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語彙習得理論を“現場目線”で活かす!

実際に中学生・高校生の指導にあたってきた教師が、中学・高校現場目線で、語彙習得理論に基づく効果の高い語彙指導・語彙活動のあり方を探る。

「記億方略としてのキーワード法」

コラム

2010年3月29日

さて、4月になり、新学期を向かえます。先生方のお忙しい時期でもあり、少し趣向を変えて、今月は、楽しい記事をお届けしようと思います。

 単語の記億を促進するストラテジーとして、1970年代から、「キーワード法」というものが考案されてきました。

例えば、"occur"という単語を覚えたいとき、"occur" と音声の近い日本語を考えます。この場合、「おかあさん」など。これがキーワードになります。
その次にキーワードと"occur" の意味を結びつけ、「おかあさんに事故が起きる」のような文を作り、頭の中で「おかあさんに事故が起きる」というイメージを思い浮べます。
イメージしたものを絵に描けば、さらに記億は促進されます。


 単純なようですが、この記億方略は、綿密に計算されているのです。

(1)音声情報同士の結びつけ。
すなわち、ターゲットワード(この場合"occur")の音声情報と似た音声情報をもつ日本語を結びつける。
(2)意味情報同士の結びつけ。
すなわち、この場合 "occur" と "起きる" を結びつける。
(3)イメージの結びつけ。
すなわち「お母さんに事故が起きる」というイメージを頭に描く。

 3つの相互作用で、単語の定着を促進し、その効果は決してあなどれません。


 また、誤解が多いのは、キーワード法と単なる「語呂」とは違うものだということです。あるとき、授業で私が“temperature”を発音したら、ある女子生徒が「てんぷらちゃん!」と大きな声で言い、クラス中で爆笑になったことがありました。
このように "temperature" を「てんぷらちゃん」と覚えるのは「語呂あわせ」であり、「キーワード法」ではありません。なぜなら、ここには、音声情報同士の結びつきはあるのですが、意味情報の結びつきがなく、さらに、"temperature”と「てんぷらちゃん」の間にイメージの結びつきもないからです。ですので、このように覚えても、キーワード法と比較した場合、格段に忘れやすくなります。

 キーワード法は、生徒が慣れないうちは、先生が与えてもよいのですが、できれば、生徒が自分で考えたもののほうが忘れにくいといわれています。また、イメージが奇妙なものほど、記億に残りやすいともいわれています。

 
 少し、練習してみましょう。
以下の単語でキーワード法を用いた文を読者のみなさんも作成してみてください。

1 temprature
2 hear
3 deny
4 lie

これ以外の単語でもよいので、読者の皆さんからの、キーワード法を用いた単語の覚え方を募集します。コメントに入れてください。私の主観で座布団をお贈りいたします(笑)


つぎに、実際に生徒に作らせたもの中で私が選んだ最高傑作をご紹介しましょう。
die という単語を使ったものです。なんだとお考えでしょうか?

■「死ぬほどだいすき」 

座布団 10枚!


<練習問題の解答例>
1「てんぷらちゃんを揚げる温度を測る」
2「そのニュースを聞いてひやーっとした」
3「犯人は私でない否定した
4「らい客(来客)は、うそをついていた」

 
 注:来月は「ホールドの効果」という語彙習得理論でも、あまり取り上げられない理論とその実践について書く予定です。



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コメント

「キーワード法」で単語を覚える方法はなかなか面白いですね。確かに中学生の頃、歴史の年代を覚えるのに似たような方法で覚えていったきがします。特に数字を覚えるに苦手なわたしでもこの方法なら楽しみながら覚えていったのを思い出します。英語バージョンでも活用できるんですね。またまた新しい発見です。きっと発明の天才である生徒たちに作れせるときっと面白く、覚えやすいものが出てくると思います。さっそく明日の授業で紹介して、つくらせることを宿題にしてみます。何か面白いものがあったらまた、コメントしますね。たとえ、上手なものができなくても、生徒たちは作るために色々と考える段階ですでに覚えているということも起こり得ることですね。考えただけで面白そう!!
英語の発音自体は日本語英語にならないように気をつけなければなりませんが、それさえ、きちんと異なることが理解できていれば、意味を覚えるのにはなかなかユニークで定着しやすいだろうと思いました。
毎回新しい発見があり、楽しみです。

特に苦手意識がある生徒に、無理なく単語を覚えさせるのにとても役立つと思います。
ヒントを与えて、宿題でキーワード法を使って単語学習を出す、すぐに使えそうですね。

授業でそのまま使えるような書きものをありがとうございます。得てして"engagement"だけに偏りがちな単語学習にあって、こういったアプローチは、 "engagement"と"entertainment"を両方兼ね備えたもので、英語に興味のない方々の好奇心をくすぐることは間違いないと思います。 もっとこういった教授法が色々試行錯誤されるべきではないかと感じました。

今回もおもしろい内容のコラムをありがとうございます。

キーワード法は単なる語呂合わせではなく、音声、意味、イメージを結び付ける方法だということに、「なるほど!」と思いました。生徒も楽しんで作ってくれると思います。どのキーワードがおもしろくて覚えやすいか競い合っているのが想像できます。

なかなかいいキーワードが思い浮かびませんでした。もう、頭が固くなっているのでしょうか。(笑)

岡田先生が示された例文の「死ぬほどだいすき」ですが、「だいすき」の部分を「だーいすき」にしてはいかがですか。dieのアクセントと部分がわかりやすくなるかと思いました。

来月のコラムも楽しみにしています。


とても興味深く拝見しました。
「キーワード法」のようなやり方は何となく有効そうだとは思っていましたが、生徒に考えさせることまでは思いつきませんでした。また、きちんと理論に基づいて単語を記憶するのに有効であることがわかりました。
同僚だった先生が教えてくれたものを思い出しました。生徒に新出語として提示するときに話しています。
「重要な文書に印ぽたんと押す」
どうでしょう?失笑とともにでもかなり記憶に残ったと思います。

興味深いコラムを次回も楽しみにしています。

 今回も興味深いコラムをありがとうございます。
 イメージって・・・そう、頭に残りやすいですよね、って確認してました。岡田先生の頭の柔らかさにも感心。探求心と遊び心を持ち合わせないと授業も単調になってしまうし・・・こんど覚えるために生徒に考えさせて良いものがあったらクラス中に教えるのもおもしろいかなあと思いました。
 どうもありがとうございました。

非常に面白い内容のコラムをありがとうございました。

ちなみに私は高校時代、「おかん(大阪弁で「お母さん」のこと)が怒る」でoccurを覚えました。

生徒に「キーワード」を考えさせるという発想はいままでなかったので、今後の授業で試してみたいと思いました。

次回のコラムも楽しみにしています。


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