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語彙習得理論を“現場目線”で活かす!

実際に中学生・高校生の指導にあたってきた教師が、中学・高校現場目線で、語彙習得理論に基づく効果の高い語彙指導・語彙活動のあり方を探る。

「ほぼ定着した語を使えるようにするには?」

コラム

2010年5月27日

 前回のコラムでは、以下のような単語に関しては「ホールド」という効果を利用した、ゆっくりとした語彙活動が有効、と述べました。

■全くの新出語ではないけれども、まだまだ記憶が不十分な単語


 読者のみなさんからは、「活動は速ければよいものではないのだ」、「テンポよくやるばかりが活動のやり方ではないのだ」というご感想が多くありました。

 みなさんがお感じのとおり、活動のスピードが速いほうがよい、テンポよくやったほうがよい時、というのがあります。

 それは、

■「学習者の中でほぼ定着がなされた単語」を用いて、実際英語を話すときのスピードで、口から出てくるように訓練する時

です。

 頭の中にほぼ定着した単語を「使える語彙」にさせたい時は、活動のスピードは速いほうが効果的です。

 速いスピードで単語を口に出す練習は、脳から出される「この単語を口に出しなさい」という命令のスピードを速めます。言い換えれば、脳の中にある単語から口に出すパス(道筋)を強化してくれます。

 このパスはその単語を使えば使うほど強化され、スムーズな発話につながります。逆に、しばらく使わないでいると弱くなってしまいます。


 
 では、このような訓練はどのような語彙活動でなされるのでしょうか?

 通訳の訓練法で、「クイックレスポンス」というものがあります。先生が日本語を言い、生徒はすぐその日本語に当たる英語を言う。この訓練を繰り返すと、脳からの「この単語を口に出しなさい」という指令が速くなり、口に出すまでのパスが強化されます。

 このコラムの第一回で書いた、フラッシュカードを使って、テンポよく、日本語から単語を言えるようにする練習もこの段階で使うと効果的です。

 文単位なら、文章の速読みやシャドーイングも、この段階において、非常に効果的です。


 このように、学習者にとって、どの程度、その語彙が定着しているか、の段階に応じて語彙活動のスピードを調節することが必要といえましょう。



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コメント

いつも興味深く読ませていただいています。

なんでもかんでもホールドすれば良いのではなく、「まだ記憶が不十分な単語」の場合はホールドをし、「ほぼ定着がなされた語」については速いスピードで行ったほうが良いという活動の使い分けが大切ということがわかり、とても勉強になりました。

再来週には研究授業があるので、ホールドとテンポの良い活動の使い分けをして授業を行いたいなと感じました。

次回のコラムも楽しみにしています。

自分自身の授業の中での活動のスピードを振り返ってみると、正直、テンポよく、スピードある授業です。今回の記事を見て、語彙に関して生徒の理解の状況をしっかりと把握して、ホールドする時と、スピードアップして活動する時の区別をまなばさせていただきました。理解もしていないうちから、追い立てるように活動しても、定着せず、生徒にとっては頭を使わずに言葉だけが口から発せられているだけなんだな~と反省しました。理論的なものをしっかり学ぶことによって、より、効果的な授業に展開できるのだな~と今回また、学ばさせていただきました。ありがとうございました。

こんにちは。
いつも楽しく読ませていただいております。では、早速コメントしたいと思います。

単語を覚えたのに会話の中ではうまく使えないという状態の理由の一つに私はコロケーションの問題があると思います。特に動詞の場合、単語の意味だけを覚えてもコロケーションとしてPPがくるのかNPがくるのかなど後置されるものが一定ではないからです。
つまり、私はテンポ等は直接的な影響はないと考えます。それよりも、単語として覚えるのではなく、文で覚えたり、少なくとも句で覚えることが単語の定着への近道なのではないかと考えます。

ご意見をお聞きしたいです。

木戸さま

コメントをありがとうございます。
単語だけで、覚えるか、文単位で覚えるかに関しては、今までのコラムで議論してきました。

まとめると、
1単語のみで覚える方法
2文単位(文章中)で覚える方法

の2つがあり、この2つは相互補完的役割を果たし、車の両輪である、ということになります。
どちが欠けても語彙学習はうまくいきません。

ここでは、そのうち、1の方法、すなわち、単語のみを覚える方法のみをとりあげ、その中で、語彙活動のスピードをいろいろ変えることにより、有効な語彙の定着が図れる、ということです。

2の方法に関しては、以前のコラム記事をお読み返しください。

ありがとうございました。

英語→日本語への瞬発力を鍛えるのにクイックレスポンスは使えますね。
語彙習得活動の上で内容次第でテンポやスピードが違うものを使いこなすのは指導者として力量を発揮できる所でもあると思います。

私も「クイック・レスポンス」エクササイズはactive language knowledgeを増やす上で非常に有効な方法だと考えています。

私は「クイック・レスポンス」を次の3つのアクティビティで使用しています。


1.日本語の語彙=>英語の語彙
2.日本語の文・フレーズ=>英語の文・フレーズ
3.英語の文・フレーズで質問=>英語の文・フレーズで回答=>英語の文・フレーズで聞き返す

あくまで私の主観ですが、各段階でこの「クイック・レスポンス」がきちっとできることが、「自動化」が生徒の中でうまくいっているかどうかのサインであると思っています。

また1分野のコンテンツで3番がうまくできるようになってくると、これを他分野のコンテンツに応用していくのはそれほど難しくないと思います。

シャドーイングも非常に有効な方法だと思いますが、語彙のgenerative useを即す上では、3が有効な方法かと思います。


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