コラム・エッセイ View All Columns

グローバル人材に求められるスキル

世界を舞台に活躍する際に求められるスキル・思考法などについて解説していきます。

No.3: ローマの道もActive Listeningから

コラム

2009年08月26日

Active Listeningという言葉をご存知でしょうか。Active Listeningとは相手の話を聞くとき、内容を誤解なくきちんと理解できるように、絶えず相手にその内容を確認しながら聞く姿勢で、テニスのラリーのように"What do you mean by...?","Can you give me an example?", "This is what I hear you saying..."などやり取りを行いながら理解を深めていくやり方で、英語によるコミュニケーション方法の基本となります。

対して、Passive Listeningは相手の話に頷き、時には「そうですね」等の相槌を打ちながら黙って聞く手法で、内容の是非の判断や批評する姿勢で聞きません。相手に好きなように気持ちよく話させる方法で、普段我々が使用しているコミュニケーション方法となります。このActive Listening Skillを身につけず、単語・表現力・リスニング力などの英語力ばかりを強化し、身につけた英語力をPassive Listeningの手法で使用している多くの日本人ビジネスパーソンの現状については何度かこのコラムで書いてきました。

今回はより具体的にActive Listeningとは何か、いつも会社で行っているCommunication Test for Professionalsというテストを受験した2名の例を示しながら、説明していきたいと思います。これを書いてしまいますとテスト内容の一部がバレてしまいますので、内容の一部を見直さなければいけないかもしれません(笑)。

さて、テストはアメリカ在住のネイティブビジネスパーソンが電話・Skypeを通じて行います。冒頭であるコンセプトにまつわる5 分程度のストーリーを話し、その後Discussionに入っていきます。よって第一ステップとしてストーリーをしっかりと理解できるかどうかが鍵となります。

受けていただいた2名ともビジネスパーソンです。TOEICでいいますと一人目は900点、二人目は650点程度だと聞いています。ちょっと長くなりますがテストの冒頭数分間のやり取りをご覧ください。下線なしのテキストは講師の発言部分で、テキストに下線があるのは受験者の発言部分です。再度書きますが、これは全て電話・Skypeの音声のみでやり取りを行っておりますので、文章で読むよりも実際は相当難しいことは念頭に読んでください。また全て口語調で書いてありますので、若干読みにくいかもしれません。ご了承ください。

一人目:TOEIC 900点
The first topic we're going to talk about is Mother Teresa and charitable fund raising. A concept introduced by Mother Teresa. Ummm... She once said. If I look at the mass, I will never act. If I look at the one, I will." OK, you know. To try to convey this concept, I'd like to... you know... compare two letters that are asking people to donate money... So one group of people received the following letter. Food shortages in Malawi are affecting more than 3 million children.

Um hum

In Zambia, 3 million people face hunger due to severe rainfall deficits. Four million Angolans-one third of the population-have been forced to leave their homes.

Um hum

More than 11 million people in Ethiopia need immediate food assistance. Please donate some money to help save these people. OK So that was the first letter.

Um hum

So a different group of people received a different letter. So let's listen to the second letter. The second letter said: "Rokia is a seven-year-old girl from Mali, Africa. She is desperately poor and faces the threat of severe hunger or even starvation. Her life will be changed for the better as a result of your financial gift. With your support, and the support of other caring sponsors, Save the Children will work with Rokia's family and other members of the community to help feed and educate her, as well as provide basic medical care and hygiene education. Any money that you donate will go to Rokia." So that was the second letter. So what I want to ask you is which group of people donated more money? Those who received the first letter or those who received the second letter...

Ummm. I'm sorry I cannot hear you well. Maybe this is technical issue and I'm not good a hearing English....


二人目:TOEIC 650点
Today we're going to talk about a concept related to "charitable fund raising"

Wait! I didn't understand. You said "concert?"

"charitable fund raising"

I'm sorry I don't know.

So "charitable fund raising" is trying to get someone to donate money.

Ahhh! Charity!

Exactly! So "charity" is something that you give money to and "fund raising" is trying people to donate money.

OK! "Charitable fundraising..." I understand...

Good. We're going to talk about a concept introduced by Mother Teresa.

Oh, Mother Teresa. Very famous person!

Yes, she's very famous! She once said "If I look at the mass, I will not act. But if I look at the one, I will."

OK.

So I'm going to give you an example of what Mother Teresa was trying to convey. We're going to compare two letters asking people to donate money. One group of people received a letter that said "In Zambia, three million people face hunger to severe rain fall deficits and...."

Wait. I'm sorry. Zambia means the place?

Yes, Zambia is a country in Africa.

OK!

So three million people face hunger to severe rainfall defecit. And in Ethiopia, more than 11 million people need immediate food assistiance. One-third of the population in Angolia was forced to flee their homes. So please donate the money to help save these people." So that was one letter.

Only one place?

No, three countries. One country is Zambia where three million people faces hunger, second is in Ethiopia where 11 million people need food, and last is Anglila where one-thrid of poplulation had to leave their homes. Three African countries that need assistance..

Ahh. Three countries. Millions of people need food...in trouble....

Yes. So that was the first letter.

OK

Then, a different group of people received a different letter. And their letter said that "Rokia is a seven year girl from Mali Africa."

Maly??

Mali, another country in Africa

Oh, Mali. OK. And you said "Wo kee a"?

Rokia. That's the name of the 7 year old girl.

Ah... Wyo-kee-a

Good. She's desperately poor and faces the threat of severe hunger and starvation.

Yes...

Her life will be changed and better as a result of your financial gift.

Um hum

With your support, "Save the Children" will work with Rokia' family and other members of the community to help feed and educate her as well as provide basic medical care and hygiene education.

Wait. I don't understand "Save the Children"...

Save the Children is a non profit organization just like Red Cross, or UNICEF

Ahhh, UNICEF... OK. I understand. And "hi-geen"?

Hygiene means cleanliness..

Cleanliness??

Like washing hands, drinking clean water, brushing your teeth... You get it?

Ah. I understand. So the money will be donate to Rokia.

Yes....So there are two different groups and each group received a different letter. So which group of people do you think received more money? Those who received the first letter or those who received the second letter?

Yes. I will donate the first letter....

さて、もうお分かりかと思いますが、一人目はPassive Listening(日本式コミュニケーション方法)で、二人目はActive Listening(欧米式コミュニケーション方法)の姿勢で聞いています。Passive Listeningでは6~7割の理解力で聞いているため、意見を求められてもどうしても聞き取れなかった部分が分からないまま話さなければならず、困ってしまいます。言葉では伝わりませんが、音声を実際に聞いてみますととても慌てているのが良く伝わってきます。大部分の人はこういった状況を体験すると「どうして自分の英語力がないのだ!」と嘆き、さらに単語・表現力をつけ、リスニング力を磨こうとします。もちろん英語力も大切ですが、二人目の確認の仕方をこういった形でテキスト化して見ますと何が大切かとてもよく分かります。とにかく話題に喰らいついていっています。そして100%理解しています。特にはじめの手紙の内容を聞いた後で

Ahh. Three countries. Millions of people need food...in trouble....

ときちんと内容を要約して確認作業をしていること。そして2通目の手紙を何回も聞き返した後に

Ah. I understand. So the money will be donate to Rokia.

と再度確認作業を行っています。文法的な誤りが気になる方は多いと思いますが実際に音声を聞いていますとほとんど気になりません。Mother Teresaも言葉で書いてしまえば理解できますが、ネイティブが発音すると一瞬誰だかわかりません。それも"Very famous person"と確認しています。とにかく一生懸命理解しよう、話題に喰らいついていこうという姿勢が前面に出ていて、話しているネイティブは気持ちよく、リズム良く説明していることがわかります。やはり話し相手がきちんと話題を理解していること知るというのは大きな安心感を与えるようです。英語力は別としてこの方のコミュニケーション力は高いといえるでしょう。この姿勢で課題を見つけ、英語力を身につけていけば世界を舞台に活躍出来るコミュニケーション力を手に入れられることは間違いありません。

対して1人目のような状況になってしまうと、どこまで理解出来ているかが全く分からないため、その後のやり取りをどう展開するべきか話し手も困ってしまいます。それにしても同じネイティブが同じ台本で行った試験でここまで変わってくるというのは非常に興味深いです。

今まで多くの実際のテスト音声を聞かせていただいた傾向としてはレベルの差はあれActive Listeningが出来ていると思われるのは2割。今回の一人目のようにレベルの差はあれ話の内容を完全に理解できないまま意見を求められてしまったケースが8割という印象を受けています。面白いことにPassive Listeningなのに完全に理解できていたツワモノも中にはいました。こういった人を天才というんでしょうね。一回で全て理解できてしまう。

恐らくこれを読まれている多くの方々はこういった人を目指していると思いますが、こういう人と話していて相手のネイティブが気持ちよく話しているかといえば全くそうではありません。「本当に分かっているのかな?」と不安に思いながら、リズムが悪そうに話しています。こうしたやり方は私にも出来ません。自分が同じやり取りをやっていることを想像するに私も2人目の方と同じ位、確認作業を行うと思います。

話し手の目的はきちんとメッセージを伝えることです。よって二人目の文面を見てもらえると分かりますが、確認作業を行うということは自分が何を理解していて何を理解していないのかを正確に伝えることであり、逆に話し手を助けています。実際にその音声を聞いていると担当のネイティブがそれをAppreciateしているのがとてもよく分かります。

しかし面白いことに2人目のスクリプトを全部和訳し、日本語の会話に作り直してみると「小学生の会話か?」と大きな違和感を抱くでしょう。この感覚の相違がこそが日本語と英語のコミュニケーション方法の違いでして、まずはそれをしっかりと認識しなければなりません。

TOEICが650点でも高いレベルでのコミュニケーションを図ることはできます。TOEICの点数に係わらず、今後は是非Active Listeningを意識して世界とcomunicateしてください。



« No.2: 常識・非常識の線引き | Main | No.4: バカ丸出しのススメ »

コメント

実際のテストでのPassive ListeningとActive Listeningのやりとりはとてもわかりやすく、またそれがもたらす結果に注目されている点に共感しました。前者の場合、大塚氏がおっしゃる通り、ネイティブを全て理解できないことに、「どうして自分の英語力がないのだ!」と感じてしまうことが、円滑なコミュニケーションを図る支障となっています。しかし、多くの日本人が(特に英語にある程度自信がある人)この前者の状況に陥ってしまうのではないでしょうか。
ここには、明らかに、しかし無意識的に、「ネイティブスピーカーよりも低い立場におかれているノンネイティブスピーカー」という図式がわれわれノンネイティブスピーカーの中に構築されています。国際コミュニケーションの場では、相手を理解しようと努力をするネイティブスピーカーも多くいますが、相手が英語をネイティブと同様に話せるものと思い込んでいる人もそれ以上に多くおり、ノンネイティブスピーカーは萎縮してしまっているというのが現状ではないでしょうか。後者のように、前者から見れば「図太い」神経をもって英語でのやりとりをできる人はごくわずかでしょう。
しかし国際コミュニケーションはネイティブの一方的なものではなく、ネイティブとノンネイティブの「相互的」なものでなければいけません。そのためには「自分が理解していないことを伝える」、「ネイティブに理解させる努力を求める」というのは当然の前提なのです。このエッセーで大塚氏が書かれているActive Listeningでのやりとりは、ネイティブとノンネイティブの間の対等なコミュニケーションを実践する好例ではないでしょうか。このActive Listeningでのやりとりを、「こんなに何度も聞き返すのは恥ずかしい」、「英語が下手だと思われてしまう」とは考えず、「これが英語でのコミュニケーションなんだ」と気付き、「図太い」と思ったことを「当然」と思うことが、それまでよりも円滑で対等なコミュニケーションを図る大きな第一歩になることは間違いありません。

原田様 コメントいただき、ありがとうございます。「図太い」→「当然」にマインドを変更するとことが今後非常に大切になってきます。しかし、そちらのほうが楽なのかコミュニケーションを全て英語力に頼ろうとする人が多い。Attitudeを変える苦痛よりは努力でカバーできる方が楽でであることが原因と考えられます。こうしたマインドをセミナー等を通じて壊して行きたいと思っています。丁度先月末そういったセミナーを行いました。詳しくは以下をご覧ください。
http://www.masafumiotsuka.com/2009/09/dhc.html


コメントを書く


名前:
メールアドレス:
ウェブサイト:
メッセージ:

スパム防止:
CAPTCHA Image

文字の確認:
 

カテゴリー

最近の記事

コメント

質の高い、外国人英語講師を雇いたいなら…

世界最大規模のタイトル数を擁するペンギンリーダーズ。

多読授業をはじめ、英語副教材として、図書館用蔵書として、また純粋に英語での読書を楽しみたい方にも、ペンギンリーダーズならではの豊富なラインナップでそのニーズにお応えします。

質の高い、外国人英語講師を雇いたいなら…

生徒を世界デビューさせる一冊を、あなたのワンクリックで

英語教材のオンラインショップ「ELTBOOKS」 : 各種リーダーズと教材を割引価格で

質の高い、外国人英語講師を雇いたいなら…

質の高い、外国人英語講師を雇いたいなら…

日本在住の外国人英語教師のためのサイト「ELT News」の求人広告をご活用ください。ELTBOOKS.comのお客様は、求人広告欄が1ヶ月間無料

月々たった3,665円(一日相当約122円)の日刊英字新聞。

月々たった3,665円(一日相当約122円)の日刊英字新聞

最新ニュースを英語でチェックすれば、日常生活&ビジネスに役立つ英語力がグンッとアップ!

 
 

イベント情報