コラム・エッセイ View All Columns

グローバル人材に求められるスキル

世界を舞台に活躍する際に求められるスキル・思考法などについて解説していきます。

No.2: 常識・非常識の線引き

コラム

2009年07月30日

恥をさらすようですが、先日入院している知り合いのお見舞いに行った時の話。

知り合い:「ここはマンショウ(満床)らしいよ。」
私:   「マンショウって何?」
知り合い:「え~、そんなことも知らないの(笑)?これだから外国人は困るね。」

こうしたことは、私にはよく起きます。言われ易いキャラクターということはもちろんありますが、昔からとにかく分からないことはあまり深く考えず聞いてしまう。もちろん私だって恥ずかしい思いは出来ればしたくありません。しかし帰国子女の私には一般的な日本人として「何を知っていなければならず、何は知らなくても良いか」、つまり常識と非常識の線引きが分からないのです。今ではこのように言われても気にならないようになりましたが、MBA留学するまでは外国人呼ばわりされるのが嫌で嫌でたまりませんでした。聞くのを控えていた時期もありました。

この常識の線引きについては、多くの日本人は直感的に分かるといいます。本当にみんなの常識が一致しているかどうかはさておき、この「何を知っていなければならず、何は知らなくても良いか」という考え方自体が英語を使う際、大きな問題となります。この「常識を共有する」という考え方はいつしか「知らないこと=恥ずかしいこと」に発展してしまい、さらに「聞くこと=恥すべきこと」に行き着いてしまうところに根の深さがあるように感じます。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」という諺がありますが、日本では「聞くは一時の恥...のみならず一生の恥」の方が近いでしょう。先日も学生時代の仲間内で集まった時、「大塚は千葉県の場所も知らなかったんだよ。」と二十年近く経った話を今でも持ち出されることからもこれは間違いありません。そう言われ続けると怖くて何も聞けなくなってしまいます。本当に常識が共有されていれば問題はありませんが、この常識の線引きが人によって微妙にずれていることが、問題をさらに複雑にするように見えます。

私がグローバル人材の育成に関わる時、まずこうしたマインドをリセットすることからはじめます。私見ですが、多くの日本人が英語を使って話す際、まず世界の常識とは何か考え、その線引きを日本国内での常識と照らし、勝手に引いてしまう。または、その線引きが分からないので「聞く=恥ずかしいこと」のマインドセットのまま臨んでしまう。どちらにしても結局主張する以前に話の内容が理解できないまま終えてしまう。必要最低限の英語力も知識も教養も十分に持っているのにこうしたマインドを持っていない為に不幸が起きてしまうのです。私の「日本人は英語を日本式コミュニケーション方法で使用している」という仮説はまさにここから来ています。

しかし国際言語である英語は共通の価値観や常識というプラットフォームがない為に、「聞く」ということは「恥」ではなく「基本」になります。英語は世界中で使われていますが、シングリッシュ(シンガポール人の使う英語)、フィリピン英語、香港英語、白人英語、黒人英語、ヒスパニック英語など、使う民族の間で独自の進化を遂げています。よって常識等全くなく、聞かないと理解できるはずないのです。だからネイティブ同士の話を聞いていても認識をすりあわせる確認作業は頻繁に行われます。

こう考えると我々のコミュニケーション方法がいかに高度なものであるか分かります。前回のエッセーで書きました我々は無意識のうちに「相手に不快感を与えていないか」や今回の「これは聞いてもいいのか、あとで自分で調べたほうがいいのか」まで考えているわけですから。このエッセーは英語の教育関係者が主に読まれていると聞きます。「英語の授業は英語で行うのが基本」という高校の学習指導要領の改定はチャンスかもしれません。英語で教えたほうがマインドは切り替えやすいと思います。是非深く考えずにすぐに聞くマインド・習慣を生徒に植えつけてあげてください。これは世界を舞台に活躍する人材にはなくてはならないマインドです。もちろん日本語を使うときはダメですよ。それは身をもって保証します(笑)。



« No.1: 「相手の気持ちを大切にする」VS「議題の理解を大切にする」 | Main | No.3: ローマの道もActive Listeningから »

コメント

大塚さんの、コラムエッセイを十分共感、納得しながら読ませていただきました。 私自身、ブランドニューの帰国子女です。18歳で単身渡米し、15年後に帰国となった2ヶ月前から、カルチャーショックの連続です。 アメリカ様式がまかり通る日本では、どうかと思いますし、日本様式がまかり通るアメリカでも、、、それは、ありえないような気がしますが。 そんな中、私がアメリカの某大学で留学のお世話をさせていただいていた、ある日本の一流大学卒業生が就職できなくて困っているといううわさを聞きました。 その学生は、自立心にたけていて、自我がしっかりしており、こんな子がこれからの日本を引っ張っていってくれたら素晴らしい!と、私自身期待を添えていたので、そのニュースを聞いたときには正直ショックでした。 世間では、国際化が叫ばれ、”個性のある人材を求む”を看板に企業が採用を行っていますが、日本のビジネス界にとって、国際化というビジョンはどのようなものなのでしょうか?

岡さん コメントいただき、ありがとうございます。15年間アメリカにいらしたのでしたら、帰国後で戸惑ってしまって当然です。焦らず、時間をかけてAdjustしてくださいね。さて、お世話された大学生ですが、いろいろなケースが考えられますので少しコメントしづらいです。日本の大企業はどちらかといいますとバランスを大切にしますので、個性が強すぎると嫌われてしまうかもしれません。また、どんなに自立心が長けていてもチームプレイヤーでなければ例え外国の企業面接でも苦戦します。今年は不況の最も影響を受ける年というタイミングの悪さもあるかもしれません。しかし、日本で何をやってもうまくいかない人が外国に行って羽ばたいていくケースは意外と多いです。日本では狭すぎるという人はいるんですね。何かの分野で秀でているが為に妬まれる人なんかはそうでしょうね。ビジネスの世界では「より安く、より効率的」という従来日本が得意としてきたコツコツ型のモデルが、中国・インドの登場で競争力を失いつつあります。今後は従来ない発想で新しいものを作り出していく構想力の持った個性豊かな人材が求められていくと思います。


コメントを書く


名前:
メールアドレス:
ウェブサイト:
メッセージ:

スパム防止:
CAPTCHA Image

文字の確認:
 

カテゴリー

最近の記事

コメント

質の高い、外国人英語講師を雇いたいなら…

世界最大規模のタイトル数を擁するペンギンリーダーズ。

多読授業をはじめ、英語副教材として、図書館用蔵書として、また純粋に英語での読書を楽しみたい方にも、ペンギンリーダーズならではの豊富なラインナップでそのニーズにお応えします。

質の高い、外国人英語講師を雇いたいなら…

生徒を世界デビューさせる一冊を、あなたのワンクリックで

英語教材のオンラインショップ「ELTBOOKS」 : 各種リーダーズと教材を割引価格で

質の高い、外国人英語講師を雇いたいなら…

質の高い、外国人英語講師を雇いたいなら…

日本在住の外国人英語教師のためのサイト「ELT News」の求人広告をご活用ください。ELTBOOKS.comのお客様は、求人広告欄が1ヶ月間無料

月々たった3,665円(一日相当約122円)の日刊英字新聞。

月々たった3,665円(一日相当約122円)の日刊英字新聞

最新ニュースを英語でチェックすれば、日常生活&ビジネスに役立つ英語力がグンッとアップ!

 
 

イベント情報