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グローバル人材に求められるスキル

世界を舞台に活躍する際に求められるスキル・思考法などについて解説していきます。

No.7 新しい英語学習教材の提案

コラム

2010年01月14日

最近いろいろな場面で英語によるDiscussionをファシリテートするようになり、参加者の英語のレベルに関係なく(語彙力が中学卒業レベルの方も参加しています)楽しいDiscussionに導いていく自信がついて来ました。しかしこういったDiscussionに使える教材はほとんどありません。MBA(経営学専門の大学院)で使用するようなケースは専門的過ぎます。かといって英会話でやるような単発的で非現実的なロールプレーではあまり意味がない。

だったら自分で作るしかない!ということで普段からどんな課題がケースとして面白いかあちこちアンテナを張って考えています。Discussionは全員で正解のない問題を解決(方向付け)をしていくセッションです。大切になるのは内容がシンプルで誰でも感情移入できるような問題を提起すること。その問題自体が知的好奇心を刺激するようなストーリーでなければならないこと。そして実際のDiscussionにおいて大切になるのは話しやすい(何をいっても大丈夫)と安心感を与える雰囲気を作ること。

こうした条件が全て揃うと初心者だろうが中級者だろうが英語を話しているのを忘れさせるくらい、とにかく必死に想いを伝えようとします。そうすると英語をコミュニケーションツールとして使っている感が出て、コミュニケーションスキルが飛躍的に向上します。

ではどんなケースがDiscussionに向いているのか。今回は最近作ったDiscussion用教材を公開して、皆様の考えを教えて欲しいと思います。事前課題は英語で出されますが、今回は読みやすいようにあえて日本語に訳しました。子供の教育についての話です。

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1997年4月Archives of Pediatrics and Adolescent Medicine(米国の権威ある小児・青年医学専門誌)にある論文が掲載されました。「6歳児の母が子に対して体罰を平均以上行った場合、その子が8歳になった時、性格はより攻撃的になるかどうか?」を研究したところその通りの結論に達したという内容でした。「短期的な反社会的行為を抑制しようと体罰を取り入れた結果、長期的には逆効果だった」というのが研究者が辿り着いた結論でした。

この研究は瞬く間にニュースで取り上げられました。AP通信が全世界の新聞、雑誌向けに配信し、「体罰悪玉論」が形成されていったといいます。この研究はJournal of the American Medical Association (JAMA)という権威ある医療雑誌にも取り上げられ、体罰撲滅の流れを決めたといわれています。しかし、AP通信もJAMAもArchives of Pediatrics and Adolescent Medicineの同じ号に出された別の論文を取り上げることはしませんでした。

この論文は同じように体罰の研究を行いましたが結果は正反対というものでした。「子供にとって体罰は攻撃性を助長するという事実は探すことができなかった。いや、探すことが出来なかったのみならず、逆に攻撃性・反社会性を減少する結果が出た」と研究行った2人の研究者は結論付けました。

2グループの専門家が同じ時期に同じ問題に挑み、全く違う結論に達したのです。片方が取り上げられ、瞬く間に多くの心を掴み、その後体罰に関する考え方を一変するまで影響を及ぼしたのに対し、もう片方は全く取り上げられず、その研究結果は消え去っていったのです。なんでこういうことになってしまうのでしょうか。それには研究方法を詳しく調べてみなければなりません。

はじめのグループ(体罰否定派)は子供が攻撃的になったのかを母親(実際に体罰を行っている)に聞き判断しました。つまり、家庭の中での性格が攻撃的になったかどうかを調べたことになります。二つ目のグループ(体罰容認派)は子供自身に「学校でどれくらい喧嘩したか」、その数を学校で聞きました。

事前課題
この2つの実験方法とついてどちらの方がより信頼性があると思うか。あなただったらどのように実験をしたか。また同じ雑誌に同じ号で取り上げられた研究でどうして一方だけ瞬く間に広まっていき、もう一方は無視されたか。ご自身の体験や子育て(お子様がいらっしゃる場合)を話し、また相手の体験も聞きだすようにしてください。
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そもそもこの話を英語で読むのは難しすぎるという人がいますが、日本語で読んでしまえばなんてことのない話を英語だから難しいというのはおかしいと思います。理解できるか理解出来ないかだけの問題でこの内容自体は極めてシンプルだと思います。

この話は「子育ての大誤解(ジュディス・リッチ ハリス)」という本から抜粋したのですが、このケースには多くのメッセージがこめられています。例えば専門家のいうことを深く考えず受け入れてしまっていもいいのか。専門家間でDisagreementが起きたとき、どう考えればよいのか。こうしたDiscussionをしていると自然とCritical Thinkingのスキルが身についてきます。「あなただったらどういった実験方法をするか」をみんなで考えるのも面白い。正解があるものではないので「そういう考え方もあったのか?」と感じるだけでも得るものがあります。

そしてDiscussionというのが生き物であるということも理解できます。前の人の発言にのっとってDiscussionが進んでいきますので、その場で疑問に思ったり思いついたことを発言していかなければなりません。ほとんどの場合事前に準備してきたことは日の目を見ません。その場で考えるスキルも鍛えることができるのです。

こうしたことをやらないといつまで経ってもどんな場でもきちんとDiscussionで貢献するグローバル人材は育たない。中学英語のレベルでもこうしたDiscussionで英語のみならず国際感覚を磨いていく。いつまで経っても英会話をやるのではなく、常にこうした実践の場でコミュニケーション力を上げていく訓練をしていかないと、待ったなしのグローバル化で人材が追いついていきません。幸い最近、同じような危機感を持っている人が多く、そういった人達とタッグを組んで今年はグローバル人材育成の大きな流れを起こして行きたいと思っています。



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コメント

面白い!
こういった教材は、多様な展開を可能にします。
英語学習ばかりでなく、日本語でのメディア・リテラシーのワークショップにも使えますね。

ありがとうございます。英語、問題解決力、メディアリテラシー等各分野に分けて教えるのではなく、こうしたものを統合し、常に今学んだことをどう自分(の成長に)応用できるかと考えさせる教育が今後必要になると思いますが、何しろそういった教材がほとんど見当たらないのが残念でなりません。

グローバル環境に合わせて教育も変えていかないと、競争に負けてしまいます。


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