に、ちくま学芸文庫から出版した『快読100万語!―ペーパーバックへの道』で提唱されたものである。この2002年に出版された本を読んだ英語教師の意見は、多分、以下に示すような2つに分かれたのではないかと思われる。1つは、「そんなにすばらしいものであるなら、ぜひ、自分の学校で実践してみたい」であり、もう1つは、「魅力的な指導法だけど、自分の学校現場では実践は絶対に無理。教科書もまともに読めない生徒にどうやって『100万語めざして本をできる限り読みなさい』なんて言うことができるかしら」というものである。後者の否定的な意見もいまだに多いと思われるが、この2002年の出版をきっかけに、関連の著書がいくつか出版され、なおかつ多読を支えるウェブサイトも手伝って、「多読ist(タドキスト)」は確実に増え、先生方がさまざまな英語教育の現場でこの「多読」を実践され、成果をあげてきている。本書は、その教室での実践例を主として紹介し、「多読」のすばらしさをあらためて強調したものである。

では、まず、この本で提唱している「多読」とはどんなものであろうか。「第1章」において、その解説がなされている。どんなレベルの学習者でも、ペーパーバックを日常的に読んでいない人は、就学以前の子どもが楽しむような文字の少ない絵本のような本当にやさしい本から始めて、少しずつレベルを上げてゆき、100万語読むと、ペーパーバックを楽しめるようになるというものである。そして、この「100万語多読」を行っていくと、他の3技能の力もついていくと著者は言っている。さらに次の「第2章」では、その実施方法が具体的に述べられている。そして、「第3章」では、高校、高専、大学での実践報告が7編収められている。実際に何を読ませたか、生徒の反応はどうであったか、問題点は何か、成果はあったか等、かなり具体的に書かれている。さらに、「第4章」では、上記以外の現場、すなわち、小学生から高校生までの学習塾、児童英語教室、社会人のサークル、親子での実践報告が12編収められている。そして「第5章」では、「多読」で必要とされる図書が紹介され最後のまとめとなっている。

このように紹介していくと、さまざまな疑問が出てくるはずである。未習の語彙や文法はどうするのか、辞書は引かないのか、いくらなんでも初学者の児童や中学生でも本当にできるのか、なぜ他の3技能まで力がつくのか等である。それらの疑問には本書を一読すれば答えは得られるはずである。

(東京学芸大学教育学部附属世田谷中学校教諭 小菅敦子)

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出典:「英語教育」2005年7月号(大修館)
From "The English Teachers' Magazine" July 2005 Vol. 54 No.4 (Taishukan)


 

 
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