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語彙習得理論を“現場目線”で活かす!

実際に中学生・高校生の指導にあたってきた教師が、中学・高校現場目線で、語彙習得理論に基づく効果の高い語彙指導・語彙活動のあり方を探る。

日本人高校生の語彙学習ストラテジーと効果的語彙学習法 ~その1~

コラム

2010年10月03日

「日本人高校生の語彙学習ストラテジーと効果的語彙学習法 ~その1~」では、まず、日本人高校生が頻繁に使用している語彙学習ストラテジーについての調査結果を示し、そこから浮き上がる、ストラテジー使用の問題点について、お話しようと思います。

<日本人高校生の語彙学習ストラテジーの使用状況>
Okada (2006)は、日本人高校1年生104名を対象にどのように語彙学習をしているかについて調査しました。

 語彙学習ストラテジーには以下の3種類があります。

(1)メタ認知ストラテジー
 語彙学習に関して目標や計画を立てるストラテジー。
例えば、3000語覚えよう、とか、一週間に10語ずつ覚えよう、とかいうストラテジーのことです。

(2)認知ストラテジー
 語彙をいかに覚えるかのストラテジーで、例えば、何回も書いて覚える、辞書を引く、単語の意味をイメージする、発音を勉強する、連想する語をあげる、自分のことと照らし合わせて覚える、などたくさんのストラテジーが含まれます。

(3)社会的ストラテジー
 なんらかの形で友達と一緒に語彙学習をすることで、例えば、友達と単語クイズを出しあう、単語ゲームをする、などのストラテジーのことです。


 この3種類のストラテジーに関して、65項目の調査用紙を作成、高校1年生104名にどのストラテジーを頻繁に使用するか、五段階で回答してもらいました。

■ストラテジー使用の特徴は以下の通り。

(1)メタ認知ストラテジーはほとんど使用されていない。

(2)認知ストラテジーは「何回も書いて覚える」がほとんど全員に使用されており、他のストラテジーと比べると、圧倒的に多い。他のストラテジーは「辞書を引く」「発音を覚える」などがやや使用されているが、それ以外ほとんど使用されていない。

(3)社会的ストラテジーもほとんど使用されていない。


■これらの特徴を踏まえ考察すると、

(1)まずメタ認知ストラテジーを使用しないということは、自分の語彙学習について、自主的に目標や計画を立てて取り組むのではなく、受け身の姿勢で取り組んでいるといえます。それは、おそらく、学校で単語帳を与えられたり、定期的に単語テストをしたりすることも多いので、自分で目標や計画を立てる必要がない、ということなのでしょう。

(2)次に認知ストラテジーについて考えてみると、「何回も書いて覚える」というストラテジーは、非常に頻繁に使われており、実際生徒の単語学習をみても、ノートに単語を10回ずつ書いてあったりします。また単語を10回ずつ書いてきなさい、という宿題が出ることもあるでしょう。しかしこのストラテジーは単語を忘れやすいだけでなく、何回も書いているうちに、だんだんと間違ったスペリングになったりして、下手をすると間違いを覚えることにもなりかねません。

(3)社会的ストラテジーがほとんど使用されていないことから、語彙学習は「一人でやるもの」という固定観念もあるようです。


 この結果を踏まえ、高校生に教えたい語彙学習ストラテジーを来月のコラムでご紹介したいと思います。


<引用文献>
 Okada, J. (2006). Vocabulary Learning Strategies for Japanese High School EFL Students. アルク。Tokyo.



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コメント

今回も興味深く拝読いたしました。

私は、学校現場での経験はないのですが、アルバイトで塾で教えているときに、メタ認知学習ストラテジーを育てるような指導を試みたことがあります。英検の大問ごとに、どういう能力が試されているか意識させたり、自分にはどういう部分が得意、不得意かを自己分析させ、自ら目標を設定することが大切ということを伝えました。ですが、実際には効果をあげるまで指導することができませんでした。
今振り返ってみると、具体的な学習方法を教えることができなかったからだと思います。次回のコラムで具体的な内容をご教授いただけるとのことなので、楽しみにしています。

今回のコラムはとても納得するものがありました。たしかに単語は書いて覚えることが一番多いのだと思いますが、実際には単語を形として覚えるだけで、深い理解にはつながっていないことは一目瞭然ですね。やはり、辞書を引いたり、発音するなどの他の五感も使って覚えていくことが忘れにくくなるのでしょうし、その単語を使った文などを自分で作っていくことでさらに理解が深まるのだと思うことでした。
メタ認知ストラテジーや社会的ストラテジーがほとんど使われていないことは、コミュニケーション力や自主性の不足と大いに関係があるのだろうと感じたことでした。

次回のコラムがたのしみです。

学校ではストラテジートレーニングが不足しているのかもしれません。
来月のコラム、期待しています。

タイトルの「高校生の語彙指導ストラテジー」の内容とは若干違うかもしれませんが、私自身の経験を書いてみます。

(1)メタ認知ストラテジー
 
高校生を個人で指導した時の経験です。
学校で配布された市販の単語帳(4000語)を、生徒が自分で読めないと言うことで、一緒に読み合わせをしました。
1回、1ページと言う風に進めたと思います。

(2)認知ストラテジー
 
自分自身が社会人になってからの経験です。試験前に、試験範囲の英文を全部ノートに書き出し、それをテープに録音し、時間がある時に聞きました。

(3)社会的ストラテジー

アメリカ留学中、テキストに出てくる専門用語がよく分からなかったので、クラスメートに聞いたところ、数名集まってテスト勉強。アメリカ人の学生が、専門用語をやさしく言い換えて教えてくれました。


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