英語教育ニュース編集長ノート

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英語教育ニュース編集長による英語教育ニュース編集ノート

求む、ELT効果の検証

英語教育

2011年8月23日

ケンブリッジからの書状
先週ようやくケンブリッジ ESOLから回答が届いた。心配していたとおり、私からのメッセージは、自動問合せ処理システムの中で迷子になっていたようだ。幸運にも、ケンブリッジESOL教師資格の設定と運用に関わっているMonica Poulter が、私の嘆願に気づき、非常に素晴らしい回答をされた。Monica とその内容を紹介する前に余談を少し。

流行とファッション
2月のことだが、『教師は教授法を認識しておくべきか?』(英語)というCELTA(私が子供の頃は RSA Cert だった)の効果を讃える記事を書いた。ケンブリッジ大学に支持されている資格は、トレーニングを全く受けていない教師から学ぶより、CELTA資格を持つ教師から学ぶ方が早く上達するという、なんらかの公的な調査の裏付けがあると思っていた。つまり、我が最愛のCELTAが、流行とファッション、権威と恩恵に左右される、効果の検証なしのコースであるはずがない。あるいは、そうなのか?

ELT について議論する時、まるでホメオパシー療法士が水の小瓶に波を起こす一番効果的な方法を議論しているように感じることが多い。素晴らしいテクニックについて活発に議論されるが、その独創性や巧みな実践術の効果の検証に関する議論はほとん
どない。

吸血ヒルとユリゲラー
もちろん、証拠に邪魔されず主張を述べることは、ELTやホメオパシーに限ったことではない。専門家は、本能と『洞察力』に基づいてあらゆるたぐいの疑わしきことを主張してきた。熱がでたらヒルに血を吸わせる、擦傷に水銀を使うなど、思いつくだけでも、比較的最近で野蛮性の低い例がいくつかある。そして人は、自分自身や他人を簡単にだます。90年代、James Randiのホロスコープから、空中浮遊、 スプーン曲げ(Flim Flam!)に関する暴露本を読んだ後、直感や感情に固執する信念に対するアプローチは、(それまで自分で思っていたように)ユニークといえる物ではなく、健康や教育など他人に影響を与えかねないアプローチは特に、かなり危険である。

学習結果に影響を与えるという説得力のある根拠のないままCELTA を推進したのは、ホメオパシー、レイキ、占星術や魔法の水晶玉の主唱者と同じだったのか? そうだったと思うし、自分がいたい場所ではなかった。

英国の教師と Bad Science
Bad Science、その素晴らしい本の中で、イギリスの医者でガーディアンのジャーナリストである Ben Goldacre は、(いろいろある中で)イギリスの教師が Brain Gym という現代のインチキ話にいかにだまされているかを述べた。

『子供たちは、イギリスの公立学校で何千もの教師に日常的に教えられている。頭を上下に振れば前頭葉への血液の流れがよくなり集中力が高まる。指をある科学的なやり方でこすり合わせると全身へのエネルギーの流れが良くなる。加工品は水を使わない。舌の上に水をためておくと、口蓋から直接脳に潤いを与える。』

もし教師、学校、教育機関がこのように騙されているなら、ELTの学識者がその活動内容について理解しているのは当然だと思うべきではない。

RichardのApproaches and Methodsの索引をさっと見てみると、『調査』 の項目には何もない。A–Z of ELTではどうか?  やはりなし。では、ELT A-Zではどうか? 該当なし。ちょっと待った。Nunan and Bailey のExploring Second Language Classroom Researchという本があった。

これを見ると本当に心配になる。Nunan and Barileyの本では、私たちの生活を最も驚くべき発達に導くような公的な実験調査に対するリップサービスに何ページも費やされている。ただ、彼らが本当に意図していることに気づくのにそう時間はかからない。最初は、『根拠よりも洞察力が調査の基準となるべき』とするLarsen-Freemanのような研究者にとっては何でもないことではあるが(あのヒルの話のようだ)、少しずつ興味のある引用をする。

『砂の粒子を研究すると、一粒一粒違うことに気づく。一粒動かしても違う。しかし研究するうちに、浜辺のことを学び始める。』

これは確かに一つのアプローチであり、多くの学識者が在籍中その学術的演習を行うだろう。もちろんそれとは別に、浜辺の全体的動きを研究し、研究のためのサンプルとして浜辺の代表的タイプを定義、その動きに関する仮定をたて、仮定を反証、改訂、さらに研究し、反証しがたく、例えば何かの役に立つ、または最低でもホテル、アイスクリーム屋台や桟橋を建てるなど実際に機能するまで繰返す。もし浜辺の砂の一粒一粒を調べることで同じことができるのであれば、それにも賛成。できたら知らせてください。

Bad Scienceの中で、Goldacre(英語)は、『科学のことをほとんど理解せずその無知を名誉の勲章のように装っている人文学科卒業者』によって運営されるメディアの結果、多くのジャーナリストによるお粗末な(しばしば怠慢な)科学レポートを目にする。科学者でない私としても、これは少し厳しすぎる。Nunan and Baileyが著書の中で『資格、修士課程、そして博士プログラムを教えるのに適した候補』は、『仮説』と述べたことに少し驚いた。彼らにしてみれば、ELTは、非科学的な人文学科卒の集まりだろうか?

いずれにしても、Nunanが第三者に評価される実験に基づく調査に賛成であるとは全く思えない。実際、Nunan博士はご親切にもお手紙をくださり、公的な実験は『無用』とした。変数が多すぎ、きちんとした調査には費用がかかりすぎる。実際、きちんと行うことはできる。その費用は? ある人によると10万ドル。なんと、それはほんとに費用がかかる。

しかし、Cambridge University は、ELT関連収益が1億5000万ドル以上(英語)あるということをお忘れなく。

そう、年間1億5000万ドル。その収益の一部をコースの効果の検証に利用したと信じる人もいるだろう。

なぜ効果にこだわるのか?
ではそろそろ Cambridge ESOLとMonica に戻ろう。トレーニングを全く受けていない、または怪しいマスプロ大学で研修を受けた教師から学ぶより、CELTAのトレーニングを受けた教師から学ぶほうが早く上達するという証拠をCambridge ESOLが提示することに私はこだわる。(もう少し詳細に説明することもできるが、それには10万ドルお支払いいただく。すでに十分説明しているし。。。)

そしてその証拠をお見せしたい。なぜなら:

1)CELTAを取得した。よかったと思ったし良い先生(生徒がよりよく学べるという意味で)になれると思った。ある証拠に裏付けされた申し分のない見識をもっていると確信したい。そうすれば、『月の女神様』やレイキを愛する私を責める人はいないだろう。少し自分勝手かな。

2)経験と専門知識を区別できない人は大勢いる。長年教えているからトレーニングは必要ないし、トレーニングを受けたことがなくてもすばらしい先生を知っている。(そういう人たちへ。ロンドンにはトレーニングを受けたことのない腕のいいミニ・キャブ運転手が多くいるが、家族とでかけるとき、無認可のミニ・キャブを無作為に選ぶか、それとも認可され知識(英語)を持ったブラック・キャブを選ぶか?)

3)Gaba、イーオン、または日本政府のような組織がトレーニングを受けた教師を雇用するべきかどうか検討する場合、CELTA(またはDELTA、またはTrinity)の研修を受けた先生の方が効果的に学べると指摘したい。現在、これらの組織は、トレーニングを受けた先生の方がよいという確かな証拠がないので、トレーニングを受けていない先生を雇用する十分な権利がある。

4)トレーニングを行っている怪しげな組織(英語)が、『私たちは、実証していないCELTAと同じ。しかも学識アドバイザーがいる。』と言えない。

5)もし証拠があれば、より多くの組織、政府、そして企業がトレーニングを受けた教師を雇用する。大切なのはその結果、英語を効果的に学べるということだ。


Monicaの回答
残念ながら、Cambridge ESOLのMonica は、丁寧で思慮深いが、私の疑問を晴らしてはいないようだ。

CELTA資格を持つ教師から学ぶ方が、より効果的(定義は別として)に英語を学べるのか? そうだということを示す研究がされているのか(いないのか)?

という私の質問に対し、

私の知る限り、同じような資格に関する長期間にわたる研究もされていない。様々な変数を含むダイナミックな学習現場では、ESOL学識調査組織として、そのような研究が有効であるとは考えにくい。

という回答。

ESOL学識調査組織。そうか。CELTA研修を受けた先生が、研修を受けていないまたは怪しげな研修を受けた先生よりも効果的に学習させるというようなことを証明するための、納得のいく研究、適切な管理、適切な予算を思いつかないようだ。一般的なことだ。(ところで、CELTAコースがベストな実践と理論を醸造するという前提で、現在のELT方法論を正当化しようとする傾向がある。)

研究者は多忙で、学問の階段を上り、浜辺の砂の粒に関する記事を発表できないのだろうか? おそらく、もし『学術的ESOL』(何でもよいが)と Cambridge ESOLが、砂の上に家を建てたことを責められたくないのであれば、研究機関を設け、学習者、教師、語学学校、そして政策立案者のために、実社会における実質的な評価の研究を始めるべきだ。

Russell Willis
ELTNEWS.com 設立者



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