小学校でのメディア活用法
2009年10月05日
2009年10月05日
|
名古屋学院大学教授 柳 善和 Yanagi Yoshikazu
教室に欲しい機器小学校の場合には、機器の整備は「外国語活動」だけでなく、すべての教育活動での利活用が考えられる。「外国語活動」が始まるのに合わせて導入した機器でも、いずれは他の科目でも利用できるわけで、その意味ではできるだけ迅速に整備が進んでほしいものである。さて、「外国語活動」に必須のものとしては CDプレーヤーがある。これは教室に1台ほしい。DVD教材などを観るためのテレビもあると、「外国語活動」で単に音声を聞かせるだけでなく、その場面も見せることができて効果的である。 パソコンもプロジェクタや電子黒板と組み合わせていろいろな教材を提示するのに役立つ。電子黒板があるにこしたことはないが(p.20参照)、『英語ノート』の電子黒板教材は、パソコンとプロジェクタがあればとりあえず、児童に体験させることができる。プロジェクタは教室で使用する際には教室内に十分届く音量を出せるスピーカー内蔵のものが使いやすいし、あらかじめ天井などに備えてつけてあるとなおいいだろう。できれば教室を暗くしないで、そのまま十分な明るさが得られるものが望ましい。映写の際には、黒板に磁石で貼り付けるマグネットスクリーンが利用できる。 いずれの機器も各教室に設置してあると便利であるが、他の教員と共有しなくてはならないことも多い。その場合には、必要な機器を目的別にできるだけひとまとめにしておき、教室まで運べるようにしておくと係の児童にお願いすることもできる。また、教室の数に余裕がある場合には多目的教室などとして機器を集中して設置し、児童を移動させることも考えられる。 市販教材の使用実際にメディアを利用する場合には市販教材を購入して利用するのが便利である。例えば絵カードをメディアによって利用しやすくしたものとして、チエルの『小学校のフラッシュ英単語』『同英語表現』がある(p.16参照)。これはパソコンとプロジェクタによって絵カードを提示するものである。絵カードの文字の提示(英語、日本語、文字無しなど)や提示順などの設定ができ、データをもとにしてシールや絵カードとして印刷して利用することもできるなど、デジタル教材の利点を活かしている。 また、ロイヤルブックスの『フラッシュカードメーカー』は、カード作成の支援をしてくれる。 カードがデータになっているので、そこに文字を入力すると自動的に四線が現れたり、文字の色を変えたりする機能を持つ。また印刷する際にも大きさを自由に設定できる(p.16参照)。 同様にビデオ教材も、NHKで放送された『えいごリアン』などはDVDで発売されているので、これを使った授業も考えてもいいだろう。そのまま流してもいいが、一部を利用して、それをもとにして1時間の授業の核にできる。 なお、現在は外国語活動の教材として『えいごルーキー GABBY』が放送されている。〈http://www.nhk.or.jp/gabby/ja/frame.html〉 他に、教材付属のDVDも授業で利用できる。例えば、小学校中学年用の教材『ハロー・キッズ1、2』(開隆堂)では、指導資料も発売されているが、この中のDVDに、アクティビティやゲームのやり方が紹介されている。ゲームのやり方など言葉で説明するのは難しいが、このような教材を児童に見せると、理解がしやすくなる。 自作教材への挑戦絵カードなどを使う場合、市販の教材ではうまく自分が扱いたい材料になっていない場合もある。自分で撮影した素材などであれば、画像ソフトを利用して、もとの絵を拡大・縮小したり、必要な部分を切り取ったり、合成したりすることもできる。市販の教材でもそのような利用が可能なものもある。後はカラープリンターで印刷してラミネートすれば出来上がりである。もともとのファイルは同僚の先生方と共有して使うことができる。プレゼンテーションソフト(PowerPointなど)を利用すると、より幅広い使い方ができて便利である。高橋(2007)では、そのような自作教材の例を紹介している。Show and Tellの手法で、児童に発話を促す教材として効果的である。 また、ビデオカメラ(p.30参照)を使って、ALTや担任教師が授業で使う会話の例を撮影しておくと、担任教師だけで授業をする場合でも母語話者の発音を示すことができる。これは、あらかじめ日本人教師同士で作成しても便利である。最近ではビデオ作品はデジタルファイルで保存ができるので教材集として学校や地域で共有できる。身近な先生方が登場していると、児童も楽しく学習できるだろうし、先生方が英語を話しているところを見せることは重要であろう。また、小学校と中学校の連携の1つとして、校区内の中学校の英語の先生方にも協力していただければ面白い教材が制作できるだろう。 ビデオ教材で、児童を登場させて自作すれば、その制作自体が授業の一環にもなる。例えば、熊本大学教育学部附属小学校(編)(2005)では、6年生の卒業制作として、下級生に見せるための英語学習ビデオを制作したことが報告されている。他にも自治体の小学校が分担して、英語学習用のビデオを制作する例があるが、できればそのような作品を公開して、お互いにノウハウを交換できればと思う。 電子黒板でも、『英語ノート』の電子黒板教材をそのまま使うだけでも、楽しく外国語活動の授業が進められるが、付属のソフトや教員が集めた素材を組み合わせれば、自作教材を作成することができる(p.23の小川先生の例を参照)。 教材を自作することは、手間がかかるが、いったん出来上がってしまうと使いやすいし、自分がたちが作ったものだけに制作の意図やそのプロセスが明確で、加工や改良がしやすいという利点もある。ちょっとしたものであっても挑戦する価値があると思う。 ◆参考文献 熊本大学教育学部附属小学校(編)(2005)『小学校英語活動365日の授業細案―すぐ使えるゲーム&イラスト集』明治図書. 高橋美由紀(2007)「小学校英語活動における illustrations とその指導法―プロジェクター教材を使用して―」『外国語教育メディア学会中部支部紀要』18、31‐40. |
|
「英語教育」2009年10月増刊号 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Catalogue 1・視聴覚教材
Catalogue 2・教育機器
Catalogue 3・ソフトウェア
Catalogue 3・ウェブサイト
コラム:使ってみました
特集-II 2009年度の英語教育 総括と展望
特別記事わたしはこう読む・こう味わう「オバマのことば」
資料
|
→大修館書店ホームページ「燕館」はこちら |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
日本在住の外国人英語教師のためのサイト「ELT News」の求人広告をご活用ください。ELTBOOKS.comのお客様は、求人広告欄が1ヶ月間無料!