英語で発信、授業をデザイン
2004年6月01日
2004年6月01日
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大東文化大学専任講師 大野秀樹 Ohno Hideki
自律した英語教師になるため自分の英語教育実践に対して、何か刺激がほしいとき、従来の方法(たとえば海外のELT関連の本を読む)では、どうもしっくりいかないことはないでしょうか。そういったときは、「授業づくりネットワーク」(http://www.jugyo.jp/)や、「日本シミュレーション&ゲーミング学会一一授業と教材研究部会」(http://www.jyugyo.com/)などの学会に参加してみてはどうでしょう(地域的に、年次大会や月例会にはなかなか行けないという場合、メーリング・リストへの加入や付随の雑誌を購入するなどして雰囲気をつかむこともできるでしょう。ここではそれらも含めて、「参加」と呼びます)。この学会・研究会にみられる傾向は、1)小・中・高・大の教師が、学問分野・専門教科を越えて参加していること、2)企業と連携した授業づくりをテーマに、ワークショップ型の授業を試みていることです(昨年、後者の学会主催の国際学会が日本で開かれ、英語以外の教科の先生も英語で発表をされていました)。異種の分野一一産業界からの要望を日ごろから取り入れることで(年に一回のパネル・ディスカッションのみではない)、社会と授業との関連性を実感し、教育観を豊かにすることができるのです。言語学、応用言語学、文学、教育学以外の分野の方たちが持つ(英語)教育の観点に接する絶好の機会です。このような性格を有した学会・研究会に参加することで、自身の英語教育実践の固定観念に気づかされるでしょう。そして、このような会に定期的に参加することにより、社会(政府、財界、地域社会、保護者など)は教育に何を望んでいるかを敏感に嗅ぎ取っていけるのです。学習指導要領にこんな活動がすすめられている/いないから、どうこう言うのではなく、自らが、時代を先取りする感覚で英語教育を実践していく心構えを持ちたいものです。 このような感覚を養っていく一一自律した英語教師になるため、異種のコミュニティ(教育界と産業界、英語教育と社会教育など)同士がタッグした学会・研究会への参加は非常に望ましいといえます。そこでは、「Aのようなタイプの英語活動は日本人には相性悪いですよね」などといった根拠のない話は教育上の神話。いかに社会的要請を教育において取り入れるかといった進取の気性が問われます。 国際舞台で英語を使用する機会の模索日ごろ使用する英語はClassroom English。ALTとはもっと積極的にかかわりたいのに会話のトピックがあまりない…ともすれば、いわゆる実用的な英語を使うことが英語教師には不足しがちかもしれません。そこで、社会人対象の英語スピーチ大会に参加したり、各種英語検定試験を受験してみるのもいいでしょう。しかし、ここでは「国際学会における英語による発表」の自己研修をシミュレーションしてみます。国際学会は日本で開催されることもありますが、その他のアジア諸国、アメリカ、ヨーロッパなどにも出かけてみましょう。まず、発表テーマですが、これこそ何でも結構。実際、英語教師の学問的バックグラウンドはさまざまではないでしょうか。文学、教育、なかにはビジネスマンだった方もおられます。趣味高じて、音楽に関する発表などもおすすめです。大事なのは、発表内容に興味をもってくれるまったく知らない方たちを前にして、英語で発表することです。英語教育関連の国際学会なら、(http://www.royfc.com/confer.html)などで自分のスタイルに沿ったものを探してみるのもいいでしょう。そして、自分だけの海外学会を確保できればしめたもの。教師には、そういったアカデミックな「プライベート」空間が必要なのです。いつもの同じ顔ぶれと一緒に海外学会発表に行くなんてもってのほか。それは、語学留学したのに日本人と日本語で生活することと、さほど変わりありません。前述のような異種のコミュニティとの触れ合いを求めていくことが肝心です。 学会発表までのプロセスは、「発表申し込み」―「審査」―「発表の準備」―「発表」―「発表後の交流(懇親会)」―「反省」といった総合学習。英語を中心とした総合学習を授業で実践しようとするならば、こういった自らの体験がものをいいます。「国際学会発表なんて自分には」といった卑屈な考えは必要ありません。それより、こういう機会にこそ、「発表の準備」段階でALTに助けてもらうことです。日ごろの英語を通したふれあいが希薄な場合、なおさらです。そこで、ようやくALTの英語力に感心したりすることもあるでしょう(共同発表へと話がふくらむかもしれません)。日本の文化に関する発表に神秘さを感じている方(特に欧米人)は、海外の学会では多く、それはいま熱い分野です。土着の視点を通して、日本の言語・文化的側面を英語で世界に発信するのは、英語教師のミッションといえるかもしれません。そういった学会発表(on)というジャンルに加え、発表後のくだけた懇親会といったジャンル(off)も体験する機会を得ます。 このような国際学会での発表は、1、2年に一度の自己研修ととらえればいいでしょう。単にバカンス目的で海外に行くのではなく、学会発表を第一とし、その後バカンスを楽しむのはどうでしょうか。 このような自らの学習プロセスを、似たような形で授業に還元したいものです。自分の実体験をコンデンスしながら授業に導入していく試みが、いま求められています。「そんなこと英語でやるのは学生・生徒には難しすぎる」という意見は、各自の現状を維持させるレトリックであったりします。小手先だけの教育スキルの獲得ではなく、社会との関連を視野に入れながら、英語を通して経験・体験、感動したことを教育に結び付けていきたいものです。 上から言われるのではなく、教師各自で小さいプロジェクトを起こし、未来の教育をデザインしていく(その過程で国際性、教養を身につける)。その際、常に社会の声を取り入れているコミュニティへの参加・接触が鍵となります。 ところで、英語教師にとっての教養とはどういうものでしょうか。アカデミックで読み応えのある本(http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya.html)を地道に読んでいけば、身についていくのでしょうか。実は、これが案外ハードルの高い日常研修なのかもしれません。しかし、国際学会で発表するといったアクションを起こすことで、教養は必要であると実感するものです。 まずは、理想とする英語教師像を持てるようになること。そしてそれに近づくための自己研修を生涯通して行うことができれば、英語教師冥利につきることでしょう。 |
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